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労働人材省査察続報1 [ブータン]

数日前にご紹介した、反腐敗委員会(ACC)による労働人材省(以下、労働省)の査察に関する続報である。但し、ベースにしてるのは既報のBBSやクエンセルの記事同様、首相府によるプレスリリース。

政府、反腐敗委員会に労働省技能実習制度の調査を指示
Govt requests ACC to probe training contracts for India and Japan
The Bhutanese、2018年1月6日
http://thebhutanese.bt/govt-requests-acc-to-probe-training-contracts-for-india-and-japan/

2018-1-6 Bhutanese.jpg

【ポイント】
インド:昨年、労働省がインドAlfresco Solution社を通じて約150人の求職学生を派遣した際の同社による就業斡旋が行われなかったことに関するもの。問題の会社は契約上の義務を履行することができず、当時帰国した約30人のブータン人学生が職を得ることもなく帰郷している。

日本:Bhutan Employment Overseas社と呼ばれる地元代理店を経由し、約500人の学生を日本に送るというプログラムで、各学生にはそれぞれ70万ニュルタムの銀行融資が提供されている。約500人の学生に総額約3億5000万ニュルタムが貸し付けられたが、労働省はこれをどのように学生に給付したのか、直接給付なのか当該代理店経由だったのか、その透明性に嫌疑が投げかけられている由。また、どのような経緯で同社が代理店として選定されたのかも不透明だという。

加えて、日本でのプログラムでは、学生は、日本語を学習する一方で仕事に従事し、将来的には、フルタイムの仕事に就くことを目指しているが、学生の中には、日本で困難に直面した後、銀行融資を返済できなくなるという問題もあると指摘されている。

上記2事案について不正が認定された場合、反腐敗委員会(ACC)はこれがこれら2事案に限定されているのか、あるいは同省が提供するさまざまな訓練プログラムに同様の問題があるかどうかも調査することになる可能性もある。

◇◇◇◇

インド、日本、各々のケースについては過去にブログでもご紹介したので、この2ヵ国での事業が査察対象だと聞いて、すぐにどのような事案なのかは想像がついた。裏の取れていないことを憶測で述べるわけにはいかないので、これ以上は書かない。

ACCの査察は様々な事案で行われてるようで、最近もこの労働省の事案の他に、公共事業省の道路整備や王立保険公社(RICBL)関係者の不正利得について報じられている。毎日、新聞を見ると「ACC」が目に留まるというぐらいの頻出ワードになっていて、汚職腐敗に対してブータン政府が非常に神経をとがらせている様子が垣間見える。

ただ、実際に「クロ」と判定されば場合の関係者の処遇については、よくわからない。クロ判定されたのに3年居座った某公社のCEOもいたぐらいで、どこまで徹底的に罰則適用されるのか、よくわからない。「罪を憎んで人を憎まず」じゃないけれど、特定個人の責任を徹底追及するようなことは避ける人たちで、明らかに「こいつのせいでうまくいってない」と思うような場合でも、その人を罰するようなことはせず、「誰のせいでもない、天候のせいだ」「誰のせいでもない、ミスコミュニケーションのせいだ」などと、人ではない別のものに責任転嫁する発言を何度も聞かされた。ある意味、人口規模の小さい小国でそこまでシビアに相手を叩いて対立構造を作らないのは、ブータン人の生き残り戦略だとも思えるが。

そんなわけで、「クロ」判定されるかどうかはまだわからないけれど、仮に「クロ」だったとしても、それにかかわった人々がどう罰せられるのか、その後どう振る舞うのかは注目して見ていたいと思う。

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