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『プロ野球「最強捕手」伝説』 [読書日記]

プロ野球「最強捕手」伝説 (洋泉社MOOK)

プロ野球「最強捕手」伝説 (洋泉社MOOK)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 洋泉社
  • 発売日: 2009/09/26
  • メディア: ムック
出版社からのコメント
配球、駆け引き、気配り......。捕手を知れば、野球の神髄が見えてくる!
土井垣武、野村克也、森 祇晶、大矢明彦、達川光男、水沼四郎、田淵幸一、梨田正孝、伊東 勤、山倉和博、八重樫 幸雄、中尾孝義、田村藤夫、木戸克彦、中村武志、村田真一、秋元宏作、有田修三、定詰雅彦、高田誠、袴田英利、藤田浩雅、古久保健二、三輪隆、西山秀二、吉永幸一郎、中嶋聡、光山英和、山下和彦、山田勝彦、古田敦也、谷繁元信、城島健司、矢野輝弘、里崎智也、阿部慎之助,etc...
中日ドラゴンズに在籍経験のある捕手としては、出版社のコメントに名前が載っている以外にも、こんな有名選手の名前が出て来る。木俣達彦、大宮龍男。面白いところでは「捕手をやめて成功した漢(おとこ)たち」というので紹介されている6人のうち、4人が中日在籍経験があるところだろう(江藤慎一、和田一浩、関川浩一、山崎武司)。さらには、「個性派捕手・破天荒捕手・外国人捕手…記憶に残る捕手たち」の章には、ディステファーノ、ディンゴという中日在籍したお騒がせ外国人捕手というのも紹介されていた。

只今CS第2ステージ崖っぷちの中日ドラゴンズの話題から入らせてもらったが、本日この本を取り上げたのは、むしろ最近新聞紙上を賑わせている(?)シアトル・マリナーズの城島健司選手の日本球界復帰に関して面白い記事が掲載されていたからだ。

この特集記事は「メジャー流「捕手防御率」ってナンだ!?」(pp.66-69)という記事で、城島がなぜベンチウォーマーになってしまったのかを、大リーグで最近開発された捕手データで分析し、城島の長所と短所を洗い出すというものである。城島をベンチに追いやって試合に出場しているロブ・ジョンソン捕手との比較で紹介してみよう。(データは8月末までの試合データに基づく)

1.盗塁阻止力
盗塁阻止率
城島51.5%(ア・リーグ第1位)、ジョンソン26.0%(同6位)
1試合当たりの被盗塁敢行数
城島0.66(ア・リーグ第1位)、ジョンソン0.74(同4位)
*大リーグの平均盗塁阻止率は20%前後だそうで、城島の盗塁阻止率は断トツに高い。このため、城島は走られない捕手として数えられている。

2.ボールブロッキング
1試合当たり平均「ワイルドピッチ+パスボール」率
城島.362(ア・リーグ第10位)、ジョンソン.548(同18位)
*大リーグの平均は.350前後ということで、城島はほぼ平均レベルに位置する。

3.プレートまわりの守備
捕手アシスト数(バントやキャッチャー前に転がるボテボテのゴロを処理して、アウトにした数字)
城島29(447イニング中)、ジョンソン35(607イニング中)
*出場機会が減っている今年の数値だけでは比較できないが、過去の成績としては、59(2006年)、56(2007年)でいずれもア・リーグ第3位の好成績。

4.バッティング
捕手OPS(出塁率+長打率)
城島.648(ア・リーグ第13位)、ジョンソン.638(同15位)
*大リーグ平均は.750前後であり、城島はこれを大きく下回っている。しかも、2008年も.609と不振だった。特に、出塁率は危険水域といえるぐらい低いといえる。打撃ではあまりチームに貢献していないことになる。

