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もしイノ [読書日記]

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら

  • 作者: 岩崎 夏海
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2015/12/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
280万部のベストセラー『もしドラ』第2弾!! 勝つために必要なのは、全員の「居場所」だった――。主役はマネージャー。野球部はベンチャー企業、人を集め、育て、競争しないで勝てる組織にするには?
【あらすじ】
私立浅川学園に通う1年生の岡野夢は、ベストセラーとなった『もしドラ』と偶然出合います。野球ともマネージャーとも接点がない夢でしたが、友人の真実に誘われて、野球部のマネージャーになることを決心します。しかし、浅川学園には野球部がありませんでした。ゼロから野球部をつくる必要があったのです。そこで、夢と真実はドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読みながら、競争しなくても勝てる、まったく新しい野球部をつくろうとします。果たして2人は、最強チームをつくり上げ、甲子園に勝ち進むことができるのでしょうか?マネージャーたちによるイノベーションは成功するのでしょうか?過酷な競争社会が激化するなか、 「競争しないためのイノベーション」がますます必要になっています。本書は、ドラッカーのイノベーションの原理を丁寧に読み解きながら、メンバー全員に居場所がつくられ、組織が成長し、競争を勝ち抜いていく様子を描いた青春小説です。すべての組織で役に立つ1冊です。

ここ10日ほど、懸案だった英語論文と格闘していたので、専門書がなかなか読み進められないでいる。読書に充てられるのは通勤時間ぐらいだ。電車の中で専門書を読み始めるとすぐに眠くなってしまう。だから、流れるようにページをめくり続けられる小説のようなものでないと、通勤途上の読書にはなかなか向かない。

重松清『たんぽぽ団地』に続いて読んだのは、数年前に爆発的なベストセラーとなった『もしドラ』の続編。但し、僕は『もしドラ』の方は読んだことがないので、前作との比較はできません。

あらすじは上で紹介した通りだ。休部状態だった野球部が、マネージャーたちの手で活動を再開し、3年がかりで甲子園出場を果たしたという形。イノベーションの破壊力を象徴的に示そうとしているから、主人公の夢や真美が3年生を迎えた夏の西東京地区大会は、もう一方的な試合で破壊的に勝ち上がって、ネタ晴らしになってしまうけど、最後は優勝を遂げてしまう。相手チームが手の付けられないくらいの破壊力だ。池田高校の「やまびこ打線」を初めて甲子園で見た時の衝撃にも匹敵する経過だ。著者は金属バットの導入自体を高校野球における「変化」と捉えているから、池田高校がその変化に乗じて成し遂げた「破壊的イノベーション」が、ある程度は念頭にあってこの作品を描いているに違いない。

ドラッカーはこう言っているらしい。
この新しいものを生み出す機会となるものが変化である。イノベーションとは意識的かつ組織的に変化を探すことである。
さらに、この変化をドラッカーは7つの項目に類型化しているそうだ。それが本書の全体を通じてベースになっているコンセプトであり、マネージャーたちは度々自分たちの直面する状況をこの7つの変化のどれに該当するのかを確認しつつ、それによって起こしうるイノベーションが何なのかを考えている。

ドラッカーの「7つの機会」
1.予期せぬことの生起
2.ギャップの存在
3.ニーズの存在
4.産業構造の変化
5.人口構造の変化
6.認識の変化
7.新しい知識の出現

こんなシンデレラチームが次々と出てきたら、高校野球人気も再燃するだろうし、こんなに真剣にドラッカーを熟読し、議論している高校生がいたら、嬉しいことだと思う。企業に就職するのではなく、最初から起業を目指す心意気を持った若い人がもっともっと増えてくれば、日本の将来は明るいに違いない。

主役はマネージャーたちで、選手は平社員という位置づけだ。選手一人ひとりの個性を掴み、長所を伸ばすというよりも、ある種の「型」に選手を当てはめ、誰でもその型を素直に履行できるようにするやり方は、選手にとっては受け入れられるものなのだろうか。また、ナックルボールを投げるには相当な握力を使うので、高速ナックルを武器に継投であってもノーヒットノーランをやるなんてのはあり得ないと思う。それに、足腰強化だけでナックルが投げられるようになるわけじゃない(笑)。

このドラマはフィクションです(笑)。フィクションとして読めば十分面白い。でも実際はどうかというと、フィクションだとわかってても、このストーリーは元高校球児や現役の高校球児が読むとちょっと抵抗感があるだろう。

強いて言うならば、マネジメントと高校野球をつなげたところが著者のイノベーションだと言えるだろう。元々著者は高校野球を題材にルポを書いておられる方らしいが、これにドラッカーの経営をつなげる発想は面白いし、それがまた破壊的だったがために、本がバカ売れしたわけだ。そのうちドラッカーからちょっと離れて、「オープン・イノベーション」についても扱って欲しいよ。

それにしても、タイトル長すぎ・・・。

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