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若者の外国留学特別融資制度 [ブータン]

若者の外国留学特別融資制度
Special loan for youth to study abroad
Kuensel、2017年5月12日、Yangchen C. Rinzin記者
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【ポイント】
5月9日に行われた国会下院の質疑において、トブゲイ首相は、政府と銀行が、外国留学を希望する若者に対し、無担保で融資を行う制度の施行で合意したと述べた。この貸付から得られる銀行収入は非課税とする制度も導入予定。加えて、外国での労働で得られた収入を積み立てるドル建て貯蓄口座の利用者も600人を超えているとの由。

下院議員からの質問に対して首相の答弁の要旨は以下の通り―――。

◆国を離れて人々が外国で働くことは政府にとっては懸念材料ではあるが、これは。人々が国を捨てることにはつながらない。彼らは就業機会を求めているのである。

◆ブータンは農業や建設、公共サービス、民間セクターにおいて人材を求めているが、人々が国を離れていくこともブータンにとってメリットがある。技能や経験、知識を修得して帰国すれば、国づくりに貢献してくれるだろう。

◆就業機会はブータン国内にも十分あるが、人々はその仕事に就きたがらないか、ないしは関心がない。

◆政府は既に、インド、中東諸国、タイ、日本に、失業者3700人を送った。

パンバン選出のドルジ・ワンディ下院議員によると、過去2年間で、約900人の公務員が離職したという。

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若者の外国留学資金を無担保で融資する仕組みというのは、3月下旬ぐらいから新聞紙面でもちらほら登場してきていた話題だ。現在会期中の国会では7月から始まる2017年度の政府予算案の審議が行われているが、この中でも、銀行がこうした融資から得る収入を非課税扱いにする制度の新設が盛り込まれていると聞く。

一方で、4月後半、クエンセル紙では、チュカ県のブナカという村のツェチュ(大祭)が、若者不在で盛り上がらなかったという話から、村を棄てて都会に出てきてしまう若者の問題を数日にわたって取り上げたことがある。チュカなんてティンプーやプンツォリンからも近く、帰ろうと思えば比較的簡単に帰れる土地だと勝手に思っているが、それでも年1回、帰省するかしないかというのがせいぜいという村の若者の話を聞き、一方で政府がこういう、失業者の外国輸出とも取れる制度を進めているのを見ると、何かが違うのではないかと思うのは僕だけではないのではないだろうか。

「失業者を日本に送る」という言い方をされると、ちょっとな~と言いたくなる。元々ブータン国内にはえり好みしなければ仕事の機会はある筈なのに、それをやらないのは3K仕事を嫌うからだ。それがどこの国に行ったとしても、良い仕事はその国の人で占められていて、残っているのはその国の人から見てもキツイと思われている仕事ばかりだろう。元々それが嫌で働いてなかったブータンの若者が、他の国に行って根気よく働き続けられるかどうか?

勿論、この制度は外国留学支援を目的としているので、就業支援では必ずしもない。外国で勉強している間に彼らのマインドセットが変わり、根気よく物事に取り組めるようになってくるというのであれば、そのまま外国で働き続けるにしても、ブータンに戻ってきて起業するにしても、多少の失敗にはへこたれず、頑張り続けられる人材に育っていくことは期待できるだろう。技能や経験、知識の習得だけではなく、外国なら当たり前の労働倫理(ワークエシックス)を身に付けることが期待できるのは良しとしよう。

最近、それなりによくやってくれていた学生インターンが、僕が不在の間に済ませておけと指示していた仕事をやらず、それを職場の誰にも引き継がずに実習期間を終えて大学に戻っていたことがわかった。2ヵ月以上放置されていた結果、二次的なトラブルが発生してしまい、僕自身が難しい立場に置かれている。職場の誰にも、もちろん僕にすらも申し送りをしなかった理由を問われたこの学生は、「大学に戻ってから忙しかったので」と、苦しい言い訳を並べた。がっかりである。

こういう無責任な「放置プレー」が割と当たり前に横行するこの国で、しかもそれを叱ると平気でふてくされ、かえって仕事を放棄してしまうような若者が、外海の荒波でもまれてどれくらい強くなれるのかは見ものだ。本当に強くなって凱旋帰国するのなら、この制度も悪くはない。でも、この半年ぐらいの間に期待を裏切られたケースの方が多くて、新しい制度が期待されるような成果を生み出すのかどうかは僕は個人的には疑問視している。

それに、こういう制度を導入して失業者を日本に送り込むつもりならば、それに合わせて関連する諸制度も合せて見直す必要があると思う。それをやらずにある制度だけを導入しようとすると、その歪みは他のところでしわ寄せとなって表れる。具体的には書きませんが。


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