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『父親のすすめ』 [読書日記]

父親のすすめ (文春新書)

父親のすすめ (文春新書)

  • 作者: 日垣 隆
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 新書
内容(「MARC」データベースより)
「小遣いの与え方」「いつまで一緒に風呂に入るか」「大学へは行かせた方がいいか」「子どもを自立させるには」…。3人の子をもつ著者による実践的かつ画期的子育て論。自信をもって子どもと立ち向かえ!
勝間和代さんの著書を読んで後味の悪さを感じた僕は、口直しに間髪入れずに本書を読み始めることにした。著者は「父親論」となると重松清と同様に頻繁に引用される論客だ。

著者同様僕には3人の子供がいるが、そのうち、今年小5になった娘を学習塾に通わせることの是非を巡り、妻と度々意見の対立が生じている。僕は田舎育ちで学習塾というものを経験していない。そろばん塾や英語塾というのには通った経験はあるが、受験を前提に塾に通うなんてことはしたことが全くない。だから、学校の宿題に加えて進学塾の宿題にまで汲々とし、時として悔し涙まで流している娘を見ると不憫でならない。

僕からすれば、作文や詩を書かせると着眼点や発想のユニークさに非凡なものを持っている娘には、算数や理科よりも国語の力をもっともっと伸ばしていって欲しい。そのためにはもっと本を読んで欲しいと願うところである。しかし、今や宿題に追われて本を読む時間もない。あなたは東京で小中高生活を過ごしていないからわからないのだと言われると、田舎育ちの僕には反論のしようもない。でも、そういう妻もこの質問にはどう答えるのだろうか。

一体、娘にはどのような人間に育って欲しいのか?
後の2人の息子達にどう育って欲しいのかについても、僕達はちゃんと話し合う必要があると思う。

この点について、著者の論点は極めて明確だ。「親を必要としなくなる日」を目指すのだという。この点では僕はもっと甘い。独立は期待しつつも、僕らの老後の面倒は誰かが見てくれと期待しているところがあるのだ。本書を読みながら、そんな勝手なことを僕は期待してはいけないのだと痛感させられた。

本書に書かれていることに全部が全部賛成というわけではないが、それでも首肯せざるを得ないところもかなりあった。どれも書かれている内容が具体的であり、一部は参考にせねばならないと思う。親子での生活が続いている妻と子供達はともかく、僕は6月末に帰国するタイミングでこれまでのやり方を改めるチャンスが得られる。今までの子供達への接し方を見直し、新たな方針を宣言するのにはちょうどいいタイミングだ。そして、既に中学に上がっている長男との接し方については、ここで何とかせねばならないと思う。

第1に、食事中のテレビは消す。実はこれまでの我が家の過ごし方で最も大きく変えなければならないのがこの取組みである。相当な覚悟が必要だが、確かに本書で言われている通り、食事中テレビを付けていることで子供の注意力が散漫になり、食事に集中してないから味もわからないし、家族間の会話があまり成り立たないというのは感じていた。それに、こんな形で食べていたら、料理を作って下さった人にそもそも失礼だ。ニュースや天気予報が見れないのは痛いが、そこは僕らも我慢した方がいい。

第2に、これは特に長男に対してやって欲しいことなのだが、ブログを作って毎日少しずつでも更新して欲しい。これは僕自身がやっていることでもある。更新して常にアウトプットを出し続けるためには、インプットも常にしていかなければならない。ネタをひねり出すためには、時として何かしら行動を起こさなければならない。本を読んだり、新聞を読んだりすることも必要になってくる。文を書くことも意識しなければならない。すぐに上手くなるとは思わないが、常にアウトプットとして文章を書く練習を繰り返していれば、何年かして必ず作文能力は向上していることだろう。
 日本の学校教育はこれまで、読む、と、理解する、だけに埋没しがちでした。しかし実際には、読む、理解する、伝える、考える、話す、聞く、の基礎に「書く」があります。「書く」は、読む、理解する、考える、話す、聞く、を大前提として伝えることです。(pp.123-124)
自分の考えを話すこと、人の考えを聞いて理解することは、コミュニケーションの前提だと思うが、書くことの実践を通じて、このコミュニケーションの力を高めていって欲しいと特に長男には期待したい。

第3に、娘と一緒にお風呂に入るのはもう期待しません。理由までは具体的には述べないが、本書で言われていることは当たっていると思うから。

さて、進学塾で宿題漬けの日々を送っている娘と接する僕は、納得いかないものを感じながらも、先日の一時帰国時にこんなことを述べてお茶を濁した。「塾に行く究極の目的は、塾に行かなくても済むようになること」――つまり、一刻も早く楽になろうということだ。僕は、算数や理科の宿題で汲々するよりも本を読んだり日常生活で感じたことを日記に書いてみたりして欲しいと娘に対しては今でも思っている。ブログにはちょっと早過ぎだが、そろそろ日記を書くことぐらいは日課に加えられないものかと思う。

アウトプットを出すこと、そしてそれを誰かに伝えること、
これにはこだわっていきたい。

別に父親でなくてもいい、子を持つ親であれば是非一度本書を読んでみて下さい。とても具体的で実践的な取組みの事例が盛り込まれていて、参考になる。子育てはマニュアルではないとはわかっているが、本書は単なるハウツー本以上の含蓄がある。とてもいい本を読んだと思えた。
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降龍十八掌

新潟育ちの私も塾にはいったことありません。(だいたい、なかったですからね。)
神奈川で塾の講師をやっていましたが、東大レベルを目指すのであれば、公立の勉強だけでは太刀打ちできないですね。特に数学・算数はいろんな『技』を知らないときついですから。(本当はズルですけど・・・)
早稲田・慶応程度までなら、頭がある程度よくて、勉強が好きな子ならば進学塾に行く必要はないと思います。本人が希望するなら、一つか二つの教科に絞って個人の塾や家庭教師をつけるだけでいいと思います。

実際問題、5年生になってから進学塾はきついですよ。4年生からやっていないと、あのレベルについていくには相当の根性が必要ですね。

ご家族がどこにお住まいか分かりませんが、高いお金を払って私立学校に入れるメリットもそんなにないと思います。(よほど公立が荒れているなら別ですが。)

by 降龍十八掌 (2010-04-28 08:30) 

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