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『ホテル・ルワンダ』を観てきた [地域愛]

17日(金)夜、仕事は相変わらずこなせていないけれども、上映中の映画『ホテル・ルワンダ』をどうしても見ておきたくて、夜7時30分に退社し、渋谷のミニシアターに出かけてきた。最近、映画というと子供向けの映画に家族同伴で行くことが多いので、評判が高くても大人の観賞に耐える映画はあまり観ていなかった。でも、この作品は、それであっても観ておく必要があると思っていた。

立ち見ではあったけれども、観ておいてよかった。

あらすじについては、本作品の公式HPにも紹介されているので多言を要しまい。1994年にアフリカ東部の小内陸国ルワンダで起きたジェノサイド(大量虐殺)の中で、民族虐殺の対象となったツチ人を守ったフツ人のホテル支配人のお話だ。よって「アフリカのシンドラー」と呼ばれている。そして、本作品及び主演のドン・チードルは、昨年のアカデミー賞にノミネートされている。

この作品が話題になったもう1つの理由は、日本での上映に至る経緯である。元々この作品は扱っているテーマがテーマであるため日本での観客動員があまり期待できないということで公開予定がなかった。ところが、一部の映画ファンによる公開を求める署名運動がインターネットのソーシャル・ネットワーキング・サイトを中心に拡がり、市民の力が日本公開に繋がったのである。

 

僕は2004年6月に、ルワンダの首都キガリを訪問する機会があった。当地で開催された会議に出席するのが目的だったので、殆ど缶詰状態であまり市民生活を実感するような機会がなかった。ただ、赤茶けた丘陵地帯にびっしりと立ち並ぶ民家、道路に多くの人々があふれているのは印象に残っている。映画でも度々出てくる光景である。

 

映画の感想については、多くの方がブログで紹介記事を書かれていてそこでどうお感じになったのかが紹介されているが、それらとさほど違わぬ感想だった。民族対立と宗教対立の違いはあるが、1998年に日本公開されたインド映画『ボンベイ』と描き方がよく似ていた。同じ人間なのに、なぜ出自が違ったり宗教宗派が違ったりするだけで、殺し合いの原因になってしまうのか、人はなんて愚かなのだろうか。

もう1つは、アフリカの小国で起きた100万人規模の大量虐殺事件であるにも関わらず、見て見ぬ振りをした国際社会の愚かさである。地政学上は国際社会が介入しても何のメリットもない、取りあえず自国民の滞在者の帰還確保を優先させ、後は知らない勝手にやってろというのは、ジェノサイドに加担したも同然ではないか。(日本公開して結局観客動員が伸びなかったら、遠く離れたアフリカの地で起きた現実に興味すら示さない日本人はもっと愚かだと僕は思ったかもしれない。でも、ミニシアターとはいえ立ち見が出る盛況を見て、日本人の良心というのもまだ捨てたものではないなと思った。)

本作品中には、国連平和維持活動(PKO)も描かれているのだが、中立の立場を貫くために一方の民族に肩入れできない、武器の使用は認められていない等、PKOの活動には制約がかなり多いということもよくわかった。さらにその規模である。短期間に100万人も虐殺するような規模の民兵組織に対し、中立の立場を維持しつつも虐殺対象の人々を保護するには、PKOの人員配置はあまりにも貧弱だ。ここでも、アフリカの小国にPKOの大量動員などできないという国際社会の非情を痛感せざるを得ない。

マクロ的な視点で話を進めてきてしまったけれども、最後に一言だけ述べておきたいことは、主人公のポールが見せた家族愛についてだ。人が極限状態に置かれた時に、自分自身ではなく家族の身を守ることに命をかけられるか―――それは、状況がジェノサイドであろうが自然災害であろうが、僕達ひとりひとりに問われてくると思う。

最近、僕は妻との関係が極めて険悪で、顔を合わせてもよくて無言、何か話せばすぐに口論に発展するという状態が数日続いていた。そういう状況の中で『ホテル・ルワンダ』 を観て、妻や子供達を守るべきは自分の責務であるということを改めて自覚した次第である。映画館を出る時には、自らの言い分は置いておいて、帰ったら妻にはやさしく接しようと思っている自分がいた。

『ホテル・ルワンダ』の公式HPはこちらから。http://www.hotelrwanda.jp/

「映画『ホテル・ルワンダ』日本公開を応援する会」のHPはこちらから。http://rwanda.hp.infoseek.co.jp/

 


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