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『ばかもの』 [読書日記]

謹んで新年のお慶びを申し上げます。
今年も皆様にとって実り多き1年となりますよう心からお祈り申し上げます。


ばかもの

ばかもの

  • 作者: 絲山 秋子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/09
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
気ままな大学生と、強気な年上の女。かつての無邪気な恋人たちは、気づけばそれぞれに、取り返しのつかない喪失の中にいた。すべてを失い、行き場をなくした二人が見つけた、ふるえるような愛。生きること、愛することの、激しい痛み。そして官能的なまでの喜び―。絶望の果てに響く、愛しい愚か者たちの声を鮮烈に描き出す、待望の恋愛長篇。
新年の第1回目のネタは、去年同様冬休み中に読んだ小説からご紹介したいと思う。12月公開の映画の原作本である。但し、僕は成宮寛貴という俳優があまり好きではないので、原作を読んだから映画館に行くかどうかというとよくわからない。多分行かないだろう。

アル中の若者が復活を遂げるというストーリーは、今年1月に逝去されたロバート・B・パーカーの初期の作品『Love and Glory』(邦題:愛と名誉のために)とよく似ているが、『ばかもの』の主人公のヒデは『Love and Glory』のブーンほど強い意志はなく、リハビリの過程で何度も酒に心を許しかける。そこを叱咤するのが昔一方的にヒデに別れを告げた額子だった。『Love and Glory』では、ジェニファーがブーンの愛に気付くのはストーリーの最後の最後であり、ブーンの復活の過程でジェニファーはあくまでも目標なのである。アルコール中毒からのリカバリーにおいて、ヒロインは目標か手段かというところでは違いはあったのではないかと思う。

僕は基本的にこういう長めの時間経過に伴う状況変化や主人公の成長(場合によっては転落)を描いた小説は好きなので、読み切るのにはさほど苦もなかったが、読みながら、これだけアル中に陥った割に、その転落のプロセスの描き方がえらくあっさりしていたのが気になった。アル中のような生活習慣を克服するのがいかに大変なものなのかはわかっているつもりなのだが、酒がなくては生きていけないという状態に陥るのはそんなに簡単なものなのかどうかはよくわからない。

そんなポイントはいくつかあった。読者だけではなく、主人公のヒデでさえも「なぜ?」と思った額子のなぞの部分の描き方があっさりし過ぎていて、「え?それだけ?」と思ってしまったのである。まあ、起こったことの全てをとことん理由付けする必要はないのかもしれないけれど…。


映画の方のトレーラーも掲載しておきます。ヒデ役の成宮寛貴、額子役・内田有紀というのはすごく合っていると思う。
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コメント 3

toshi

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
by toshi (2011-01-01 19:11) 

yukikaze

明けましておめでとうございます。
旧年中は、nice!を押していただき、
さらに、多数のコメントまでしていただき
感謝を致しております。
今年も宜しくお願い申し上げます。
by yukikaze (2011-01-01 20:48) 

アルマ

あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします(*^_^*)
by アルマ (2011-01-02 02:19) 

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