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「バンド・デシネ」再び [読書日記]

ブラックサッド 黒猫探偵 (EUROMANGA COLLECTION)

ブラックサッド 黒猫探偵 (EUROMANGA COLLECTION)

  • 作者: フアンホ・ガルニド
  • 出版社/メーカー: 飛鳥新社
  • 発売日: 2014/11/08
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
私立探偵ブラックサッドは警察のスミルノフに呼ばれ殺人現場に向かう。被害者はかつての恋人ナタリアだった。スミルノフの忠告をよそに、ブラックサッドは独自に事件を調べることにする。しかし殺害現場に残された手がかりはなく、ブラックサッドは以前ナタリアの用心棒にと紹介したボクサーのジェイクの所に向かう。調べていくうちにブラックサッド自身にも危険が…ブラックサッドはかつての恋人の無念を晴らすことができるのか?50年代のニューヨークを舞台に、登場キャラクターが全員動物という斬新な設定のハード・ボイルドBDの記念すべきシリーズ第1巻。

今から3年前、三鷹国際交流協会の国際理解講座でフレデリック・トゥルモンドさんをお招きして、フランスのマンガ文化をご紹介いただいた。その際、フランスのマンガ「バンド・デシネ」(以下、BD)の奥深さを初めて知り、講座の後、図書館ですぐに借りることができた『モンスターの眠り』、『天空のビバンドム』、『闇の国々』等を読んだが、その頃から既に、『ブラックサッド』と『赤いベレー帽の女』はいずれに読みたいと公言していた。

*僕のBD関連記事は以下のURLから読めます。
 http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2013-07-28
 http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2013-08-16
 http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2013-09-01

僕は既に国際交流協会の行事から足を洗って既に2年以上が経過している。僕よりも圧倒的に年上のボランティアの先輩方から僕らの企画書がケチを付けられたり、僕の働いている会社に対して批判的なコメントをいただいたり、そういうのが嫌になって僕は国際交流協会のお手伝いをしなくなったのだが、本当はもっとちゃんとやるべきなのに今も国際交流協会ではできていないことのひとつが、過去に開いた講座の講師や登壇者の方々へのアフターケアである。これは1つの理想論なので、僕は当時入っていた分科会でそういう提案をしたのだが、結局実現させられなかった。たとえボランティア団体だとはいえ、2カ月に一度しか集まらない僕らボランティアに組織全体を動かしていく力はない。講師や登壇者の方々のフォローアップは、僕が個人的にやっている程度に過ぎない。

3年前の講座終了後、僕はFacebook(FB)上で「海外マンガフェスタ」のフォロワー登録をした。(フレデリックさんは当時FBをやられていなかったので、友達にはなっていない。)BDも何冊か読んだし、毎年10月に行われる海外マンガフェスタはいつも別の行事と重なってしまい行ったことがないが、それのサイドイベントには女子校の漫研にいるうちの娘を連れて参加したこともある。マニアというには程遠くてとても話にはついてけないが、辛うじて作品を多少知っているぐらいのところで踏みとどまっている感じだ。

でも、そうやってフォロワーになっていたおかげで、最近フレデリックさんがFBに上げた記事に気付くことができた。『ブラックサッド』第1巻と、『赤いベレー帽の女』全2巻が、この5月14日に電子書籍化されるという告知だった。単身生活のこちらにいると、週末や平日夜に1人で過ごす時間がそれなりに長いので、待望の2作品、ダウンロードして読んでしまおうと考えた。

冒頭で製本版の表紙イメージをご紹介している『ブラックサッド(Blacksad)』(フアン・ディアス・カナレス&ファンホ・カルニド作)は、クオリティの高さが素晴らしすぎる。登場人物がすべて動物の擬人化で、しかも躍動感あふれる描画で、女性はセクシーだし、背景のディテールまで相当丁寧に細かく描かれている。日本のマンガではなかなか見られない。

『赤いベレー帽の女(Lu Vol Du Corbeau)』(ジャン=ピエール・ジブラ作)は、第二次世界大戦中、ドイツ占領下のフランスを舞台にしたラブストーリーである。レジスタンス活動に身をおくジャンヌは、ある日何者かの密告によって逮捕されたが、空襲警報が鳴った隙に、同じように警察に捕まっていたフランソワの助けで脱走する。屋根伝いに逃走中足をくじいてしまうが、フランソワの知り合いのルネの貨物船に匿ってもらうことになる。妹のセシルの身を案ずるが、消息はつかめない。当局のレジスタンス狩りはますます激しくなり、とうとうある日、船ににナチス兵が乗り込んでくる。さてその先は…。

LeVulDuCobreu.jpg

口絵をご覧いただければわかる通り、この女性のモデルはどう見てもミラ・ジョボビッチだろと思える。僕もオジサンですので、長身のスリムな女性が主人公のお話には惹かれてしまうというわけ。また、この作品も『ブラックサッド』とは別の意味で情景描写が極めて細かく、しかも第二次大戦当時のフランスの様子がかなりリアルに描かれているように思う。

どちらの作品も、描き上げるのには相当な時間を費やしたに違いない。日本のマンガのように擬態語がやたらと紙面をにぎわせ、しかもあまり情景描写に重きを置いていない作品が極めて多い。言い方は悪いが粗製乱造の感は否めない。だから、日本のコミック本1冊と比べたら、BDの作品は1冊の価格が普通の書籍と対して変わらないというのは頷ける。

毎回このテーマでブログに記事を書く時には言っていることかもしれないが、娘が現在部長を務める漫研も、人物をかっこ良く、あるいは可愛く描くことばかりに重きを置かず、BDのような情景描写の技法をしっかり学んでみてはどうかと思う。

そのうちに、『アンカル(L'INCAL)』や『エデナの世界(Le Monde d'Edena)』も電子書籍化してくれたら嬉しい。

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