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大雨は続く?(水害続報) [ブータン]

大雨は続く見込み
Heavy rains likely to continue
Kuensel、2016年7月27日、Tshering Palden記者
http://www.kuenselonline.com/heavy-rains-likely-to-continue/

南部を中心に19日より降り続いてきた雨の影響で、サムツェ、プンツォリン、サルパン、ゲレフ等の南部インド国境沿いの都市では河川増水による洪水が相当な規模で起きている。雨の影響で各地に土砂崩れや道路崩落の被害が出ており、特に、プンツォリン~ティンプー間の国道2号線は、プンツォリンから22km地点で22日に発生した道路崩落により、現在も不通である。

この崩落については前回もご紹介したが、当初は25日(月)には開通するだろうと見られていたが、その後の雨で崩落の規模が広がり、インド工兵隊(Project DANTAK)がベイリー橋架設作業を行うも雨の影響で作業が捗らず、現時点では今日中の開通見込みというところまでずれ込んでいる。しかも、ベイリー橋は簡易橋なので、今後の土砂崩れなどの影響は受けやすいし、そもそも24トン以上の重量には耐えられない。

ゲレフとティンプーを結ぶ国道4号線、5号線も、ゲレフ郊外での橋梁流失により寸断されている。従って、首都に物資を運び込めるルートは東部タシガンからか、空港のあるパロからというルートに限られてしまった。

雨の影響は全国各地に及び、25日以降は主要河川の増水が中流域でも観測されている。中部の町ブムタンでは、チャムカルチュ川上流域での水位が警戒水位を突破したことから、数回にわたって住民に避難命令が出されている。その他、プナサンチュ川も増水し、古都プナカも警報水位手前まで来ている。南部の雨はようやく峠を越し、河川の水位が下がってきているそうだが、逆に上流域の雨が中流域の河川の増水につながっているようだ。

全国各地で起きた集中豪雨災害、僕の周りの人は、「こんな降り方は過去に記憶がない」という。ちょっと調べてみると、2007年に一度集中豪雨の災害が起きているが、これほどの規模ではなかったという。ブータン国営放送(BBS)は内務文化省災害管理局関係者の言葉として、「南部各県では史上最悪の水害(Biggest disaster in Southern districts)」と評している。

2016-7-27 Kuensel.jpg

この雨はいつまで続くのか―――誰もが抱く疑問だ。実際に、経産省水文気象サービス局では、トブゲイ首相からの指示で、長期の気象予測を報告するよう課せられ、職員がああだこうだと検討を行った。国内各地の気象データの傾向と気象衛星ひまわりの広域画像の分析などを行う。そもそも気象衛星からの転送データの受信が可能になったのもここ半年ぐらいの間の出来事であり、職員個々人の気象予測のレベルも高くはない。日本の気象予報士は一人前になるまでに10年はかかると言われている。しかも、ブータンは小国なのに地形が複雑なので、ピンポイント予測が非常に難しいらしい。

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そんな中で、職員たちは意見を闘わせながら、検討結果を26日(火)に首相に提出した。冒頭で御紹介した記事はその長期予測に関するものである。それによると、南部都市では、7月中旬までの降水量は例年を下回っていて水不足が懸念されていたくらいだったが、その後急激に降水量が増え、例年を大きく上回った(上図参照)。

今後は、27、28日は小康状態、29日から31日にかけての週末は、再び悪化し、8月末までは断続的にではあっても大雨は続くというものである。向こう5日間の短期の予測の内容は、お隣りインドの気象局が毎日発表している予測とも整合する。それを実証するかのように、27日の南部は雨が上がり、ティンプーでも昼過ぎから日がさし始めた。

それにしてもこの国はすごいなと思うのは、ワンチュク国王、トブゲイ首相をはじめ、主要閣僚や政府高官が週末から現地入りし、被害状況の視察と住民避難と護岸作業の陣頭指揮を取っていることだ。特に国王と首相のアクションの迅速さは驚きだった。比較するのは大変申し訳ないことだが、同じ時期に同様に集中豪雨に襲われたネパールでは、オリ首相が政治闘争の一環だろうが週明けに辞任してしまった。トブゲイ首相が現場で土のうに砂を入れるためにスコップを振るう写真とかが報じられると、有事の際のリーダーのあり方について、ちょっと考えさせられてしまった。

勿論、リーダーが前線に出っ張ってしまうと、あとのことの判断ができなくなるということもあるし、首相がそうした姿を頻繁にFacebookにアップしているのを見ると、こうした姿を多くの国民に見せることで、支持を強化しようという狙いもないわけではないと思う。しかし、現実問題として、首相のFacebookは現場の状況を把握するのに最も迅速なソーシャルメディアだったと思う。その早さは、クエンセルのような活字メディアの比でもなかった。

天候落ち着いて欲しい。



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