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高度2300メートルの剣道ライフ [ブータン]

ここ1年半ほど、このブログではブータンの時事ネタを多く扱ってきたので、ブータンLOVEのコアな読者の方々はたぶんご存知ないでしょうが、僕は一応現役の剣士である。五段を取得したのはブータン赴任直前の昨年4月。当然、次の目標は「還暦までには六段を」である。

だから、ブータンにいる間も続けたいとは思っていたし、できればその中から「剣道やってみようかな」と思うようなブータン人が現れることも期待はして、竹刀・木刀と剣道具を引越荷物の中に含めてブータンにやってきた。今年5月には、ソーシャルメディア経由で、「習いたい」というブータン人が僕にアプローチしてきた。やり取りを続けてみたらなんと8歳の女の子で、どこまで本気なのか疑問に思い、「お母さんの了解を取れ」と条件付けたらその後音沙汰がなくなった。

仕事やプライベートでインドのニューデリーに行く時には、印度剣道同好会(剣印会)の稽古に参加させてもらったことはある。それ以外でブータンで面をかぶったことは一度だけある。それは、昨年夏に家族を一時呼寄せした時で、当時まだ地元の道場に通っていた次男に竹刀と剣道具を携行させ、職場の人々や職場の近所の小学校の生徒の前で演武を見せたというものである。そして、そこでわかったのは、海抜2300メートルの高地での剣道は、最初の「切り返し」だけで息が上がってしまうということであった。

それが一種のトラウマでもあったが、それ以前に、この地では相手もいなくて稽古ができない。ある高貴な方々からも「一度見せてくれ」と言われたことがあるが、勝手を知っている相手がいないとこればかりは1人ではできない。居合の演技ではないので。

そんなこんなで悶々と過ごしていたところ、7月に赴任して来られた青年海外協力隊の方で、1人剣道二段の方がいらっしゃるのを知った。早い段階から「剣道具持って来て下さい」とお伝えして、持ってきていただいた。

次の課題は稽古場探し。ティンプー市内で最もいい体育館を持っている学校に電話で下見を申し入れたら、「市の了解を取れ」というお堅い返事。YDF(青年開発基金)の多目的ホールはどうかとも考えたが、こちらは1時間程度の稽古でしか使わないのに、1日フルの料金設定しかなく、しかもそれがべらぼうに高かった。しばらく稽古場探しで悪戦苦闘したが、方針転換して市内のカンフースタジオに当たってみた。天井の高さと広さが多少気になったが、2人で稽古する分にはなんとかなるだろうと判断。1カ月の賃料は何回使っても3000ニュルタムとお得だったので、ここを使用させてもらうことにした。

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《日本剣道形だけではなく、通常の稽古もやってます》

10月初頭より稽古をスタート。毎週土曜日の午後4時からの1時間。取りあえずは2人なので、日本剣道形の復習と、面・小手着用しての基本打突の稽古で1時間を費やしている。早素振り30本でも息が上がるので、激しい打突を繰り返す稽古は難しく、今は1本1本を大切に、大きく打つことを心がけ、合間合間にこまめに休みを入れている。

見学に来られた方もいて、少しだけ剣道を体験してもらっている。自分自身が初心者に教えるというのも久しくやってなかったことなので、勝手はわからないが、もう少し希望者が増えたら、初心者の部と経験者の部は分けてやることも考えたいと思う。

そんなこんなでようやく始まったブータンでの剣道ライフ。当面の目標は12月までに日本剣道形を小太刀三本目まで仕上げることにしている。これができれば、現在二段のN隊員も、次の三段挑戦に面食らうこともないだろう。僕自身がいつまでいられるのかは定かではないが、いる間は細々とでもこの稽古は続けていきたいと思う。

剣道未開の地ブータンでも、剣道が産声を上げました。

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