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客に優しいオート・ドライバー [インド・トリビア]

Autorickshaw.jpg

最近、僕は何かにつけて移動手段にバスを利用することが多くなってきた。料金が格安なだけでなく、路線番号さえ把握していれば、ほぼ行きたい場所に行ける自信がついてきたからだ。でもそれだけではない。バスの方が気が楽なのだ。オートリキシャーはどうかと思われるだろうが、僕はあれが苦手だ。折角止めても行き先を告げた途端、運転手に苦笑いしながら「ノー、ノー」と首を振られると、全人格を否定されたような屈辱感を味わう。それに比べたらバスは乗車拒否をしない。人格を否定されるぐらいなら、ギューギュー詰めのバスでも僕には許せる。たとえスリのリスクと背中合わせだったとしてもだ。

ところが、先日のディワリ休暇中、走っている路線バスがあまりにも少なくて目的地に行くのに困ったことがあった。20分以上最寄りのバス停で待っていたが、お目当ての路線バスが全然来ない。来たと思ったら異様な混みよう。目的地まで乗り継ぎが1回必要なことを考えたら、満員バスはつらい。そう考えて僕は久々にオートに乗ってみた。

Sanchai: ロックランド病院までいくら?
運転手: メーター料金に10ルピー加算でどう?

親切な運転手なのでホッとした。病院の見舞いが終わった後、僕は再びオートを拾ったが、その時も若い運転手だったがさわやかな値段交渉だった。50ルピーで妥結したが、まあいいかと思った。乗車拒否をされないというのが一番だ。

こうした経験を一般化はできないだろうが、なんとなくオートの運ちゃんが優しくなったような錯覚を覚えた。

そしたらこんな記事が10月22日(木)付Hindustan Times紙第5面に出ていた。「いらっしゃいませ!(May I help you please?)(Neelam Pandey記者)という記事である。この記事によると、この言葉はボランティアだけのものではなく、オートの運転手という考えられない人から聞かれるようになるだろうという。2010年10月と1年後に迫った英連邦スポーツ競技会(Commonwealth Games)準備に向けた様々な取組みを紹介するシリーズで、観光省がオートリキシャーの運転手向けの研修プログラムを開始したというのが記事のテーマだ。その第1期生向け研修が21日(水)から3日間の予定で始まったという。研修で習得が求められるのは、客に対する礼儀と言葉遣いだ。ハリヤナ公共行政研究所(Haryana Institute of Public Administration, HIPA)の企画で始まった研修には、軽量心理テスト、ヨガ、生活スキル、英語会話、警察との連携、救急措置、交通ルール、交通安全、災害管理といったコマが用意されている。運転手の参加は任意だが、観光省は参加者に1日200ルピーの研修手当を支給するという。

記事全文は下記URLから!
http://www.hindustantimes.com/rssfeed/newdelhi/May-I-help-you-please/Article1-467734.aspx

現在、デリー市内には55,000人のオート運転手がいるという。英連邦スポーツ競技会までに研修受講可能な運転手数はせいぜい8,000人程度と見られている。7人に1人は研修修了者ということになる。

ではこの研修受講済みのオート運転手をどう見分けるか。記事によれば、修了者は肩にバッジを付けた制服を着用するとともに、オートのフロントグラスにラミネート加工された修了証を架けているという。また、研修受講者の顔写真と連絡先は、デリー観光局(Delhi Tourism)のウェブサイトで公開されるらしい。要はウェブサイトを見ながらお気に入りの運転手を呼び出すこともできるわけで、これは研修受講のかなりのインセンティブになりそうだ。

こんな優しい運転手にお目にかかれる確率をある程度高める方法があるのであれば、僕もまたオート派に宗旨替えしてもいいなぁと思ってしまった。
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降龍十八掌

麻生首相も礼儀と口の利き方をわきまえていれば、スポーツマンなんだからもっとよい面をアピールできだでしょうね。(笑)
by 降龍十八掌 (2009-10-23 09:21) 

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