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モンスーンの集中豪雨 [ブータン]

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今、ブータンではモンスーンの集中豪雨が本格化して、各地で洪水や土砂崩れの被害をもたらしている。元々人口が少ない国だということもあって、直接的に洪水土砂災害の犠牲となった人は報告されていない。

最も被害が大きいのは南部のサルパンの街である。20日の第一報以降、街の水没や道路の損壊などが新聞、テレビ、ラジオでも報じられており(上写真)、早々に国王も視察に訪れている。南西部のブータン第二の都市プンツォリンも、近くを流れるアモチュ川の流量が増し、川沿いの道路が崩壊した。プンツォリンにはトブゲイ首相が現地入りして、道路復旧作業の陣頭指揮を取っている。復旧にあたっているのは、ブータン国軍や王立警察、農林省の他、Desuupと呼ばれる、国王主導で形成された地元のボランティアグループ(日本の消防団みたいなもの?)である。

インドとの国境の街プンツォリンから首都のティンプーまでの道路は、物流の主軸となる幹線道だ。この道路も途中の土砂崩れで22日から通行止めになっており、不安になったティンプーの市民が、ガソリンスタンドの前に長蛇の列を作る姿を僕も見ている。22日夜に並んだ車は給油までに2時間以上待ったと聞く。この通行止めは、23日中に解除されるとの報道もあったが、24日夕方現在、依然として普通で、復旧にはあと丸1日はかかるとみられている。主要メディア、さらには首相自らが、Facebook上で、燃料の備蓄は十分あるので、パニックにならないようにと呼びかけている。

被害は南西部だけかというとそうでもなくて、プナカ~ガサ間でも3カ所の土砂崩れで通行止め、東部のサムドゥップ・ジョンカル~タシガン間でも、カリン付近で通行止めと報じられている。それ以前に、トンサ~シェムガン間の国道のトンサのすぐ南のマンデチュ川水力発電所建設現場付近のゾンカラム橋付近で7月5日に大きな土砂崩れが発生し、現在も通行止めが続いている(下写真)。道路の道幅を拡張するために山側の斜面を不用意に切り取ったことが大規模な斜面崩壊につながったとみられており、復旧にはさらに時間がかかると見られている。

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ティンプーもこのところ深夜から早朝にかけては雨のことが多く、日中にもスコールのような夕立が、多い時には二度も来ることがある。ここに来てモンスーンが活発化したという印象だが、幸いなことに今のところは生活に大きな影響は出ていない。

モンスーンの時期の雨だから、地球温暖化・気候変動にすぐに結び付けるのはちょっと短絡的かなという気がする。一方で、ブータンにとっては災害は災害に変わりないわけで、こういう時に政府がどのように動くのかは見ていてわかりやすい。被災地の視察と復旧作業の陣頭指揮は、どうも地域で閣僚や政府高官の担当割を決めているらしい。例えば、23日には首相はプンツォリンに入っておられたが、公共事業大臣はパロの被害状況の視察をしておられた。

また、内務文化省災害管理局は、23日付けで下記のようなアナウンスを主要マスコミを通じて流し、市民の冷静な対応を呼びかけている。

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23日は用事があって、パロまで車で出かけた。途中の国道も、所々で土砂崩れが起きており、復旧作業に当たっている作業員の姿が見られた。単なる落石という箇所もあったが、これが自分が車を走らせているときに起こったらと思うと、背筋が寒くなった。

国内の道路交通網の整備をかなり急ピッチで進めてきたブータンでは、斜面を無造作に切って、取りあえずは道路作りましたというところが結構多く、しっかりした法面保護措置などはほとんど行われていない。僕にとっては最初のモンスーンなので、今起こっている事態がこの時期の日常茶飯事なのかどうかはわからない。でも、プンツォリン在住の方に聞くと、やっぱり今年の雨は異常だという。プンツォリンではまるまる1週間雨なのだそうだ。

問題が起きてから対策を考えるというだけではなく、問題が起きる前にそれを回避する措置を考えて対策を講じておく方が結果的には安上がりだということを学ぶべきだと思う。要は単にインフラ整備ではなく、レジリエントなインフラ整備なんだと。


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