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『イノベーションは新興国に学べ!』 [仕事の小ネタ]

イノベーションは新興国に学べ! ―カネをかけず、シンプルであるほど増大する破壊力

イノベーションは新興国に学べ! ―カネをかけず、シンプルであるほど増大する破壊力

  • 作者: ナヴィ・ラジュ、ジャイディープ・プラブ、シモーヌ・アフージャ
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2013/08/23
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
なぜ先進国では実現できなかったのか? 電気を使わない冷蔵庫、野菜も洗える洗濯機、超低価格車…。常識にとらわれない独創的な発想を生み出す「ジュガード」6つの原則とは?

今からちょうど3年前の11月、原書で読んだ『ジュガード・イノベーション(Jugaad Innovation)』の邦訳。原書で読んだ当時はまだインド駐在員生活への未練もあって、本書を読むにあたっても、「ジュガード」の本場インドでの農村向けBOPビジネスの事例を広く浅く知りたかったというのが動機としてはあった。それから3年経過するうちに僕自身の立ち位置が大きく変化し、むしろイノベーションが生まれるプロセスとか、インド以外の国での事例とかを知っておきたいと思って、邦訳版で読み直すことにした。

問題意識が違うと、同じ本を読み返しても、前回とは異なる発見があったりする。今回はフィリピンのサリサリストアとか、フェースブックの記述とか、いろいろ新たな発見もあった。2週間先にはフィリピンの地方部に行く機会があるので、サリサリストアなんて意識して見てみたいと思う。

インド、フィリピンに限らず、本書で取り上げられている事例は非常に豊富だ。そうした事例をもとに、「ジュガード・イノベーション」に向けた戦略策定・実施の原則というのを、著者は以下の6つに纏めている。

 原則➀: 逆境を利用する
 原則②: 少ないものでより多くを実現する
 原則③: 柔軟に考え、迅速に行動する
 原則④: シンプルにする
 原則⑤: 末端層を取り込む
 原則⑥: 自分の直感に従う

これらの原則は横並びで見てみると、相互に関連していてクリアに6分割することは難しい。自ずと、各原則に関する詳細健闘をしている章を読んでいると、他の原則とも関連する記述が頻繁に顔を出す。概念化における論点のくどさが目につく。それに、「末端層を取り込む」のが原則だというが、フェースブックは末端層を取り込んだビジネスモデルだと言えるのだろうか? また、訳しようがないからしょうがないけど、「ジュガード」という言葉をこれだけ一般化して使うのには違和感を感じる。ボリュームゾーンにアプローチすることが新興国では低中所得層へのアプローチ、即ちBOPビジネスへの指向が「ジュガード」という発想が必要だというのはわかるが、それでも「ジュガード」という言葉は一般には普及しておらず、むしろ「BOPビジネス」の方がはるかに知られている概念だ思う。

また、ミッティクールのような草の根発明の実用化とフェースブックやGEを同列で論じるのはちょっと乱暴な気もする。そこらあたりの一般化には本書はあまり成功しているとはいえない。

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