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来年度予算が国会に提出される [ブータン]

来年度予算は約500億ニュルタム
A budget outlay of almost Nu 50B
Kuensel、2016年6月2日、Tshering Dorji記者
http://www.kuenselonline.com/a-budget-outlay-of-almost-nu-50b/

政府のイデオロギーである地方分権化(Wangtse Chiphel)実現に向けたイニシアチブが、2016/17会計年度予算で具体化した。歳出額は499億ニュルタム。昨日財務相が国会に提出した。歳出総額は518億ニュルタムの見込みだが、このうち経常支出が253.8億ニュルタムを占め、資本支出は264.9億ニュルタムとなる。しかし、借入返済額が19億ニュルタムあるため、実際の歳出額は499億ニュルタムとなる。

しかし、歳入を見ると、税収その他歳入に外国からの無償資金援助を合わせると、416億ニュルタムにしかならず、約83億ニュルタムの赤字となる。これは対GDP比5.3%の規模になる。この赤字は、プログラムやプロジェクトに紐づけされた借入金で賄う。国内収入は272.4億ニュルタムで、前年度比3.6%の増収となる。経常支出は国内収入の93.2%を占める。経常支出は国内収入で全額賄うことが憲法では定められている。

予算教書によると、経常支出の増加は、ブータン王立警察の給与アップや軍の退職準備基金や年金、学校新設、各県庁(dzongkhag)における踊り子への支給額の改定による。

【分権化】
地方分権化の流れをさらに強化し、草の根レベルでのグッド・ガバナンスを促すため、政府は県開発交付金(Dzongkhag Development Grant, DDG)の新設を提案し、人的資源開発予算の一部を県に配分することにしている。「中央で実施する活動に対する予算は通常中央省庁に配分されるものであるが、今後はこれも分散させ、できる限り県に配分することになる」と教書は述べている。政府は、これまでの郡開発交付金(Gewog Development Grant, GDG)に加え、各県に一律700万ニュルタムを配分する。県庁職員の能力強化のために中央省庁で留保されてきた1億ニュルタムは、今後各県に配分される。

中央省庁の管轄下で予算配分され、地方政府によって供託工事として実施されてきた工事は今後分権化される。例えば、私立学校や国立学校、洪水対策、衛星都市(各県県庁所在地に隣接)開発の準備作業、保健関連の啓発プログラム等の予算は、中央省庁ではなく地方政府に配分される。インド国境に接する街の安全壁建設のための資金も、内務省から地方政府に譲渡される。

【セクター別配分】
教育セクターには総支出予算の最も大きい20%が配分される。配分額は109億ニュルタムに達する。保健と教育を合わせると、総支出の28%を占めることになる。国立の学校の取組みの拡大や既存の国立51校の教育の質的向上が来年度は計画されている。保健セクターには3億9300万ニュルタムが配分され、ハ県の県病院、ゲレフの地域レフェラル病院、チラン県の県病院、JDWNRH構内のジェツェン・ペマ母子病院の建設等に充てられる。

酪農品の国内生産拡大に向け、2億4100万ニュルタムが各種酪農プロジェクトに配分される。

77の郡道の舗装工事には12億6000万ニュルタムがイヤマークされた。これは現在実施中のアクセス道路や国道建設工事予算の11億5000万ニュルタムに追加されることになる。

ジグミリン、ダムドゥム、モタンガ、ボンデイメの経済特区は3億8280万ニュルタムをかけて整備される。国内空港3カ所の開発には1億500万ニュルタムが配分される。

【経済見通し】
2016/17年度の経済成長率は約7.7%の見込み。これは物価上昇率7~8%を織り込み済みだ。経済成長はサービス部門と産業部門の良好なパフォーマンスにより牽引されることが予想されるが、年度末の国の対外債務残高は1642億5000万ニュルタムに達する見込みだ。債務残高の対GDP比は104%に達する。

対外債務は、現在実施中の水力発電プロジェクト(プナサンチュ第一、第二、マンデチュ、ニカチュ、コロンチュ)のディスバースが進むことにより、前年度末比14.9%の増加となる。水力発電プロジェクトは対外債務総額のうち1300億ニュルタムを占める。「これらのプロジェクトは商業的に実行可能と判断されており、その発電電力を輸出することで債務返済に充てることができる」と教書は述べている。

水力発電以外での借入は、多国間金融機関と二国間協力国より、譲許的資金として借入が行われており、その借入残高の対GDP比は21.7%である。

一方、国内での年度末借入金は5730万ニュルタムに達する見通しだ。借入先は、全国年金・退職準備基金(NPPF)で、プンツォリン病院のスタッフ宿舎の建設資金に充てられる。

これにより、2016/17年度の債務返済額が82億ニュルタムに達する。その半分は年度予算から返済される。来年度の経常収支赤字はGDP比27.7%に達する見込みである。

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またしても長々とした新聞記事の全訳ですいません。でも、この記事は結構大事なことを述べているので、敢えて全訳とさせていただきました。

来年度予算の目玉は、この記事から読む限りでは県開発交付金(DDG)である。ただ、上記の記事を掲載した全国紙クエンセルは、その翌日(3日)に「経験から学べ」と題した社説を掲載し、DDGは良いことではあるものの、その有効活用については既に創設されている郡開発交付金(GDG)の活用状況を十分吟味するべきだと述べている。
http://www.kuenselonline.com/learning-from-experience/

GDGは各郡に一律200万ニュルタムの開発資金を配分するものだが、この論説によると、昨年行われた調査では、GDGの80%以上が、農道や橋梁、歩道の建設や維持管理、文化振興のような、本来の意図とは異なる活動に使われていたことが明らかになっている。中には、アーチェリー場の整備に使われたケースもあったらしい。本来、GDGは収入向上や雇用創出につながる活動に投入される資金である。

社説では、DDGは既に他の省庁が資金投入して実施されているプロジェクトには投入しないことを順守させることや、中央省庁と地方政府との責任分担を明確にすること、DDGを投入する事業については住民との対話を経て決定がなされるべきであること等を指摘し、GDGと同じ轍を踏まないよう強調している。加えて、各県への一律配分にも疑問を呈している。人口や面積が異なる県に、一律での配分は妥当性が低いという指摘である。

なんか、いつかどこかで聞いたような話である。配分されること自体は悪いことではないけれども、賢く使うことが求められる。それは地方の行政官の能力向上だけではなく、住民の意識の向上もあわせて必要となることでもある。

*郡開発交付金(Gewog Development Grant)のガイドラインについては、下記URLを参照。
 http://www.mof.gov.bt/revised-gewog-development-grant-guidelines-2014-03-sept-2014/

タグ:地方分権
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