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『手づくりの日用品』 [仕事の小ネタ]

手づくりの日用品―まいにち、楽しく、幸せに。

手づくりの日用品―まいにち、楽しく、幸せに。

  • 作者: 蔭山 はるみ
  • 出版社/メーカー: 主婦と生活社
  • 発売日: 2022/09/21
  • メディア: 単行本
出版社からのコメント
テーブルを掃く小さなほうき、ガーゼの枕カバー、小枝のボールペン・・・。日常で使うささいなものが素敵だと、それだけで毎日が楽しく、幸せに過ごせる。そんなメッセージを込めた、手づくりのレシピ本です。紹介しているのは、どれも暮らしのなかで必要だったり、「あるといいな」と思えるおしゃれな日用品ばかり40点以上。身近に手に入る素材を上手に利用して、慣れない人でも2時間もあれば手づくりできるように考えてあります。プレゼントにしてもいい感じ。また、作品ごとについている、ものづくりや暮らしへの思いをつづった著者のエッセイも、等身大で「わかってるなあ」と心をつかまれるはず。ほしいからすぐ買うのではなく、ほしかったら自分でつくり、そして大事に使う。つくったものを使う楽しみは、味わってみると格別なもの。地に足をつけて、自分らしく、今の暮らしを心豊かに楽しむヒントがたくさんつまっています。
【娘からの譲渡】
一時帰国4日目の早朝を過ごしている。仕事上必要な物資の買出しと、身体のメンテナンスに時間を費やしている。整体師の方にチェックしてもらったら、身体の線がズレまくっているそうである。ここ数カ月悩まされてきた右の腰の痺れや冷えは、取りあえずは小康状態にある。

それ以外は家族とのコミュニケーションに時間を割いている。日中は妻との会話が中心で、3人の子どもたちは、会社勤めやら大学通いやらで毎日帰りが遅い。むしろ毎朝5~6時に起床して、その頃から順次出勤、通学の身支度に入っていく間のわずかな時間で会話を交わすことの方が多い。1人で海外出稼ぎに行っているオヤジに対して、幸いなことに「ウザい」というのはないらしい。父親の質問には、面倒くさがらずに答えてくれている。

たいていの場合は、オヤジの側から各々の息子、娘の学業や仕事に関する質問が話のネタになる。逆に子どもたちの側からオヤジの海外駐在生活や仕事の中身について質問してくることは少ない。ないものねだりなのだろう。僕自身の若い頃を振り返ってみても、たまに帰省しても、もっぱら訊かれたことに答える形で会話は展開していた。愚息の側から問いを繰り出すような甲斐性は、当時の自分もなかった。

だから、娘から、「この本、(お父さんが読んでも)面白いと思うよ」と言って本書を渡されたのは意外だった。

装丁がレトロ風だなと思って手に取ったら、2005年の発刊だった。このブログ並みに年季が入っている。当然、娘は中古で購入したらしい。こういう本に興味を持った我が子の視点にも感動する。推しのユーチューバーの動画ばかり見て、暇さえあれば漫画ばかり描いていた娘が、こういう本も蔵書に加えていたというのは、驚きでもある。

たぶん、漫画を描いたりする時の、キャラ周りの小物の素材をストックしておこうという意図もあってのコレクションなのだと思う。でも、そのコレクションと、オヤジの仕事をつなげて考えられる発想を得るためには、オヤジが海外駐在で取り組んでいる仕事の中身に、ある程度の理解をしていることが求められる。

そして、実際にオヤジの今指向しているところとかなりフィットしているように思えたのである。

人に見せるものではないけれど、あると便利で快適に暮らせるもの。ここにあるのはどれも私にとってそんな存在。生活の場面場面で”あー、こんなのあったら…”と思わず口をついて出た、ホントの本音から生まれました。こういう、かゆいところに手が届くものってなかなか売ってない。自分しか思っていないようなことでも、ひとつずつ拾い上げ、形にしていけるのも、手づくりのよさだと思います。(p.32)
———その通りだと思う。

僕の仕事はそれをデジタル工作機械を使って進めようとしているのだけれど、ふだん相手にしているのが工科大学の教職員や学生なので、本書のような「生活の場面場面での、かゆいところに手が届くもの」という発想でのものづくりのアイデアが、ユーザーの間からなかなか出て来ない。ややもすると、「大学のカリキュラムの中でどう生かすか」「ロボットやAI、IoTをどう取り込むか」というように、思考に一定の枠をはめてしまって、「日常生活」の中の「ちょっとした不便」という発想になかなか至らない。

同様に、それを見守る「大人」の側も、デジタル工作機械を、「若者が習得すべきスキル」と他人事のように見ている。「あなたもやりませんか」と水を向けると、「とんでもない、自分にはできない」と即座に全否定される。僕自身が独習を始めたのは50代に入ってからで、新しいことを覚え始めるのに年齢は関係ないといくら強調しても、どうしても共感してもらえないでいる。

「日常生活」の中の「ちょっとした不便」というところにまで目線を落として来れたら、今やっている仕事のカバレッジの拡大にもつなげられるのではないかと思う。そういう「不便」がどこにあるのかを、具体的なケースを40以上も紹介し、かつそれをどのような材料を用いてどのように作っていくのかを、イラスト付きで解説しているのが本書だ。僕は今までこのタイプの本にあまり目を通したことがなかったので、ページをパラパラめくってみて、とても新鮮に感じた。

これと似たことをブータンでやろうとしても、日本と違って簡単には手に入らない材料が多いので、結局のところは自分で考えないといけないことが多い。とはいえ、縫い物に関するいくつかの事例は、そこからブータンで自分が置かれた環境において、どう展開したらいいのかを考える、参考例とはなった。

こういう本を紹介してくれる娘の成長に、感動、感謝のここ数日であった。

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