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『ロマンシエ』 [読書日記]

ロマンシエ

ロマンシエ

  • 作者: 原田 マハ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2015/11/25
  • メディア: 単行本
内容紹介
乙女な心を持つ美術系男子のラブコメディ! 有名政治家を父に持つ遠明寺美智之輔(おんみょうじみちのすけ)は、子どもの頃から絵を描くことが好きな乙女な男の子。恋愛対象が同性の美智之輔は、同級生の高瀬君に憧れていたが、思いを告げることもないまま、日本の美大を卒業後、憧れのパリへ留学していた。ある日、アルバイト先のカフェで美智之輔は、ぼさぼさのおかっぱ髪でベース形の顔が目を惹く羽生光晴(はぶみはる)という女性と出会う。凄まじい勢いでパソコンのキーボードを打つ彼女は、偶然にも美智之輔が愛読している超人気ハードボイルド小説の作者。訳あって歴史あるリトグラフ工房idemに匿われているという。過去にはピカソなどの有名アーティストが作品を生み出してきたプレス機の並ぶその工房で、リトグラフの奥深さに感動した美智之輔は、光晴をサポートしつつ、リトグラフ制作を行うことになるが……。

今月初旬、職場の同僚からもらった招待券を2枚持って、東京ステーションギャラリーに出かけた。リトグラフというものにはそれほど興味があったわけではないけれど、せっかくなので妻と2人でデートする口実に使わせてもらった。

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会場で配られていたチラシの裏面を見るだけでも、リトグラフというのがどういうものなのかはご想像いただけるだろう。驚いたのは、映画『エレファントマン』『ワイルドアットハート』、テレビドラマ『ツインピークス』等の監督を手がけたデヴィッド・リンチの作品まで展示されていたこと。この監督、めちゃマルチな才能なんだな。

この企画展、作家の原田マハさんが参加されているというのが売りになっていて、これに合わせて『ロマンシエ』という新作の小説も発表されている。本書にも出てくる名セリフ「君が叫んだその場所こそが、ほんとの世界の真ん中なのだ。」は、展示案内のそこらじゅうにデカデカと使われている。また、作品の舞台となるパリのリトグラフ工房idemの中の様子も、ギャラリー内で上映されている映像で紹介されていて、リトグラフがどのように出来上がって来るのか、どんな印刷機が使われているのか、そこで働いている人々の服装はどんなか、そういうのがわかるようになっている。

残念ながらこの企画展は2月7日で終了してしまったが、この企画展をぎりぎりセーフで観ることができたおかげで、原田さんの新作『ロマンシエ』の舞台が具体的に頭の中でイメージしやすかった。こうやって、美術と小説をコラボさせるという試み、なかなか面白いと思う。ご自身がキュレーターで絵画の知識を豊富に持っておられる原田さんだからこそ、実現した試みだといえる。これも1つのイノベーションだな。

肝心のストーリーの方はというと、これがBLかと思わせるような美・男子美智之輔(ミッチ)が主人公で、そのミッチが密かに思い続ける彼氏・高瀬君と、愛読する小説「暴れ鮫」シリーズの作家で片桐はいり似の羽生光春(はぶみはる)の間で揺れ動く「乙女心」を描いている。妄想もやたらと入るし、密かにBL小説をクラスメートとまわし読みしている我が家のJKには受けそうな内容だ。うちのJKは美大志望でもあるし…。それに、この作品はジャンル的にはラブコメであろう。

正直言うと、原田さんがこんな作品を書けるというのがいちばんの驚きだった。

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