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上海の少子高齢化 [少子高齢化]


以前、知人の方が「上海じゃ街中で子供を見かけまへん。お年寄りばっかでっせ」と仰っていたのを思い出す。

上海の高齢化率22%という数値は今の日本の全国平均とほぼ同じレベルだ。東京郊外の三鷹市でも18.0%、調布市でも16.7%(いずれも2005年、但し、日本の高齢化率は65歳以上人口でカウント)だから、上海の高齢化は相当に進んでいると言うことができる。

都市部に就労年齢人口が集中することによって、20代から40代の人口が膨らむという姿は程度の差はあれインドの都市部でも観測できるが、上海の場合は合計特殊出生率が0.95と東京よりも低く、少子化も強烈に効いている。だから、極端に足もとの不安定な人口構造になっている。
PopulationPyramidChina1.jpg
《中国都市部の人口ピラミッド》

PopulationPyramidChina2.jpg
《中国農村部の人口ピラミッド》

上に示したのは、中国の都市部と農村部の人口ピラミッドである(出所は日経BPのHP)。上海だけのものも見た記憶があるが、すぐに探すことができなかったので、取りあえずこれで代用させていただきたい。都市部の最も膨らんでいるのは30代の年齢層であることがわかる。中国は1980年に一人っ子政策を導入したので、今の30歳未満の年齢層からは極端に人口が少なくなっている。農村の場合はそれでも政策が緩和されて一時的には出生数が増えた時期があったようだが、都市部の落ち込み方はほぼ一直線だ。

あと20年もすると、現在主力の30代は50代後半になる。しかし、都市部で生まれたばかりの子供達は親の世代に比べて1/3から1/2程度しかいないから、それが人口置換水準(2.1)の半分よりもさらに少ない出生率しかしないとしたら、20年後の出生数は今よりもさらに少なくなる。就労年齢人口の供給源でもある農村部でも出生数の落ち込みが相当に大きいので、今後も都市部に大量流入して都市の就労年齢人口の落ち込みを補い、生産能力、成長力の維持に貢献してくれるかというとそれもあまり期待できそうにない。

今は現役世代である30代のベビーブーマーが20年以上経って引退年齢を迎えた時、その老後を支えてくれる次の現役世代は今よりもはるかに人口が少ない。中国の将来も相当に厳しいですね。

結局、一人っ子政策を多少緩和したところで、2人目を作ることがそれだけ養育費の持ち出しになり、その子が大きくなってもその所得が親だけではなく社会の高齢者全体を支えるような外部経済性があるとしたら、どんな親だって子作りは躊躇するだろう。もっと負担と便益がストレートに繋がるような政策を取らないと、あまり効果がないような気がする。

この議論は当然日本にも言えることである。うちは子供が3人いるが、苦労して育てた子供達がそういう苦労をしなかった人々の老後の生活保障にも貢献するという姿は、たとえ家族手当の給付を受けているじゃないかと言われても割り切れないものはある。



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