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『キックスターターガイドブック入門編』 [仕事の小ネタ]

キックスターターガイドブック入門編

キックスターターガイドブック入門編

  • 作者: キックスターターガイドブック製作委員会
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/12/25
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
世界最大のクラウドファンディングプラットフォーム。全世界から支援を受けてアイディアをカタチにする。世に出ていないモノを支援する。新しいモノ・コトを受け取る。クリエイティブなプロジェクトに生命を。

今月、メイカー・ムーブメント系の書籍を続けざまに読んでここに至る中で、次に一度読んでおくべきはクラウドファンディングについて書かれている本かなと思い、キンドル版をお取り寄せしてちゃちゃっと読んでみた。昨年、Kickstarterの日本語版サイトがリリースされて、日本人にもKickstarterが使いやすくなったのを受けてのムック本である。

日本でクラウドファンディングといったら、ReadyForやMakuakeが普及していると思う。ブータンで言えば、ちょうど2年前に当時の青年海外協力隊員がReadyForで資金調達してブータンの柔道選手の日本遠征を実現させた。今も、インドかスリランカの協力隊員が両国のラグビーチームで試合を実現させたいというのでクラウド資金調達をやっているが、これもReadyForを活用している。今ティンプーで営業中の「ラーメン颯(HAYATE)」さんも2年前にクラウドで創業資金の調達をやられていたが、活用されたのはMakuakeだったと記憶している。

いずれも日本人が日本語で、日本で資金調達するには向いているプラットフォームである。そういう資金調達の仕方が良いケースもあるだろうが、逆にバッカーが日本限定になってしまうこともあり得る。そこにKickstarterが登場。直前に読んだ『私たちはみなメイカーだ』の中でも、Kickstarterで資金調達したハードウェア・スタートアップの話がいくつも紹介されていたが、広く世界中からバッカーを募ることができるという点で、Kickstarterには可能性も感じる。但し、クリエイターは英語でのプロジェクト紹介ができることが必須となってくるらしいが。

95頁しかない本書の構成は以下の通りである。

 -Kickstarterでできること
 -Kickstarter用語解説
 -Kickstarter Japan カントリーマネージャー児玉太郎氏インタビュー
 -クリエイターインタビュー (世界初フルオープンエアヘッドホン開発者・今村泰彦氏他 )
 -プロジェクト立ち上げの基礎知識
 ーバッカー(支援者)になるためのマニュアル
 -Kickstarter CO-FOUNDER ヤンシー・ストリックラー氏トークセッション紹介

この中でも特にキモなのは、朱書きで記したハウツーの部分だろう。僕はキンドル版で読んだので少々読みづらさがあったが、書籍版で読まれる方が見開きの編集は読みやすいに違いない。相当細かく、Kickstarterのサイトの活用の仕方が書かれている。

実際にKickstarterを僕が活用するかとなると、ちょっと考えてしまうところもある。

僕のクラウドファンディングへの心理的障害が軽減されたきっかけは、今年の初めにキングコング西野の『革命のファンファーレ』を読んだからである。彼はそれで資金調達して絵本を出版した、日本国内でのクラウドファンディングとしては最大級の成功事例を示したわけだが、本書の中で「マネタイズのタイミングを前倒しにする」というようなことを書いておられた。本を出版するにはプロジェクトをスタートさせる時点で資金が必要だし、版元を納得させるにはこの本を出せばこれだけの人が買ってくれるという確証を持たせなければならない。本は出版された後、その売上げによって版元も著者も費用を回収する仕組みになっているが、もし予めどれだけの人が買ってくれるか証明できれば、版元との交渉材料にも使えるのである。

『革命のファンファーレ』を紹介した際に僕が書いていたのは、ブータンでの仕事を終えて日本に帰ったら本を出そうという夢であった。書き始めているわけではないが、意識してデータは集めているところである。なので、僕が個人的にクラウドを活用する最初のケースは自著の出版になることを想定しているが、それはもうちょっと先で、しかも日本語の書籍なんだから、活用するプラットフォームは日本人が見てくれそうなところになっていくだろう。

勿論、このガイドブックの中でも、Kickstarterで1冊1万円もするような写真集を日本の印刷所で製作するというのを実現させたクリエイターの話も載っていたので、書籍出版自体はKickstarterでもできる。でも、本書の事例では想定されるバッカーは世界中にいて、英語での出版だったようなので、僕が想定しているものとはちょっと違うなという印象。

一方で、そういう世界中の人に知ってもらって支持して欲しいようなアイデアもあることはある。書籍出版ではないが、「ブータンでこんなことをやってみたい」というアイデアはあって、僕のブータンでの残り時間を考えたら、こちらの方が緊急性が高い。しかも、これは日本人に知ってもらいたいというだけではなく、できれば世界中の人に知ってもらって、サポートしてもらいたいアイデアでもある。そうなるとKickstarterの方が向いているかな。別に僕自身でやらなくてもいいことかとは思うが、長く続けていける仲間を集めないといけない。

企業組織の中にいると組織の論理でできないことも、こうした仕組みを利用すれば実現が可能になる。読んでいて最初のうちはでも手続とか煩雑で、特に英語でというところが大変そうで、実現させるのも難しいと感じていたが、Kickstarterローンチ直後の最初の成立プロジェクトが3人のバッカーから35ドル集めて、リワードは5ドルでバッカーの絵を描くというものだったというのを知り、ちょっと背中を押された気がする。もう一度読み直す予定。今度は実際にアカウントを作りながらの作業になっていくと思う。

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