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広岡浅子の関連本 [読書日記]

すっかりご無沙汰です。今月は久し振りに月間200kmランに挑戦していたので、特に下旬の10日間は、空いた時間があれば走ることをまず考えるという習慣でいました。この間、まったく本を読んでなかったわけでもないのですが、ある専門書を読み進めるのに手こずっていたのと、今回ご紹介するように、広岡浅子関連本は個別で紹介するよりもまとめて記事にした方がいいと考えたので、ちょっとネタを貯め込んでいたのでした。

広岡浅子関連本を2冊続けて読もうと思ったのは、そろそろNHKの朝ドラ『あさが来た』が終盤にさしかかったからというのもあるが、もう1つの理由は、今月半ばに出張のついでに実家に立ち寄った際、朝いっしょに朝ドラを見ていた父が、2つの質問を発したことが発端となっている。

 ➀日本女子大学というのは、日本で最初の女子大学なのか?

 ②広岡浅子というのは津田梅子と同時代の人だから、接点はあったのか?
  (ひょっとして津田塾大学の方が日本女子大学よりも早く設立されているのではないか?)

聞いた僕はどちらの問いにも即座に答えられなかった。言われてみれば、朝ドラで、あさは五代友厚だけでなく、大久保利通や福沢諭吉らとも会ってきている。そういう交流があったという可能性がないとは言わないが、それだったら同時代に同じく女性の地位向上に向けた先駆者となった津田梅子などとの交流がなかったと考える方がおかしい。ついでに言えば、新島八重なんて京都にいたんだから、もっと可能性があるに違いない。

聞かれた質問に答えられないと、なかなか落ち着かないものである。自ずと、そのような文献に目が行くことになる。たまたま偶然、近所のコミセン図書室の新着書籍のコーナーに2冊陳列されていたのに出くわし、矢も楯もたまらず、2冊とも借りることにした。1冊ずつ借りるという手もあったが、こういうのは勢いだし、躊躇していると他の利用者が借りてしまって、順番がなかなか回って来ないなんて状況にもなりかねない。

最初に読んだのは、宝島社のムック―――。

広岡浅子の生涯 ~豊富な写真資料でたどる激動の人生 (別冊宝島 2387)

広岡浅子の生涯 ~豊富な写真資料でたどる激動の人生 (別冊宝島 2387)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2015/09/04
  • メディア: 大型本
商品の説明
NHK連続テレビ小説「あさが来た」のモデルとなった広岡浅子の人生を豊富なビジュアルとともに紹介。
浅子は京都の豪商三井家の令嬢として生まれながら、嫁ぎ先の大阪の商家・加島屋の立て直しに奔走。
大同生命創業や日本女子大学創立などにも携わりました。
そんな浅子の波瀾万丈な人生を主軸に、当時の時代背景や浅子と交流のあった政界・財界の要人たち、
浅子のゆかりの地についてなど盛りだくさんの内容でお届けします。
これを読めば「あさが来た」を10倍楽しめます!
取りあえず、写真や図表が豊富なので読んだ。広岡浅子の生きた時代の背景を知るにはいい本だと思うが、広岡浅子と接点があったかどうかもわからない歴史上の人物の話にもそこそこページを割いているので、ちょっとわかりづらいところもあった。それに、ドラマでも波瑠さんが演じてスマートで美貌のあさだけど、実在の広岡浅子は貫禄たっぷりで、目も細くて笑顔の写真がほとんどない。文字通り「女傑」というイメージの人だから、ちょっとドラマとのギャップに悩む。(ついでに言えば、玉木宏演じる白岡新次郎と実際の広岡信五郎も全然違う(苦笑))。

父の漏らした問いに対する取りあえずの答えはこの本にあった。➀女子大学としての創立は日本女子大学の方が早い(1901年)。津田梅子が女子英学塾を開いたのは1900年だが、当時はまだ大学とは言えなかった。②津田梅子は明治初期に既に米国留学に出ており、その後の人生の大半が海外生活だったので、広岡浅子との直接的な接点はなかったと考えられる。

一方で驚いたのは、浅子の場合、晩年に広岡家の別荘のあった御殿場で主宰した夏期勉強会で、市川房江や村岡花子とは直接的な交流があったらしい。そうすると、朝ドラの最終盤に、吉高由里子再登場!なんてこともあるかもとちょっと考えてしまう。山本耕史を新撰組副長・土方歳三として登場させたNHKだったら、それくらいはやりかねない。

文庫版 小説 土佐堀川 広岡浅子の生涯 (潮文庫)

文庫版 小説 土佐堀川 広岡浅子の生涯 (潮文庫)

  • 作者: 古川智映子
  • 出版社/メーカー: 潮出版社
  • 発売日: 2015/09/05
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
豪商三井家から17歳で大坂の両替商・加島屋に嫁いだ浅子は、家運が傾くと持ち前の商才を発揮、「九転十起」の精神で難局を切り開き、大坂随一の実業家として大成する。晩年は女子教育にも力を注ぎ、日本初の女子大学開設に奔走。歴史に埋もれてきた不世出の女性実業家の生涯を、初めて世に紹介した名作が、待望の文庫化。

次に読んだのは、朝ドラの原作本である。僕も今回の朝ドラは最初からわりと欠かさずに見ているので、こうして原作を読んでみることで、なるほど、原作とドラマでどこがどう違うのかがよくわかった。そもそも浅子は三井の家の何人かの兄弟の1人ではあるが、ドラマのような3人だけの兄弟ではなかったらしいし、原作では姉の春(ドラマでははつ)はほとんど登場しない。ただ、ここまでのところでの最も大きな違いは、五代友厚の扱いだと思う。浅子が実際に五代と会うのは、五代の最晩年でしかなく、五代と信五郎が「ともちゃん・しんちゃん」と呼び合うほど仲が良かったなどということもなかったようだ。

今回の朝ドラを見ながらつくづく感心するのは、ビールだの、カレーライスだの、さらにはあさの初上京シーンで出てきた横浜の牛鍋だの、さりげなく文明開化の証しをドラマのシーンの中に盛り込んでいることである。ちょんまげが散切り頭に変わり、和服が洋装に変わっていく過程等も、机上で読んで想像するよりもドラマの方がよっぽどイメージしやすいし、連ドラのような長い期間を扱えれば、時代のダイナミックな移り変わりをしっかり押さえることができる。

ただ、ドラマでこういうシーンの解説をナレーターがくどくど言っちゃうと、お仕着せがましくなってしまうので、シーンを見て気付くか気付かないかは視聴者のセンスに委ねられてしまう。それが文章になるということは、時代背景の解説もふんだんに盛り込みやすいということでもある。その点では、原作がちゃんと本になっているのはありがたいことである。

一方で、これら広岡浅子が成し遂げてきたことが現在にどうつながっているのか、もう少し解説して欲しかった気もする。日本女子大学や大同生命は現存するのでイメージしやすいが、加島銀行や潤野炭鉱、広岡商店等、加島グループの企業がその後どうなったのか、巻末解説で述べておいてくれたらもっと良かったとも思う。個人的には調べたけどね。

さあ、これで残り2ヶ月、朝ドラで何が展開されるか、引き続きドラマを見るのが楽しみだ。

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