謎のブータン納豆 [ブータン]
以前、高野秀行著『謎のアジア納豆』をブログでご紹介した際、「折角リビ・イッパのことを知ったので、一度ちゃんと調べてみて、ブログでもご紹介してみたい」と書いた。本日お届けするのはその続報。
デチェンリンの農家では大豆が有望
Soya bean offers business prospects for Dechhenling farmers
BBS、2017年5月27日、Thinley Dorji通信員(ペマガツェル)
http://www.bbs.bt/news/?p=73132
【報道内容】
大豆発酵食品は、ペマガツェル県デチェンリン郡の村民グループにとってビジネスの機会となっている。つい最近まで大豆は自家消費用に栽培されるのみだったが、今では年間10万ニュルタム以上を稼ぎ出す。
地元では「リビ・イッパ(libe-yidpa)」の名で知られる発酵大豆の加工プロセスはいたってシンプルだ。大豆は先ず煮沸され、次にすりつぶす。こうして出来上がったペーストは、形を整えてオーブンで乾燥させられる。最後はパッケージされて、ナンラムの町の店頭に並ぶのである。
リビ・イッパはカレーに混ぜて使われる他、ローストして食べることもある。シン・チョンリ(Shing-chongri)発酵大豆生産者組合はエゼやトウガラシ・ペーストも作っている。ソナム・ワンモ組合長によれば、発酵大豆ビジネスは村民の生計向上に貢献しているという。
6人のメンバーから成る生産者組合は、祖父母の代から受け継がれてきた文化の継承にも熱心である。これまで、リビ・イッパは村民の自家消費か公務員への贈答品としてしか作られてこなかったが、今では大豆栽培はデチェンリン郡の新たな商品作物となっている。
生産者組合では、毎年約3000kgの大豆を生産する。シン・チョンリ発酵大豆生産者組合は2012年の設立。
BBSのHPでは5月29日付となっているが、実際には27日夜のニュースで報じられた。たまたまこの日はニュースを見ていて、キャスターが「発酵大豆」と言ったのを耳にした。レポーターが読み上げたナレーションは上で訳した通りだ。
高野秀行の著書では「リビ・イッパ」はサムドゥップジョンカル県で生産が盛んだと書かれていたと思うが、ニュースではその西隣のペマガツェル県の生産者組合の話である。BBSのHPには写真もあったので、イメージしやすいかと思う。
残念ながら、これら東部産のリビ・イッパはティンプーのサブジ・バザールでは見かけたことがない。バザールによく野菜や果物の買い出しに行っている知人とかに訊くと、「リビ・イッパじゃなくて、『キニマ(Kinema)』というチラン産の納豆ですよ」と言われる。そこで、実際にサブジ・バザールで見てきた。確かにあった。
売られているお店で、新聞に包まれているものに顔を近づけてみると、かすかに納豆特有のにおいがした。お店のお姉さんに「チラン産よ」と言われた。製法は同じなんだろうけど、生産地が違うのだ。移動に最低2日はかかる南東部のペマガツェルやサムドップジョンカルから、ここまで運ばれてくる発酵食品って確かにイメージしにくい。
新聞に包まれていたのは生の納豆、写真手前のビニール袋に入っているのが乾燥納豆である。1人暮らしの僕としては、両方買う勇気はなく、取りあえず生の方だけ購入した。
家に帰って、開けてみると、確かに納豆っぽいが、僕らが知ってる納豆に比べたらかなり黒っぽい。しかも、粘り気が殆どない。でもにおいは明らかに納豆だし、食べてみた舌触りも、少しすりつぶし具合が足りなくて口の中でもごつごつするが、味は明らかに納豆だ。
最初はオクラでも茹でて混ぜてみたら粘り気も出てくるのではないかと考えたが、それをやって速攻で下痢になった人の話を聞いて、怯んでしまった。取りあえずは醤油をかけて混ぜてみようかと試みたが、なにせ粒が粗くてかき混ぜること自体が難しい。それと、和辛子でもあるといいのだろうが、そんなものも持ってきていない。取りあえずは買って食べてみたというに過ぎないので、これからいろいろ試してみようかとは思っている。
酒のつまみにしてもみたが、なにせ塊がでかい。日本のパッケージの6人分ぐらいはありそうだ。これを一回で食べ切るのは難しいし、それでは主食になってしまいそうだ。完食するのに3日ぐらいかかった。食べ方のバリエーションを増やさないと、これだけではおいしく食べられない。
高野秀行の本ではリビ・イッパのことが書かれているが、ティンプーではチラン県産のキニマとして売られていて、かつグーグル検索してみると、リビ・イッパはともかく、キニマに関しては結構な数の学術論文も存在するようである。
まだまだ探求の余地はありそうなブータン納豆。チランだったらそのうち生産農家を訪ねてみたいと思っている。その時はまたブログでもご紹介してみたい。
デチェンリンの農家では大豆が有望
Soya bean offers business prospects for Dechhenling farmers
BBS、2017年5月27日、Thinley Dorji通信員(ペマガツェル)
