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国立エルミタージュ美術館②(マティス) [出張先にて]

エルミタージュ美術館は、ロシアにあるのにロシアの美術品のコレクションがない。殆どが外国から集められたもので、1613年に即位したピョートル1世の時代から歴代のロマノフ朝の皇帝がどんどん集めていった。ロシア革命後は、ロシア貴族がそれまで集めていた個人コレクションを没収し、さらに点数を増やしていった。

以下は、小学館『世界美術館の旅』(2002年10月)に基づいて解説している。

印象派以降の20世紀初頭までのモダンクラシックは250点以上あるが、それらはこうした革命成立後の個人コレクションが没収されて集められたものである。その中には、モネ、ルノワール、ドガ、セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホ、ピカソ等が含まれるが、取り分け出色なのはアンリ・マティスのコレクションである。マティスだけで、絵画37点、彫刻8点が展示されている。

                                   「ダンスⅡ」(1910年):ロシアの貿易商シチューキンが依頼した作品。空の青、丘の縁に二分して塗り込められた地に、朱色の裸の娘達がが伸びやかに舞う。純化された色彩がもたらすハーモニーは、輪舞のリズミックな運動を得て、躍動する生命の輝きを放射する。生きる喜びにあふれた楽園が色彩とリズムによって現出し、見るものをその波動に心地よく同調させる。画家の求めた「座り心地のよい肘掛け椅子のような絵」であり、「家具音楽」を標榜したサティの音楽が感じられよう。(『世界美術館の旅』、p.259)

マティスの絵は、同美術館のデジタルコレクションのウェブサイトで全点閲覧可能である。


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