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『インド人とのつきあい方』 [読書日記]

ご無沙汰しておりました。8月29日(土)に引越しは1日で済んだのですが、その後固定電話とADSLの移転にやたらと時間がかかり、結局1週間近くもブログ更新ができないでいました。

固定電話とADSLの移転登録はむしろ物理的な引越しよりもよほど早い段階でエアテルに連絡していたのだが、モジュラージャックの据付工事は31日(月)にずれ込み、それが使用可能になるのは「4、5時間後」と聞いていたのでその日は深夜まで待っていた。しかし、結局通じず、もう1日待っても何も起きず、さすがにしびれを切らして以前旧居のADSL立ち上げをやった技術者に9月2日(水)に電話すると、「もうエアテルを辞めてます」と言われてしまった。

その技術者から今は誰にコンタクトすればいいのかを聞き出し、その人物に電話を入れると、「明日」と言われ、「いや明日は困るから今晩にしてくれ」と要望し、「それじゃ7時頃」と言われたので早めに帰宅して自宅で待機していたが、2時間経っても誰も来ず、もう一度この技師に電話を入れると、「行けるかどうかを確認してまた電話する」と言われ、さらに2時間待ってもコールバックひとつない。

「4、5時間後」にしても「明日」にしても、インド人の口約束としては極めて当てにならない言葉である。そういうアバウトな時間指定では困るからと無理やり前倒しを要望しても、結局は口約束でその場をしのぐというのがインドでは当たり前なのだというのを改めて痛感させられている。まあ、こちらもどうせ破られる口約束だと割り引いて聞いているから、「なんでインドはこうなんだ!」と怒り心頭に達するということはなかった。

おそらく、こういう場合の対処方法はインド人同士でやらせることなのではないかと思う。インド人にとって相手が自分の常識外の外国人である場合、結構いい加減な言い逃れをしている可能性が高いように思う。特に電話での口約束など、電話を切ってしまえばこっちのものだ。分かりにくい英語で大騒ぎする外国人からのクレーム電話など、ぶちっと電話を切ってしまえばよい。後は何度コールされても出なければいいということにもなる。

インドの制度を理解していない外国人がワーワー騒ぐのでは問題解決にもならないが、インド人同士なら共通の制度理解の下で適当なところで落とし所を見つけられるかもしれない。そう思って職場の庶務担当のインド人スタッフに間に入ってもらったら、なんと半日で固定電話&ADSLは開通した。

インド人とのつきあい方―インドの常識とビジネスの奥義

インド人とのつきあい方―インドの常識とビジネスの奥義

  • 作者: 清好 延
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2009/07/17
  • メディア: 単行本
内容紹介
最近、近所にインド人が増えたと思いませんか?日本人はいやでもつきあわざるを得なくなるインド人ですが、ビジネス上のつきあい方に関して実践的な指南をいたします。著者はインドビジネスの第一人者。自己責任と非暴力という大原則の下、多様性を最大の特徴とするインドと向き合う上で、必ずお役に立つ内容が満載されています。

さて、本日紹介する本は、まさにそうしたインド人の考え方、行動の仕方、そして日本人としてインド人との付き合い方について、著者の長い対印ビジネスの経験に基づいて書かれた1冊である。僕も今回の引越しでインドでの駐在生活も完全に第2フェーズに入ったと思っているので、ここいらで今までのインドでの生活経験を振り返ってみてそれをどうやって今後に生かそうかと考えながら本書を読むことにした。エアテルの固定電話&ADSLに限らず、引越しに伴って新居で生じた様々な作業――荷物搬入、電気工事、エアコン移設工事などは、実際に作業員が来てくれるまでの待ち時間に加えて作業が終わるまでの待ち時間も長いため、結構読書が進んだ。

確かに、なるほどそういうことだったのかと納得させられることが多い。「これからはインドだ」という趣旨の本が日本では目立つが、本当に経験に裏打ちされた実践的インド人とのつきあい方、ビジネスの仕方というのが描かれているという点で、とても実用的だと僕には思えた。また、インド人に対するリスペクトや愛情も強く感じられる1冊でもある。

例えば、次の各節には次のようなサブタイトルが付いている。これまでインドで働いてきて心当たりがあることもあるし、わかっていても自分がちゃんと対処できていないということもある。そういう僕達に対する戒めとも激励ともとれるメッセージが多い。
◆たとえ何かトラブルが起こったとしても、それはあくまで自己責任というのがインド流。
◆施しに感謝を求めてはならない。与える側と受け取る側に上下はない。
◆論理的な思考は得意とするが、問題の整理やビジュアル化は不得手。
◆事が起こったことが重要で、何時起こったかは問題ではない。
◆気軽に家に食事に誘ってくれるようになったらインド人の信用を得たと思っていい。
◆インドでは、事柄を動かすのは組織ではなく個人。
◆出会いを大切にし、それを大切に育てる。人脈は生活や仕事を輝かせるポイント。
◆トップがすべてを掌握しており、決定権はトップにしかない。
 (社員レベルの話し合いはほとんど無意味/トップは交渉を決めるためにいる)
◆価格交渉は先に値段を言った方が負け。相手が法外な値段を言ってきても驚くことはない。
◆上からの目線でインドと関わると失敗する。助けは求めていないし、プライドも高い。
◆理にかなわないことには従わないインド人。上に立つものは尊敬されなければならない。
◆仕事の分担や権限は明確にする。そして、最後はリーダーが責任を持って決断する。
◆インド人に忠誠心を期待するのは非常識。2~3年で転職していくのがインドの常識。
◆ビジネスをやる人間は、上流階級のインド人と渡り合わなくてはならない。

最後のポイントは、かなり耳が痛い。
一般庶民の生活環境を理解することも大切であるが、上流階級、高級官僚、金儲けを目的とする事業家たちとのやり取りに習熟することの方が企業から派遣されている皆さんには重要であることを理解してもらいたい。(中略)大倉商事の取締役であった山内利男さんは、(中略)インド滞在中、インドの国内航空便に乗る際には必ず最前列を予約するよう努力された。「最前列には政治家や高級官僚、VIPの実業家などが座るのでそこで対話ができるし、知人ができるから」と言っておられた。これは歳をとってからの話ではない。若いときから意識して、インドの上澄みの人たちと接触しようとしていたのだ。(p.280)

僕は「一般庶民の感覚とは離れた人口の数%のインド人達」とビジネスをしているわけでは必ずしもなく、一般庶民の感覚というのは依然として自分の感性を磨くには必要だと思っているが、歳をとって役回りが付いてくると、ここで言われているようなレベルとのお付き合いを全くしなくてもいいというわけにはいかなくなる。これはここ数年ずっと感じ続けていることで、それなりに努力もしてきたつもりではあるが、ここで言及されている大倉商事の元取締役のお話を聞くと、自分の努力などたかが知れていると恥ずかしくなった。

ここで言われていることは、インドに限らずどこの国でも当てはまることだろうが、特にインドでは重要だと僕には思える。国内線のフロントローのビジネスクラスに乗せてもらえるほど会社での僕の号俸が高いわけではないが、飛行機で旅する際に隣に座った人に話しかけるぐらいのことは意識してでもやった方がいいのかなと思う。

また、自宅に来ないかと誘われるケースは今までにもあったが、子供が小さいからというのを理由に遠慮し続けてきた。単身赴任生活になった今となっては、こういう機会は生かさねばと強く思う。ビジネスに繋がるかどうかは別として、そういう親しい友人が作れなければインド生活も何だったのかよくわからない形で終わってしまう。
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