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『門田先生の3Dプリンタ入門』 [仕事の小ネタ]

門田先生の3Dプリンタ入門 何を作れるのか、どう役立つのか (ブルーバックス)

門田先生の3Dプリンタ入門 何を作れるのか、どう役立つのか (ブルーバックス)

  • 作者: 門田 和雄
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/10/21
  • メディア: 新書
内容紹介
本書は、3Dプリンタのしくみや用途、3Dプリンタの普及とともに盛り上がる「ものづくり」の現状などを解説し、「3Dプリンタで何を作れる?」「3Dプリンタは何の役に立つ?」といった素朴な疑問に答えるものです。技術教育講座の准教授で、ものづくりのための市民工房「ファブラボ」のディレクターでもある著者ならではの視点で、海外における3Dプリンタへの取り組み方、3Dプリンタと学校教育の関係、3Dプリンタを中心とした近年の「ものづくり」ブームを冷静に俯瞰して紹介していきます。

ブータンには積読状態だった本を何冊も持ってきている。単に赴任までの読み始めることすらできなかった本もあれば、こちらに来て仕事のネタになるかなという淡い期待を胸に持って来た本もある。勿論、趣味を追求したくて持って来た独習本の類もある。

本日ご紹介の1冊はどれに該当するだろうか。元々本書を購入したのは今年2月のことで、僕が自宅の近所にできたメイカーズスペースに出かけ、自分の海外赴任の前に自分なりにものづくりを体験しておこうと考えていた時期だ。ただ、赴任までの限られた日数の中で、この工房で僕がたどり着けたのはレーザー加工機の操作が精一杯で、3Dプリンタを使いこなすまでには到底至らず、よって本書を読むまでに至らなかったのである。

だから、未読の書籍はとっとと読んでしまおうというつもりがあって、ブータンに本書を持って来た。赴任する直前、ブータンにもファブラボを作ろうという動きがあることを耳にした。ファブラボができればこちらででも空いた時間に入り浸って、工作に精を出そうとひそかに期待していたのだが、その実現は少し先の話になりそうだ。ただ、そういう動きがあることは間違いなさそうで、その前に自分なりに予習でもしておこうかと思ったのが、今週になって急に読み始めた理由である。

本書は3Dプリンタ中心に、ファブラボやメイカームーブメントへの言及もあり、こうした動きについて知りたい人にはおすすめの入門書といえる。3Dプリンタに関する記述は、積層造形技術で用いられる素材の種類から始まり、プリンティングの原理、プリンタの構成、データ、ソフトウェア、操作方法、さらには3Dプリンタの製作方法に至るまで、かなり網羅的かつ技術的である。「3Dプリンタで何ができるか」に特化して書かれた入門書はいくつもあるが、その適用範囲の記述にとどまっており、ここまでディテールに踏み込んだ記述がなされている書籍は珍しい。実際に使う可能性がある人の目線で書かれている部分も相当多く、かなり優れものの入門書だと思う。

他方で、まだそのレベルには到底達していない僕のような読者には、3Dプリンタを作るような話にまで至ると、まだまだ敷居の高さを感じてしまう。取りあえずは流して読んで概観だけつかめれば、あとは実践あるのみということでしょうか。少しばかりかじった上でもう一度読み返してみたら、この本の味わいはもっと深まるのではないかと思う。

読みながら、ブータンの文脈で3Dプリンタでどういう活用ができそうか少し考えてみた。ここにも国土地理院のような組織があるから、そこで製作されている地形図を3Dデータとして公開していれば、ある特定地域の地形を立体表現することが可能となるだろう。あとは、ゾン(城)やチョルテンの模型とかかな(笑)。また、この国は農業の機械化が喫緊の課題だと思うが、その地域地域に合った農機具なんて、基本スペックのデータを公開にしていて、そこからダウンロードしたデータを地域に合った形に改良を加えて、デスクトップ工作機械で製作してしまえば、連絡調整や輸送の手間も相当に省けそうだ。

具体的に3Dデータをどう活用するかアイデアが具体化していない場合は、ハッカソンを企画開催して、アイデアを募るというのもありなんだろうなと改めて思った。

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