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今いるメンバーで「大金星」を挙げる [読書日記]

世界剣道選手権2日目は女子の個人戦と団体戦が行われた。まあいずれの試合も日本代表は確実に上位進出するだろうと思っていたので、僕は大会本番に至るまでに何らか自分が関係したことがあるチームをお応援することにした。うちの会社の剣道部の稽古にも来てくれたセルビア代表やポーランド代表、それに米国駐在時代に通っていた道場から創設20年目にして今回初めて代表選手を輩出した米国、剣連に知り合いがいるチリ等である。

結果は個人も団体も日本代表が優勝したが、いずれも準優勝は韓国代表で、こと女子に関しては韓国の躍進が目立った。韓国代表選手の試合ぶりを見ていて思ったのは、相当腕っぷしが強そうだということ。竹刀まわしが異常に速いから、つばぜり合いから迂闊に体を離すと簡単にメンやコテを喰らいそうだ。つばぜり合いが長すぎて両者反則というのはわかるが、韓国選手にだけ反則を課す判定もどうかなという気はした。脱線ついでにもう1つ言うと、審判もうちょっと決然と自分自身の判断で旗を上げて欲しい。1人誰かが上げると、時間差置いて次々と他の審判が旗を上げるのを見ていてちょっと見苦しかった。世界レベルの大会だと正確な判定も難しいのだろうけど。

話を戻すと、韓国代表の躍進は印象的だったとして、応援していた代表選手も頑張ってはいた。セルビア女子は1名だけだったので、出場は個人戦だけだった。予選リーグは1勝1敗で、負けた相手は決勝まで行った韓国選手だったから、0-0で延長戦まで粘っただけでも大したものだと思う。ポーランド女子は個人戦では2人が決勝トーナメントに進出。トーナメント1回戦で姿を消した。団体戦も、オランダには惜敗したものの、中国には大逆転勝利、決勝トーナメントには行けなかったものの、こちらもいい剣道をしていた。

米国代表は、応援していた選手はこれまた予選リーグで1勝1敗。負けた相手が日本人だったから、この結果は致し方ない。団体戦の方は僕が会場を出た後の話だったので見ていないが、ベスト4だったらしい。この辺は予想通りの力を発揮したと言えそう。

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《女子個人戦、予選リーグ開始》

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《女子決勝が日本人対決でなく日本対韓国になったのは初めてのことらしい》

さて、本日紹介する本とは全く関係のない剣道の世界選手権のことばかり書いたがこれからが本題。

今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則――『ジャイアントキリング』の流儀

今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則――『ジャイアントキリング』の流儀

  • 作者: 仲山 進也
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/10/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
カリスマ的リーダーもエース社員も不要!のべ3万社の経営をサポートしてきた「チームづくり」のプロが語る、史上最高の成果を生み出す「成長法則」。大人気マンガをケーススタディにした、ビジネスにもスポーツにも活かせる「超画期的」組織論。

うちの次男が、小学校の担任の先生から借りてきて読み始めたのがこの本。先生から、「面白いから読んでみたら」と薦められたそうだ。そもそもこの本は組織経営のあり方を述べたそれなりの経営書だと思うが、それを子どもに読ませるのだから、読んで本当に理解するのかはわからない。ただ、ケーススタディの題材が人気漫画から来ているので、そういうのをエントリーポイントにして、ちょっと難しめの本にも挑戦させようという担任の先生のお気遣いではないかと僕は勝手に思っている。実際うちの子は自宅で読みふけっていたので、こういう本でも読めるようになったんだというのが大きな発見だった。

本のエッセンスは、50ページに出て来るグラフがすべてだろう。読み方は人それぞれかと思うが、読み始めるにあたり、うちの子には、小6の彼が主将を務める剣道チームが団体戦でどうしたら勝てるか、そのために主将は何をすればいいのかを考えながら読んでみようと伝えた。オヤジに似て運動センスがあまりないうちの子が主将なのは他にメンバーがいないからで、同級生で他に強い子がいないために、試合を勝ち抜けるような団体戦のチームがまったく組めない。自分自身が稽古で技を磨くのは当然として、どうやって周囲を巻き込んでチーム全体としての底上げにつなげるかは大きな課題だ。

これは世界選手権の各国代表チームについても言えることだ。強いメンバーを5人揃えるのはそもそも剣道人口がそれほど多くない国々では大変難しいことなので、あまり強くない選手もメンバーに入れて、全体の底上げを図るというのはどこの国でも大きな課題だ。

ただ、自分自身も読んでみて思ったことは、サッカーで弱小チームがジャイキリを起こすのにはこの本は示唆が多いかもしれないが、基本個々人のレベルアップが重要な剣道の場合、選手と選手が連動してゴールを狙いに行く他の団体競技とはちょっと特性が違うかなという気がした。

結局のところ、こと剣道に関しては、弱小チームが勝ちたければ、メンバーひとりひとりの底上げして個々のメンバーのレベルアップを図るのが最優先なのだろう。そういうわけで、うちの子どもには先ず自分自身が力をつけるよう言うしかない。他のメンバーへの声かけはあってもいいと思うが、強くなれるかどうかは各々の自覚と稽古への臨み方にかかっているといえるのではないだろうか。

剣道だけではない。これを組織経営の本として読んだとしても、僕自身身近なところでこのグラフ通りの展開があったケースを残念ながら見たことがない。大学のサークル活動とか、何らかのイベント開催を目的に集められたメンバーの間の話なら、これに近いケースはあったかもしれないが。組織をいったんは崩壊させるぐらいバラバラになるまで追い込んで、そこから新しく組織を構築していくことが、従来からあったその組織の能力を今以上に発揮させるのにつながる―――著者は使われていないけれども「創造的破壊」という言葉がピッタリかもしれないが、そういうのが当てはまる組織って、どれくらいあるのだろうか。ご経験された方、是非コメント欄に書き込みしてみて下さい。

単に希望だけど、今行われている「持続可能な開発」の国際目標に関する政府間交渉が今まさに本書で言う「ストーミング期」にあるから、これがこのグラフ通りに「トランスフォーミング期」に向かって行ってくれたら嬉しいものだ。そのためには参加国の各々が「滅私奉公」に向かって歩みださないといけないが、各国の利害が優先される国際交渉の場では、そんな展開は難しいのかもしれない。

最後に再び世界剣道選手権に話を戻す。チームとしての一体感が良績につながるという保証は剣道の場合はないかもしれないが、ポーランド代表の一体感はこの2日間を通じても印象的だったのでつけ加えておく。若干繰り返しっぽいが、女子団体戦の予選リーグでポーランドはオランダに惜敗したが、勝利数差と比べて実際はかなりの接戦で、先鋒が場外反則2回で一本取られてなければ、展開自体も大きく変わっていたかもしれない。

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《某テレビ番組で有名になったフランス人美人剣士ロイディ選手をパチリ》

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《女子団体戦の試合開始シーン。個の力がものを言う剣道では、ジャイキリは難しい…かも》


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