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『フューチャー・プレゼンス』 [仕事の小ネタ]

内容紹介
脳内セラピー、SEX&TECH、新型ロマンス、仮想現実が未来をハックしはじめている。
「VRはAI以上に、僕らの世界を激変させる」【解説】WIRED日本版編集長 松島倫明
「ヴァーチャル・リアリティ技術の発展をジャーナリストとしてつぶさに見てきた著者ルービンは、 VRが――ゲームファンやハイテクマニア、SFファンだけでなく――全ての人々の生活をどう変え、今後どんなに楽しい社会をもたらすかを本書で明かしている」
ソニー・インタラクティブエンタテインメント・ワールドワイド・スタジオ プレジデント 吉田修平
VRはあらゆる産業を大きく成長させる可能性を秘めている――旅行なら、ビーチで過ごすのに飛行機のチケットを手に入れる必要はなくなる。PTSDの治療や薬物乱用に対する効果も期待できる。家を探している人は遠くの物件を手軽に内覧できるようになる。そう、VRはすべてを〝破壊する〟。その要因となるのが、VRの持つ実体感(プレゼンス)だ。
【購入(電子書籍)】
今から半年以上前、VR/AR/MRの文献を何冊かかじっていたことがあった。その時に、次の読み物を本書の定め、キンドルでダウンロードしたのだが、その後なかなか読み進めることができずに放置。11月に鳥取旅行した時に少しだけ前進させたものの、それでも15%付近でストップしてしまった。半年以上もの間、「読書メーター」の「読んでる本」のリストに放置していたが、先週末にキンドルを買い替えたのを契機に、その記念すべき読了第1号として読み込み再開し、日曜日に読み終えた。

正直、ホッとした。何か学べたかと問われたら、一気通貫で読んだわけではないもので、なんとも感想が述べられない。手元にOculusでもあって、実際にVR体験をしていればともかく、描かれている情景描写が素直に頭に入って来ない。少なくとも個人的にヘッドマウントディスプレイを購入する予定は今のところはないが、自分がこれから携わる仕事の一環としてなら、ひょっとしたら1台ぐらいは購入する予算を確保して、実際にどう使うかを同僚と一緒に考えてみてもいいかもなとは思う。

例えば、リモートでZOOM会議とかやっていても、結局のところはディスプレイ越しのコミュニケーションであり、向こうもこちらも、会議参加中に何か他ごとをしていても気付かないし気付かれない。また、会議参加中であっても、そうやってPCの周辺環境から別の視覚情報などが飛び込んでくるために、議論に集中しようにもできないことが多い。オンラインでの会議は意外と集中できないというのが、この1年それを利用して来ての正直な感想だ。

これに対して、もしヘッドマウントディスプレイを装着してオンラインで会議に臨めるなら、没入感はけた違いであろうことは容易に想像がつく。他の情報が周辺から入って来ないから、目の前の会議には集中できる。会議室のようなところで、円卓に参加者が皆着席し、発表者がプレゼン内容をスクリーンに投影するなんてこともできるのかもしれない。

今のはオンライン会議の話だけれど、もしこれが国境も越えて、2地点をつないで行えれば、これまで現地に行って関係者に聴き取りしないといけなかったフィールドワークは、現地に行かなくてもできるようになるかもしれない。そこには言語の違いという壁もあるかもしれないが、そこに第3の地点から通訳として参加可能な人が介在できれば、皆が移動の時間と費用を節約し、それでも必要な情報収集が可能になるかもしれない。逆に、ある技能に習熟した人が、その技能を誰かに教える時も、わざわざ現場にまで行かずとも、文字通り「手取り足取り」の指導ができるかもしれない。

―――そんな可能性を感じさせてくれる本だった。勿論、今でのネット接続の問題は残っているが。

先週、東京の某私大の学生と、インド・オディシャ州の農村部の大学生との、オンライン交流会というのをホストする機会があった。双方とも訊かれる質問のポイントがちゃんと理解できてなくて、質問に対して適切な回答ができていないという点、インド側の大学生のほとんどがZOOM会議が初めてで、しかもスマホで参加していたという習熟度の課題もあったが、取りあえずはつながった。しかし、スマホの画面越しでは、彼らの背後に広がるオディシャの農村社会の様子を垣間見ることは難しかったように思う。オディシャ側の大学生にヘッドマウントディスプレイを装着してもらって話せたら、面白いかもしれないと感じた。

マインドフルネスや新型ロマンス、ポルノ改革といった、まあVRが普及して行ったら当然開拓されるであろう領域の話には正直あまり興味はなかったけれど、これが国際協力の領域でどのように生かされるのかには強い関心がある。少なくとも、「現場を見るまでは何も始まらない」というのは言い訳として通用しなくなる時代が、わりと近くまで来ているのではないかと思えてきた。

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