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ミゾラム州の飢饉 [インド・トリビア]

今年はネズミ年ということもあって、以前はガネーシャ神とネズミの関係についてブログでも記事を書いたことがあるが、インドでネズミといったらもう1つ大きなネタがある。あまり歓迎すべきネタともいえないが、4月8日付のThe Hindu紙に「ミゾラム州の村における深刻な食料不足(Acute food shortage in Mizoram villages)」という記事が載っていたのでそこから紹介したいと思う。(全訳ではなく抜粋です。)
ミゾラム州フアルトゥ(Hualtu)発
 ミゾラム州セルチップ(Serchhip)県フアルトゥ村は同州の州都アイザウルから90km離れているが、この村の住民は2年連続の食糧不足に喘いでいる。原因はネズミの大量発生である。この村の172世帯の農家はコメを購入して生活を営んでおり、また翌年の作付けのためにも種子が必要としているが、 この村に限らず同州の8つの県に属する700以上の村落では、47年から50年に1回起こる竹の開花(Mautam)と、それに伴うネズミの大量発生により、穀物の収穫に深刻な影響を受けているのである。
 現地の農家によれば、竹の開花はネズミの好物である竹の果肉を大量に提供してくれるが、いったん食べ尽くすとネズミは次に穀物を襲うようになるのだという。
 最後に竹が開花したのは1958年から59年にかけてのことであるが、その際にはミゾ丘陵地帯の飢饉に加えて隣のアッサム州でも食糧不足が発生した。この飢饉はミゾ丘陵地帯でミゾ国民飢饉戦線(Mizo National Famine Front、後にミゾ国民戦線(MNF)に改称)が発足するきっかけとなり、このゲリラグループがニューデリーで1986年に平和合意を締結して今のミゾラム州成立に繋がるまで、20年にもわたってゲリラ活動が行なわれていたのである。ミゾラムでは1910年から11年にかけてもMautamが起こっている。
 チングチップ(Chhingchip)村に住むLalrinmawiaさん(40歳)はこう言う。「政府が雨季を見越して緩衝在庫を積み上げたとしても、村人はフアルトゥに続く14、5kmの山道をコメを運んでいかなければなりません。雨季の夕立にもよって、道路はますますアクセスが困難になっていきます。」また政府高官によれば、インド食糧公社(Food Corporation of India)が15000トンのコメを雨季入りより遥かに前に搬入することができなかった場合、状況は非常に厳しいものになると見られている。
 ミゾラム州政府の災害管理担当のK. Riachho次官によれば、「州政府はネズミ大量発生によって損害を受けた穀物生産を受け、州全域を被災地として宣言しました。」 現在までのところでは飢餓による死者の報告は未だ受けていないが、適切な救援措置が州政府によって取られているとも強調している。農業局の調べによれば、2月11日現在、Mautamの被害は769カ村の13万621世帯に及ぶ。ネズミと虫の大量発生はコメの耕作水田16132ヘクタールに損害を与えたと見られている。農業局の試算によれば、損害総額は41億1389万ルピーに達すると見られている。コメの損害は前年比89.76%減となっているが、他の穀物(メイズなど)と野菜への損害は前年比約60%の減となっている。
今年がネズミ年だからだというわけではないが、Mautamに伴うネズミの大量発生は現在起きている真っ最中である。ミゾラム州のネズミ被害についてはテレビでも報道されており、事態の深刻さが窺える。

4日(金)には季節はずれの集中豪雨がパンジャブ州の穀倉地帯を直撃し、コメの市場価格が高騰していることが問題となっている。インフレ率は直近の数値で前年比7%を上回ったとの報道もある。要注意である。僕達の生活を直撃しかねない出来事だ。
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リグリマ

50年ごとの竹の開花とネズミ災害とは!同窓のリグリマです。ガロの環境に近いミゾラムの記事を興味深く拝見しました。災害緊急支援策を分析することによって、国家と民族的・宗教的マイノリティ集団との関係を見ていきいと考えていますので、この50年ごとに起きるネズミ災害は貴重な情報でした。ありがとうございます。
by リグリマ (2008-04-11 08:40) 

のんべいキャサリン

ねずみも一生懸命なんでしょうけど、それだけの被害だと深刻ですね。
パンジャブ州  ←ここ聞いたことある。 
何の本で読んだのか思い出せない。
ぶつぶつつぶやきながら、思い出そうとしてしまいそう(笑)
by のんべいキャサリン (2008-04-11 09:13) 

Sanchai

リグリマさん、ご訪問ありがとうございます!ミゾラムのネズミ被害の話は昨年から聞いていたのですが、今年はさらに深刻な様子です。

キャサリンさん、いつもコメント下さりありがとうございます。少しだけ補足ですが、ミゾラム州は北東部、バングラデシュの(なんと!)東隣りに位置します。そしてパンジャブ州はというと、デリーの北西、汽車で4、5時間ぐらいのところにあります。コメ生産が盛んな州の1つですし、肉をよく食べます。従って、体がデカイ。スポーツ、特に格闘技系は強い州ですね。

キャサリンさんが聞いたことがある理由は、「タイガー・ジェット・シン」では?彼はパンジャブ出身です。あ、ちょっと古すぎました?
by Sanchai (2008-04-11 11:19) 

降龍十八掌

不思議ですね、中国では竹の花が200年に一度咲いて、パンダが絶滅するするそうですが、ネズミは逆に増えるとは!
昨日、ニュースでインドが米を輸出を禁止したと聞きました。ネズミのせいも多少あるかもしれませんね。
タイガーはインドの震える虎ですね。サーベルとターバンをとると、あんまりカッコよくなかった・・・?
by 降龍十八掌 (2008-04-12 10:51) 

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