http://www.bbs.bt/news/?p=73132
【報道内容】
大豆発酵食品は、ペマガツェル県デチェンリン郡の村民グループにとってビジネスの機会となっている。つい最近まで大豆は自家消費用に栽培されるのみだったが、今では年間10万ニュルタム以上を稼ぎ出す。
地元では「リビ・イッパ(libe-yidpa)」の名で知られる発酵大豆の加工プロセスはいたってシンプルだ。大豆は先ず煮沸され、次にすりつぶす。こうして出来上がったペーストは、形を整えてオーブンで乾燥させられる。最後はパッケージされて、ナンラムの町の店頭に並ぶのである。
リビ・イッパはカレーに混ぜて使われる他、ローストして食べることもある。シン・チョンリ(Shing-chongri)発酵大豆生産者組合はエゼやトウガラシ・ペーストも作っている。ソナム・ワンモ組合長によれば、発酵大豆ビジネスは村民の生計向上に貢献しているという。
6人のメンバーから成る生産者組合は、祖父母の代から受け継がれてきた文化の継承にも熱心である。これまで、リビ・イッパは村民の自家消費か公務員への贈答品としてしか作られてこなかったが、今では大豆栽培はデチェンリン郡の新たな商品作物となっている。
生産者組合では、毎年約3000kgの大豆を生産する。シン・チョンリ発酵大豆生産者組合は2012年の設立。
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BBSのHPでは5月29日付となっているが、実際には27日夜のニュースで報じられた。たまたまこの日はニュースを見ていて、キャスターが「発酵大豆」と言ったのを耳にした。レポーターが読み上げたナレーションは上で訳した通りだ。
高野秀行の著書では「リビ・イッパ」はサムドゥップジョンカル県で生産が盛んだと書かれていたと思うが、ニュースではその西隣のペマガツェル県の生産者組合の話である。BBSのHPには写真もあったので、イメージしやすいかと思う。
残念ながら、これら東部産のリビ・イッパはティンプーのサブジ・バザールでは見かけたことがない。バザールによく野菜や果物の買い出しに行っている知人とかに訊くと、「リビ・イッパじゃなくて、『キニマ(Kinema)』というチラン産の納豆ですよ」と言われる。そこで、実際にサブジ・バザールで見てきた。確かにあった。
売られているお店で、新聞に包まれているものに顔を近づけてみると、かすかに納豆特有のにおいがした。お店のお姉さんに「チラン産よ」と言われた。製法は同じなんだろうけど、生産地が違うのだ。移動に最低2日はかかる南東部のペマガツェルやサムドップジョンカルから、ここまで運ばれてくる発酵食品って確かにイメージしにくい。
新聞に包まれていたのは生の納豆、写真手前のビニール袋に入っているのが乾燥納豆である。1人暮らしの僕としては、両方買う勇気はなく、取りあえず生の方だけ購入した。
家に帰って、開けてみると、確かに納豆っぽいが、僕らが知ってる納豆に比べたらかなり黒っぽい。しかも、粘り気が殆どない。でもにおいは明らかに納豆だし、食べてみた舌触りも、少しすりつぶし具合が足りなくて口の中でもごつごつするが、味は明らかに納豆だ。
最初はオクラでも茹でて混ぜてみたら粘り気も出てくるのではないかと考えたが、それをやって速攻で下痢になった人の話を聞いて、怯んでしまった。取りあえずは醤油をかけて混ぜてみようかと試みたが、なにせ粒が粗くてかき混ぜること自体が難しい。それと、和辛子でもあるといいのだろうが、そんなものも持ってきていない。取りあえずは買って食べてみたというに過ぎないので、これからいろいろ試してみようかとは思っている。
酒のつまみにしてもみたが、なにせ塊がでかい。日本のパッケージの6人分ぐらいはありそうだ。これを一回で食べ切るのは難しいし、それでは主食になってしまいそうだ。完食するのに3日ぐらいかかった。食べ方のバリエーションを増やさないと、これだけではおいしく食べられない。
高野秀行の本ではリビ・イッパのことが書かれているが、ティンプーではチラン県産のキニマとして売られていて、かつグーグル検索してみると、リビ・イッパはともかく、キニマに関しては結構な数の学術論文も存在するようである。
まだまだ探求の余地はありそうなブータン納豆。チランだったらそのうち生産農家を訪ねてみたいと思っている。その時はまたブログでもご紹介してみたい。
「謎のアジア納豆」、わたしも読みました!
ブータンの納豆はごはんと食べるのは・・・なんですね。本で読むと「そんなこともあるんだな」って感じる程度ですが、こうしてブログで写真入りで派遣すると急にリアリティを感じます。
by カオリ (2017-08-27 14:12)
カオリさん、お久しぶりですね。どうもこの納豆はトウガラシと混ぜて食べるみたいですよ。ここでご紹介して以降、サブジ・バザールで納豆を見かけなくなったので、旬の時期があるのかもしれません。
by Sanchai (2017-08-27 22:35)