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ソーシャルメディア雑感 [ブータン]

Wechatの農村生活への食い込み方
How Wechat and other social media platforms are penetrating rural Bhutan
The Bhutanese、2017年5月20日、Damchoe Pem記者
http://thebhutanese.bt/how-wechat-and-other-social-media-platforms-are-penetrating-rural-bhutan/

Wechat.png
《記事とは何ら関係のない画像ですが…》

【ポイント】
無料インスタントメッセンジャーアプリ「Wechat(ウィーチャット)」は、ブータン中部のダガナ県で、コミュニケーションや情報共有の手段として最も広く利用されているプラットフォームである。Facebook等の他のソーシャルメディアの利用者が殆どいない中で、Wechatは公務員であろうと農民であろうと、皆が利用している。

人々は、いかなる課題であろうといかなる会合であろうと、即時に情報を共有するためにWechatを利用する。しかし、インターネット接続はダガナ県では不安定で、必要な時にWechatでもつながらないこともしばしば。政府が進めるG2Cサービスが県内各郡でなかなか普及しない理由はそこにある。

ダガナ県でも新聞やテレビといった伝統メディアはアクセスがあるが、人々の間では、そこでカバーされるニュースはほとんどが都市部の話であり、地方や近所で何が起きているのかはソーシャルメディアで知ることが多い。また、新聞はダガナまではなかなかすぐには届かないが、ソーシャルメディア上での情報は即座に駆け巡る。

もし緊急医療サービスを受けたい、あるいは治療のための資金が足らず、支援者を募りたいといった場合、即座に支援を得るプラットフォームとしてWchatは有効。また、遠方の知人や親類と連絡を取るのにも、ソーシャルメディアは費用対効果が高い。多くの人々が外国に行く時代、電話のような通信手段は高すぎて、長時間の通話は難しいが、携帯アプリならいつでも連絡を取り合える。

Wechatを賢く利用している人は良いインパクトをもたらすが、使い方を誤ると、家庭内でも様々な問題を引き起こす。ソーシャルメディアの使用を巡り、家庭内暴力が起こったケースが数件ある。また、人々に誤った情報や卑猥な画像を意図的に流したりするのに意図的に使用したりすることも起こり得る。

インターネット接続の改善はブータン農村部では依然として大きな課題だが、ソーシャルメディアについては、長所と短所をしっかり見極め、賢い使い方を見い出していく必要がある。

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Wechatというのは中国の大手IT企業テンセント(騰訊)が作った無料インスタントメッセンジャーアプリである。僕の場合は日本に住む家族とのやり取りではもっぱらLINEを使っているけれども、ブータン人は周囲を見ていても明らかにWechatを利用しており、会議の最中でも頻繁に着信通知が鳴るし、しかも会議中であるにも関わらず、Wechat上でテキストメッセージを打ち始める人もいる。ひどい時には、議長自らが議事を投げ出して受信メッセージを読んだり、返信したりする姿を見かける。

先日、オフィスの車で15分ほど走ったところ、運転手の懐に入っていたスマホから、都合8回にわたってWechatの着信通知が聞こえてきた。運転手が加わっているグループの中でのメッセージのやり取りだったらしいが、後で聞いたらグループのメンバーの誰かと誰かのやり取りだったという。

オフィスワーカーでも、着信があればすぐに内容はチェックするし、必要あればその場で返信メッセージを打ち始める。これはLINE上で僕も時々やっていることだから人のことは悪くは言えないが、態度問題なのではないかと思う。同じソーシャルメディアでも、Facebookに関しては僕は仕事中にメッセージを入力・発信したりはしない。

聞けば、Wechat上で彼らがやり取りしている言語はゾンカ語が多く、時にネパール語やヒンディー語、そして英語が加わるという。テンセントのHPにはWechatの普及マップが載っていて、これによるとブータンは空白となっているが、実際のところは周囲はWechatユーザーだらけという状況で、この記事を読むと地方でも同様の事情らしい。当然、スマホ持っている人自体は農村に行くと少ないかもしれないが。

Wechat02.jpg

ブータンの職場では、外国人の僕らがまったく知らないところでいつの間にか物事が決まっているという事態に度々遭遇する。どこで世論形成されているのかというと、職場の同僚の間でもWechatのネットワークがあり、そこで情報や意見のやり取りが行われているのだという。そりゃ頻繁にスマホに目をやる人が多いわけだ。たとえWechatに加わったからといって、ゾンカ語でやり取りされた日にゃ、僕らにはまったく立ち入れない世界になってしまう。

逆に言えば、開発プロジェクトの効率的な実施を考えていく上では、そうしたソーシャルメディア上でうまく情報を流せれば、これまでとは違ったステークホルダー間のコミュニケーションが取れるという可能性もある。新聞記事で述べられている、「利点と欠点をしっかり見極めて賢く使え」というのはまさにその通りである。

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ソーシャルメディアに関しては、最近もう1つ個人的に体験した出来事がある。

Facebookのメッセンジャーに、知らないブータン人から英文のメッセージが来ていた。友人関係になかったので、気付くのが2週間遅れた。しかとすることもできたのだが、メッセージの内容は、僕に剣道を教えて欲しいというものだった。「ブータン人初の剣士誕生か!!」―――喜んだ僕は、教えることはやぶさかではないと英文で回答した。

ところが、その直後の数回にわたるやり取りの中で、相手が女性であることはわかったものの、こちらが回答しているにもかかわらず、同じ質問を何度も繰り返してしてくる傾向があるのに気付いた。ひょっとしたらこの女性、僕の返した英文メッセージをちゃんと理解していないのではないかと思い、失礼ではあったけれども、相手に年齢を尋ねた―――。

なんと、8歳、小学校2年生だった。

まあ相手が何歳であろうと剣道はできるし、子供用の竹刀も手元にはあるから、教えることは可能だ。しかもこの子の学校はうちの職場の近所でもあるので学校が終わってからうちの職場に来て、これからどうやって稽古するか相談しようと提案したのだが、「お母さんが許してくれないだろう」との回答だった。そこでわかったのは、この小学生、両親の関知してないところでFacebookのアカウントを作り、親の了解も得ずに僕にメッセージを送ってきていることだった。

この小学生とのやり取りはその後も度々あり、しかもストーカー並みにしつこい。いつの間にか剣道の話はどこかに吹っ飛んでしまい、ただ単に僕が日本人だから自分の知っている日本語「こんにちは」とかを英字表記して僕にぶつけてみたいだけの内容になってきている。夜、僕が自宅で論文執筆作業をしている時とか、朝出勤前の身支度をしている時とか、こっちが忙しい時に限ってメッセージが届き、しかもしつこい。こちらが無視していると、「そこにいるの?」「なんで返事をくれないの?」というメッセージまで追加送信してくる。

この出来事からわかったことは、Wechatではないけれど、小学校低学年であってもソーシャルメディアを使っている子がいるということ、それに、英語でメッセージを送ることができるということであった。こちらの小学生が低学年であっても英語をしゃべるというのは先生が英語で授業をやるブータンの学校教育の賜物であると思うが、読み書きもある程度できるというのは驚きであった。しかも、親の知らないところでソーシャルメディアやりまくりと来ている。

賢いソーシャルメディアの利用を云々するのであれば、小学校の教育の中でもそれを伝えていかなければ本当はいけない。学校の先生方の間でも、Wechatによる情報共有は盛んに行われているというから、その辺の感覚は先生方にもあって然るべきだと思う。

「きみの学校の〇〇先生(校長)に言うぞ」―――女子小学生ストーカーに対する最後の切り札、いつ使うべきか、タイミングを考えているところだ。

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