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目に余るスマホ使用 [ブータン]

許しがたい会議中の携帯電話使用のマナー違反
Inexcusable breaches of cell phone ettiquete in meetings
BBS、2017年10月11日、Surjaman Thapa、Karma Wangdi記者(トンサ)
http://www.bbs.bt/news/?p=82224

2017-10-11 BBS.jpg

【ポイント】
会議中に携帯電話を操作することは、最近、スマートフォンへのアクセスが増えている人々には珍しいことではない。多くの人がその行為を不適切と見ており、重要な議論が行われているときには、それが注意散漫を招くと指摘する人もいる。

最近行われたトンサ県議会でその典型的な事例を見ることができた。同県における様々な問題や課題が議論されていたが、一部の出席者は携帯電話に夢中であった。ウゲン・テンジン議長は、会議で電話機を使用することを控えるよう出席者に繰り返し注意せねばならなかった。「重要な問題が議論されている場合、携帯電話を使用することは注意力を散漫にする。あなたがたが電話で忙しい時は、議論に集中できず、結果、実りある意思決定を行うことができない」と議長は付け加えた。

他県関係者もこのトンサ県議会議長の見解に同意する。ペマガツェル県の副知事も、「会議について何か重要なことがない限り(註:ママ)、携帯電話を使うことは賢明ではない。会議に出席する目的は何かを学ぶことであって、携帯電話で遊ぶことではない」と述べる。

口頭での警告はあまり役に立たないかもしれない。会議では携帯電話を禁止する必要があると示唆する人もいた。

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よくぞ言ってくれました!県議会の議長が会議中に警告するなんとよっぽどのことだったのだろうと思うが、それをちゃんと拾って報道したBBSもファインプレーだと思う。誰もが感じているに違いないことを、言葉で指摘するのは難しい。BBSも日常茶飯事として起きていることを報じるのは難しかったかもしれないが、今回は県議会の議長が使用をやめるよう再三忠告したという出来事があっての報道だろう。

確かに会議中のスマホ使用は目に余る。僕が直接目撃した事例を3つ紹介してみよう。

【その1】ある会議で、議事進行を務めるべき議長が再三にわたりスマホをいじり、時折SNSでメッセージを送信していた。多分噂のWeChatで何かの指示でも出していたのだろう。でもそのせいで、議論の流れについていくことができず、直後に完全にKYな発言をなさった。会議の議長でもそんなことをやっちゃったら、他の参加者のスマホ使用ににらみを利かせるなんてことは全く期待できない。

【その2】別の会議の場での話。テーブル最前列にはたいていの場合、序列が高い順に着席していく。テーブルがなく、1列後ろの座席に着席している序列の低い参加者は、発言機会がないことが予めわかっているからか、ずっとスマホをいじっていた。僕はその対面のテーブル席でずっとそれを観察していて、わざとその人に当てる質問をした。不意打ちを喰らったようにその人は答えられなかった。

【その3】これまた別の会議での話。日本から大事なお客さんが数名来られて、ブータン政府側から対面に8名が着席し、投資誘致に関する協議が行われていた。その中に1名、再三にわたりスマホに目をやり、時折メッセージを送信し、その返事を見て深刻な顔をしていた職員がいた。協議の進行など完全にうわの空。その人の振る舞いは目に余ったが、ひどい時は8人中6人が同時にスマホをいじっている場面があった。投資誘致を本当にしたいのか、本気度が疑われる場面だった。

断っておくが、かく言う僕が会議中にスマホを全くいじらないかというとそんなことはない。会議中によくわからない英単語が出てくればグーグル検索で意味を確認するなんて形での使用は時々やっている。但し、それはその会議の議論にちゃんとついていくためにやっていることであって、同時進行の別のタスクをこなすためにやっているわけではない。

会議中のスマホ使用があまりにも目立つので、誰がよく使用するのかを見ていくと、議長自らが使っているというケースは言語道断だとしても、たいていの場合は、その会議での発言機会がほとんどない参加者であるケースが多い。この国では上の人が言うことが絶対であり、自分はそうは思っていなくても、会議の場で反対意見を述べることなどほとんどない。異論を腹に持っているならまだいい方で、異論を挙げることすらせず、思考停止状態にあるケースも多いのではないかと思える。僕らでもそうだが、明らかに自分には発言機会が回ってこないとわかっている場合、あまり議論に集中できないということはあり得る。

突き詰めていくと、会議中のスマホ使用は、マナーの問題という側面もあるだろうが、会議のあり方の問題でもあるように思う。明らかに発言機会の与えられていないような下々の者まで動員をかけられ、数十人も出席しているような会議があるから、スマホ使用の余地をわざわざ作っているとも言える。発言しない奴は会議に出なくていいとか、発言しないなら書記か何かの特別なタスクを与えて議事進行に集中させるとか、もうちょっとやり方の工夫はあるような気がする。

それと、そもそも出席者が集中してないような会議や研修、ワークショップ、セミナー、シンポジウムなどが多すぎるようにも思う。誰かが発表をやって、その後質疑応答を行うけれど、たいていの場合はフロアからの質問やコメントは出てこない。議場の前の方の人は序列が上なので発言するケースはあるが、序列が低くて後ろの方に座っている人は、ほぼお付き合いで座っているだけだ。そういう会議のあり方には、スマホをいじらせる余地を与えない、会議に集中させる仕掛けを、主催者側も考えていく必要があると思う。

とはいえ、会議を良くするにはトップの意識変革も必要である。ただ漫然と会議を主催するだけではなく、集中させる仕組みを考えていくことにもリーダーシップを発揮する必要があるし、それでもスマホをいじっちゃう出席者を想定して、単なる警告以上の罰則――一発レッドカードで即退場とか――を適用することも必要。それを厳格に適用するには、自らがスマホをいじらないという、当たり前のことだけど実はできていないことが多いディシプリンを率先して実行していくことが必要だ。

また僕自身も、今回のトンサ県議会議長の英断には勇気をもらったので、あまりにもスマホ使用が目立つ会議では、自ら発言しようと思う。「トンサ県議会議長も言っているではないか。会議中にスマホいじるのはみんなでやめようよ」と。

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