SSブログ

インドスタディツアーの帰国報告会 [地域愛]

三鷹国際交流協会(MISHOP)の活動グループの1つである「MISHOPスタディツアーの会」が、昨年11月に実施したインドスタディツアーの帰国報告会を28日(土)に三鷹駅前コミュニティセンターで開催したので、ちょっと覗いてくることにした。前夜の深夜残業が体には効いていて、正直言うとものすごく眠かったのだけれど…。

去年のインドネシアスタディツアーの帰国報告会から出させていただいているが、MISHOPの全体の活動の中でも、僕が最も好きなプログラムの1つである。普通の市民の人々が、異国で異文化に触れて、どうお感じになるのかを聞くのはとても新鮮であるし、そういう人々が、異文化交流をされる中で翻って日本をどうご覧になるのかにも関心がある。そして何よりも、市民の皆様の「切り口」の豊かさに毎回驚かされ、国際協力に携わる者としてではなく、一市民として目の前にある事象を測る「ものさし」を持つ必要性を痛感させられるのである。

僕自身は未だインドに行ったことがないが、ネパールに住んでいた頃からインドは憧れの国であり、ヒンディー映画を理解できるようになりたくて帰国後一時期ヒンディー語も習ったりもした。米国でも英国でも、滞在する機会があるとついついインド料理のレストランを探してしまう。今の僕のインドに対する関心は、あれだけの貧困人口を抱えて公的セクターだけで貧困者向けの支援プログラムが組めない中で、地場のNGOが政府に代わって公共サービスを担っていたり、或いは、プラハラードの『ネクスト・マーケット』で紹介されたように、貧困層を顧客と見なした企業のビジネスもインドでは沢山出てきているという点にある。そういう、貧困層を巻き込んだ民間レベルでの様々なグッドプラクティスがそこらじゅうに転がっている宝の山のような国なのだ。ITにしても、バンガロールのソフト産業が注目されるが、インドという国をITという切り口で見た場合、注目したいのはキオスクやサイバーカフェ、携帯電話の貸出サービスといった「ルーラル・テレセンター」である。農村部にいても、外部の遠く離れた土地の知人と連絡が取れる通信手段の整備における民間レベルでの工夫がとても多く見られる(という)。

もう1つは、『物乞う仏陀』でも紹介されている、ストリートチルドレンや売春といった暗い側面である。インドという国を見る場合、僕達の視点というのは、どうしても「貧困」や「カースト制(階層社会)」、「学校に行けない子供」「障害者」「スラム」等、その国の暗い部分に注目をしてしまう。募金やボランティア活動で何かお手伝いができないかという気持ちは、外部者が訪問する際にどうしても抱いてしまう自然な感情なのではないかと思う。確かに、そこで生活する人々は、貧しいし、一家の大黒柱が突然亡くなったりしたら(そういうリスクは相当に高いと思う)、とたんに生活に困窮するだろう。物質的には不自由がない社会に暮らす僕達から見ると、彼らの生活は本当に大変だと映る。

今回スタディツアーに参加した皆さんのお話を聞いていて、やっぱり多くの方々インドを貧しい国と捉え、農村開発やストリートチルドレンの就学支援、女性の地位向上に取り組んでいるNGOの活動をご覧になったり、マザー・テレサの活動された施設を訪ねたりされたのだなということがとてもよくわかった。でも、その後の質疑応答を少し聞いていたら、「インドはとんでもない国だ」という意見がかなり出てきていて、そういう印象を与えてしまったかもしれないなという気もする報告内容だったようにも思う。

貧しい国であることは間違いないのだが、外国からの援助や外国のNGOがやってきて支援を行なわないと救済できない国であるというわけではない。住民の中には問題意識を持って生活環境の改善を図っていこうとする取組みが沢山あり、全うな商売をやって儲けていこうと頑張っている人たちもいっぱいいる。今回の報告会では、貧しい中でも最も貧しい人々の生活状況については紹介されていたのだろうと思うが、貧しい人は全てそういう状況なのだという印象を与えてしまったのかもしれない。実は貧しい人の中には、既に企業家精神旺盛でちょっと資金があればうまく商売を軌道に乗せられる人もいれば、社会のリーダーとして、コミュニティを引っ張っていける人もいる。自助努力で這い上がっていける人は結構多いと思うのだ。政府に頼らず、自分達のコミュニティは自分達で良くしていくのだという気概を持った青年が多いという点は、僕は今の日本の僕達のような世代はよく学ぶべきだと思う。

こういうスタディツアーという形で外国を訪ねるのはとても新鮮である。今回のインドは正直言うと自分も参加したかったくらいなのだが、11月で2週間以上も休暇を取ることはできないので、実質就労世代の参加が得にくい仕組みになっている。ツアー参加者が事前に勉強するのは当然であるにしても、潜在的に「自分もその国について学ぶ機会が欲しい」と思っている人は沢山いるのではないかと思うので、そういう人の好奇心もくすぐる仕組みがあるといいなと感じた。次回はマレーシアだそうだが、マレーシアはもはや途上国とは言い難いので、「貧しい国」という切り口は捨てて、交流の側面を前面に出してプログラムを編成されるのだろう。

逆に、これまで途上国へのツアーが多かったわけだが、逆に先進国にもある貧困にフォーカスしたツアーというのも考えられないかなと少し思った。例えば、米国西部のインディアン居住区とか、南部のニューオリンズだが、そしたら僕はツアー自体ではないにせよ、事前勉強にはかなり真剣に関わるだろう。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0