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『いきるためのメディア』 [読書日記]

いきるためのメディア―知覚・環境・社会の改編に向けて

いきるためのメディア―知覚・環境・社会の改編に向けて

  • 作者: 渡邊淳司、藤木淳、丸谷和史、ドミニク・チェン、坂倉杏介、田中浩也
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2010/08/04
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
拡張現実、クラウド型コミュニケーション、情報を物質に変える3Dプリンタ。日常に浸透する情報技術によって私たちの生活はどう変化するのか。最前線の探究例から、“未来”を描き出す。

僕たちは、「メディア」というと新聞・雑誌、ラジオ、テレビなどを想像してしまうが、ここ数カ月の間に、実は「メディア」の定義ってもっと広いんだというのを考えさせられる出来事が幾つかあった。例えば、大勢の人がメッセージ付きの同じTシャツを同じ日に着るとしたら、Tシャツですらがあるメッセージを伝えるための有効なメディアになる。何かを伝えたい時に、活字や音声、映像以外の手段は確かにあると思う。そういうことを考え始めた数ヵ月であった。

そうしたきっかけがあってこういう本にも手を出したわけだが、ひと言で言って、難解だった。なぜこういう研究プロジェクトをやったのか、どのようなメッセージを相手に伝えるのが難しくてそのプロジェクトをやってみたのか、このプロジェクトをやって社会の何がどう改編できるのか、問題意識があまりクリアな文章になっていない気がした。

3Dプリンタについては、執筆者の問題意識はわかる。また、同じ執筆者が書いた文献を他にも読んでいるので、そこから類推で理解しやすい部分はあった。でも、それは他の文献を読んでいたからであって、他の文献の方が実はわかりやすかった。発刊時期からいって、その文献の方が後だし、より多くの読者を想定してやさしく描かれていた可能性もある。また、この同じ執筆者が本書の他章で紹介されているプロジェクトにおけるソフトウェア開発者としても登場されているが、それになんで取り組んだのかはわかりにくい。

極端に読者を選ぶ本だと思う。内輪で議論を重ねて執筆していったというのはわかるので、一般読者向けというよりは、一般読者にはわかりにくい内輪の問題意識がわかる人には面白さも感じられる本なのだろう。現時点では僕自身が受け入れられるだけの能力を有しておらず、ご縁がなかったということでお許しいただきたい。

でも、アマゾンに唯一載っている書評欄に、「周波数の説明が参考になった。数学や電気が嫌いな人に、周波数で考えるとすごく楽だという話しをなんとか伝いえたいが、なかなか妙案がなかった。また、Cafe-Wall錯視が空間周波数成文にあるとのことで、なるほどと思った」とあったが、これを見て、ああなるほどとは思った。こうした方が伝えやすいメッセージもあるのだろう。その方法をいちいち考えていくのも大変だけど。

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