5.リード
捕手防御率(その捕手とバッテリーを組んだときに投手がどれだけの防御率をマークするか)
城島4.89(ア・リーグ15位)、ジョンソン3.36(同1位)
*城島よりも若手の控え捕手の方が捕手防御率が良いという傾向は2006年から変わらない(2008年の例外を除いて)。城島とメジャーの投手達との相性が非常に悪いという象徴だという。さらに問題は、城島の場合、4.81(06年)、5.07(07年)、4.57(08年)、4.89(09年)と一向に改善の兆しが見られないということだ。

 日本ではキャッチャーはピッチャーをリードすることが重要な仕事と考えられているが、大リーグでは違う。主導権はあくまで投手の方にあり、捕手は投手が力を発揮しやすいようにサインを送るのが仕事だと思われている。(中略)ところが城島は大リーグ入りすると同時に「自分の役目は打つことより、ピッチャーをしっかりリードすること」「シーズン後半にはピッチャーに首を振られないようなリードをしたい」と気負って投手陣を「リード」しようとした。これに対するピッチャーたちの反発は大きかった…

この後のことは詳述しないが、投手陣の主力が「城島が相手だとうまく投げられない」ので別の女房役に替えて欲しいと次々と直訴し、今季も先発1~3番手が城島拒否したことで、自ずとジョンソンのスタメンマスクが増えることになったのだという。

要するに、日本の野球風土だったら当然と思われている捕手のリードはメジャーの求める捕手像とあまり親和せず、仮に昔のノムさんや古田がメジャーに挑戦していたとしても成功を収めることは難しかっただろうというのが想像できる。漫画『メジャー』に登場してホーネッツで茂野吾朗とバッテリーを組むジェフ・キーンのようなキャラは、実際のメジャーリーグの捕手には少ないのだということだ。

だから、この記事でも、城島をこのまま腐らせてしまうのは忍びないので、「万難を排して帰国の決断をするのが最善の道であると思えてならない」と結んでいる。城島の日本球界復帰は、彼にとって良いことなのだと…。

真弓監督、城島と直接交渉=「優勝に力貸してほしい」-プロ野球・阪神
10月23日配信 時事通信
 阪神の真弓明信監督、南信男球団社長らが23日、米大リーグのマリナーズ退団が決まり日本球界復帰を希望している城島健司捕手と福岡市内で会い、入団交渉した。
 球団側は既に城島の代理人と電話による交渉で条件を提示しており、この日初めて城島本人が交渉の席についた。約1時間半の会談で、真弓監督は城島に「阪神に来て、優勝に力を貸してほしい」と要請。城島は「最大限の誠意を感じた。持ち帰って考えたい」と代理人を通じコメントした。
 南社長は「われわれとしては手応えを感じている」と今回の交渉を評価。結論が出る時期については「早ければ早い方がいい」としながらも、「本人には大きな決断。(ソフトバンク会長の)王さんらお世話になった人もいらっしゃるだろうし、きちんと手順を踏んでからになる」と語った。
 阪神は早ければ26日にも次回交渉を行う予定。 

「誠意を感じた」
この言葉を久し振りに聞いた。確か、4年前に城島がマリナーズ入団を決めた際にも、彼は全く同じ言葉を口にしている。「シアトルは妻も気に入っている。マリナーズの球団幹部とは家族ぐるみで付き合っていただき、誠意を感じた。現在は前向きになっている。」今もマリナーズの球団幹部と家族ぐるみで付き合ってもらっているのだろうか。人の出入りの多い米国社会のこと、きっと当時の幹部ってもう球団に残っていないんじゃないかという気がする。米国の「誠意」ってその程度のことだ。阪神が初めに声をかけてくれたから最も「誠意」があるというのは、もう少しよく考えた方がいいんじゃないだろうか。

それにしてもタイガースか…。折角芽が出てきた狩野がどうなっちゃうんだろうか。他球団の有力選手がFAになればなんでもかんでも獲りに行くというのは昔のジャイアンツを見ているようであまりいい印象はない。当時のジャイアンツがあまりチーム成績が良くなかったことを考えると、今後のタイガースは恐れるに足らないだろう。
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