『シューマンの指』 [読書日記]
内容(「BOOK」データベースより)近所のコミセン図書室で3冊まとめ借りする時は、できるだけ1冊は小説を加えるようにしている。このところ、専門書やノンフィクションを続けて2冊、3冊と読もうとすると、なかなかエンジンがかからず読み進めるのに難儀する。このために、読みやすい小説を所々に加えて、エンジンを暖めるような刺激、いや気分転換を入れるようにしているのである。
シューマンに憑かれた天才美少年ピアニスト、永嶺修人。彼に焦がれる音大受験生の「私」。卒業式の夜、彼らが通う高校で女子生徒が殺害された。現場に居合わせた修人はその後、指にピアニストとして致命的な怪我を負い、事件は未解決のまま30年の年月が流れる。そんなある日「私」の元に修人が外国でシューマンを弾いていたという「ありえない」噂が伝わる。修人の指に、いったいなにが起きたのか。鮮やかな手さばきで奏でる“書き下ろし”長篇小説。
本書は、図書館に入ったら読もうと考えて待ち構えていた1冊である。僕は自宅近辺をウォーキングする際によくポケラジを聴いているのだが、たまたま聴いたラジオ番組でこの音楽ミステリーは相当面白いと推奨されていたのを覚えていたからだ。
だから、割と期待感を持って表紙をめくったのだが、僕はクラシック音楽をほとんど聴かないので、最初の数十ページは読むのが苦痛だった。聴いたこともないシューマンの曲の情景描写や解説はチンプンカンプンだったし、キザなドイツ語がやたら挿入されたりとかもして、読み進めるのが大変だった。断わっておくが、シューマンも含めてクラシックに多少なりとも造詣のある人には非常に興味深い本だということは間違いないと思う。また、序盤は読み進めるのに苦労したが、主人公の「私」による高校時代の回顧が始まると、だんだん面白さが増してきて、途中からは一気に読めてしまった。トータルで見れば読んで良かったと思えるミステリーであった。
但し、あのラストのオチなら、そこに至るまでの途中経過の描写が現実なのか空想なのか、それをちゃんとレビューしていったら、意外と矛盾点があるのではないかという気もした。そんなこといちいちやりたいとも思わないけどね。
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