SSブログ

『本を出したい人の教科書』 [仕事の小ネタ]

本を出したい人の教科書 ベストセラーの秘密がここにある

本を出したい人の教科書 ベストセラーの秘密がここにある

  • 作者: 吉田 浩
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/04/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
日本一、出版を愛する男が送る、「本を出したい人」のための出版の教科書。
本を出したい人は実は多い。彼の出版セミナーは連日超満員の大盛況。
あっという間に素晴らしい企画書が書けてしまう「黄金の企画書」をはじめ、
出版プロデューサー 吉田浩が、自分の持てるノウハウをすべて公開。

僕が執筆協力した本が出来上がり、間もなく発刊予定である。執筆協力者の1人として僕の名前はクレジットされているけれど、実は僕はその本の出版に関して版元との連絡調整やゲラの校閲、社内での稟議、全ての執筆協力者との連絡調整等の面倒な事務手続きを全て1人でやっていた。

社内でのライン業務とは違って僕が特命で受けていた仕事なので、僕の部下にすらこの仕事は展開していない。1人で引き受けてやる仕事はかなり大変だった。

だから、名前のクレジットのされ方には納得いかないところもある。せめてまえがきかあとがきで僕の労をねぎらって欲しかったけど、そうはならなかった。編著者はうちの会社の役員だ。面と向かって「僕のこともうちょっと触れて下さい」とはなかなか言い出しにくい。

そんないわくつきの出版であっても、本になって形が残ると関わった者としてはやっぱり嬉しい。良い本が出来上がったと思えるのである。

さて、そんな大詰めの時期に読んだのが『本を出したい人の教科書』である。

xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

この本は、発刊当初から読んでみたいと思っていたのだが、思い立って図書館に予約した時点でも順番待ちが20人以上おり、順番がまわってくるまで結構な時間がかかった。読み進めるのには大して時間もかからないので、図書館の回転率は相当良かったんじゃないかと思うが。

いくつか印象に残った記述をご紹介しよう。

著者は、だれでもが本にできるテーマを持っていると主張する。そこで持ち出されているのが「1万時間の法則」というやつで、1つのテーマについてプロと言える領域に人が到達するには、そのテーマに通算で1万時間を費やす必要があるという。

これは1日3時間それに取り組んで10年で到達できるということである。すなわち、会社勤めをしている僕らであれば、職場で仕事としてやっていることについては1日9時間ぐらいは費やしているので、4年弱でプロの領域に到達できる計算になる。

実際のところ現代人は仕事に忙殺されていてスキルを磨くというのに1日3時間を充てたりとかはできていない。著者はその点には警鐘を鳴らしている。忙しくてもスキルアップに時間を充てることを怠るなというメッセージとして受け取った。

実際に書くテーマが決まったら、次は実際に書いてみることだが、ここで著者は本は1日のなかでも最も集中できる時間に一気に書いてしまうのがいいと主張している。ちなみに著者の場合は朝の3時から6時までの3時間に集中して執筆活動をしているのだという。

僕が起き始めてブログの記事を書いている時間帯とよく似ている。しかも、著者は集中できる場所として早朝のファミレスを挙げておられる。僕も週末に仕事の関係で論文等を持ち帰っている時は、早朝のファミレスにこもって2時間ぐらい集中して読み込みに充てるようにしていた。

著者が論じておられることをすでに自身で実践していたりすると、かなり嬉しい。

著者はさらに企画書の書き方のハウツーなどをご開陳されている。僕も以前企画書を書いて某A書店の編集者に見せたことがあるので、その時に何も参考にせずに自分だけの勝手な論理で書いた企画書に何が欠けていたのか、本書を読んでよくわかった。

ただ、僕が企画書を持って行った相手の編集者の方には、企画書は結局読んでもらえなかった。既にその版元から本を出されていてその編集者とも交流のある我が社の先輩に紹介してもらって一緒に出かけたのだが。

理由は、僕自身の筆力を示すものがないからだという。当時進んでいた僕の本の編集が佳境に入っている時期で、実際に出来上がった本をその編集者のところに持って行けなかったというのも良くなかったが、要は検討してほしければ先ず原稿を書いて持って来いと言われたのである。そうすれば、少なくとも門前払いにはしないと…。

このあたりの僕自身の経験は、著者が本書で論じられているところと少し異なる気がした。

また、作家に書きたい本を書かせるな、読者が読みたい本を作家には書かせろというのは言い得て妙である。出版不況が長く叫ばれている中で、本を出すのは容易ではない。そんな中であえて本を出すというのなら、出版社が読者が読みたいと思うような本とは何かを斟酌して、作家を説得して書かせろということらしい。例として、石原慎太郎の『弟』(幻冬舎)が挙げられている。

こうした、編集者側が企画を作って作家に持ち込むタイプの本が最も売れると言われてしまうと、僕らのような作家予備軍には敷居がますます高くなる。

xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

「教科書」というだけあって、確かにこの本を読めば本を書いてみようかなという気にはなれるし、そのために何をすべきかヒントも多い。取りあえず図書館で借りて読んでみたけれど、必要になった時にすぐに閲覧できた方がいいので、結局1冊電子書籍版を購入することにした。

今の職場での勤務は、今日でちょうど2年を終えた。早ければ年末、遅くとも年度末までには異動という、そんな時期でこれから新しい仕事をしかけるのはちょっと難しいが、むしろこの10~15年を振り返って、我が社の置かれた環境の変化を綴った本を同僚との共同執筆で出したいという構想を具体化する時期に来ているように思うので、3年目の最初の1ヵ月はそうした企画書の作成に充ててみようかなと思いはじめている。

nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0