『科学技術政策』(日本史リブレット) [仕事の小ネタ]
内容紹介
科学技術という言葉はいつどうして現れたのだろうか、現在の科学技術政策はどのようにかかわるのだろうか。明治初年に「科学」「技術」という言葉ができてから、科学技術政策が発足するまでの歴史的過程をたどる。
SDGsの時代になって、「科学技術イノベーション(STI)」という言葉が高い注目を浴びるようになってきた。僕ですらよく用いる言葉であるが、「科学技術」という言葉が組み合わせて使われるようになったのは意外と最近らしい。本書を読んでると、「1940年」と出てくる。科学技術という言葉は、大東亜戦争中の戦力増強のために用いられたらしい。
ただ、「科学」だけとか、「技術」だけとか、そういったバラバラでの使用については、これは明治維新後の富国強兵策の中で登場してきている。山川出版社という歴史関係の書籍に非常に強い出版社から出されたこのブックレットは、当然ながら明治初期からの科学技術振興策の変遷を描いている。
「政策」と付いているぐらいだから、本当に政府の政策制度整備の変遷の歴史が中心の記述である。本当は、「科学技術」という言葉で、具体的にどんな科学技術を意味するのか、イメージできたら良かった。例えば、明治時代と言えば僕にとっての関心は繰糸機の改善改良の歴史なのだが、そういうのにはあまり言及がない。勿論、民間主導で行われていた改善改良が、本書のカバー領域だったのかどうかは疑問だし、そもそも繰糸技術は技術ではあるが科学かといったらちょっと違う気もする。
そう考えると、こういうところで書かれるべきで書かれていない具体的な科学技術って何なんだろうか?原子力?ノーベル賞?日本にも多くの研究業績はあると思うが、それって政策の結果なのだろうか?あまり知らない領域の話なので、いろいろな疑問符を残しつつ、1時間程度の読書を終えた。
タグ:科学技術イノベーション SDGs
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