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「国を挙げて」とはなりにくい [ブータン]

ブータンとUNDP、50年の友好関係を祝う
Bhutan and UNDP celebrate 50 years of partnership
BBS、2023年7月29日(土)
http://www.bbs.bt/news/?p=189634

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【ほとんど抄訳【抄訳(www.DeepL.com/Translator(無料版)翻訳を筆者編集)】】
ブータンと国連開発計画(UNDP)が友好の旅を始めてから50年の節目を迎えた。UNDPによると、この友好と支援は、ブータンが後発開発途上国グループを卒業した後も継続されるとのこと。UNDPの常駐代表は、気候変動、市場アクセスの改善、民間部門の成長といった分野にも焦点を当てていくと述べている。1973年のパートナーシップ開始以来、UNDPは人材開発、農業、保健衛生、観光、エネルギー分野などで同国を支援してきた。

EV用急速充電器をさらに16基受領
Country to have 16 more electric vehicle charging machines
Tashi Yangden記者、BBS、2023年7月30日(日)
http://www.bbs.bt/news/?p=189694

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【ほとんど抄訳【抄訳(www.DeepL.com/Translator(無料版)翻訳を筆者編集)】】
数ヶ月後には電気自動車の充電ステーションが増設される予定だ。政府は新たに16台のEV充電機を調達し、合計76台となった。この充電機設置プロジェクトは、予算総額100万米ドル(約9,300万ニュルタム)以上で、日本政府が資金を提供している。このプロジェクトは、ブータンの低排出交通システムへの移行を加速させることが期待されている。

7月1カ月間、僕はFAB23のことだけを見ていた。実際に7月24日からFAB23カンファレンスがテックパーク内のスーパーファブラボで始まってから、ほぼ毎日カンファレンス会場には出向き、ブータン側からどんな人が訪れていたのかを見ていた。あえて厳しいことを書くが、ブータン政府でも教育省学校教育局とカリキュラム開発局ぐらいしか職員が来ておらず、他省庁からの来場者はほぼ皆無。現地開発パートナーも、ユニセフの常駐代表が「高校生ファブチャレンジ(Fab Student Challenge)」のレセプションに顔を出したのと、JICAの現地事務所長がパネリスト登壇されたのを除けば、ほぼ皆無だった。

結論から言ってしまうと、「国を挙げて」というイベントにはなっていなかった気がする。

FAB23カンファレンス期間中、その裏日程ではUNDPは「友好50周年」祝賀行事を行っていた。Fab Bhutan ChallengeやFab Student Challengeのウィナーが発表されたFAB23の閉会式(28日)のその時間帯、彼らは50周年の記念レセプションを開いていた。当然、閣僚やブータン政府の高官は、そちらに出席するだろう。

逆に、実はこの28日の午前中、FAB23カンファレンス会場では、EVに関するインドとブータンの二国間協力に関するワークショップが開催されていた。これには、インフラ交通省の旧知の道路局長がパネリストとして呼ばれていて、会場でもちょっと立ち話する機会があった。UNDPの関係者は、このワークショップに来ていたのだろうか。

(冒頭ご紹介したEV急速充電器の報道は、この時期に日本の環境大臣がブータンを訪問されたからこその目玉的イベントだったのだと想像する。環境大臣はたぶん29日(土)にブータン入りされたのだろうと思うが、あと1日早く入られていれば、28日午後の「ファブシティ・サミット」もちょっとだけでもご覧いただいて、ブータン王国の「ファブシティ・グローバルイニシアティブ」加盟宣言を目撃していただけたのに。「ファブシティ」「ファブネイション」になると、EVだけでなく、日本が二国間協力で何かと支援してきた廃棄物管理や農業なんてのもスコープに入って来るので、伝統的開発パートナーとして、取りあえずはデカい顔ができたのではないかと思う。)

勿論、FAB23カンファレンス全体のトーンとして、どちらかというと援助ではなく民間資金を活用して国内外のファブを盛り上げようというメッセージが多かった気がするので、その意味では現地開発パートナーの果たす役割は小さかったとは思う。全加盟国の代表だとして他の援助国や援助機関を仕切りたがる国連常駐代表やUNDPが、FAB23とはほとんど接点がなかったというのは、ちょっと驚きだった。

ここではUNDPをあえて例にあげたが、これは他の現地開発パートナーでも大なり小なり同じようなことをこの間やっていたし、既述の通り、ブータン政府でもFAB23とよく連携していたのは教育省学校教育局・カリキュラム開発局ぐらいだった。他省庁はおろか、同じ教育省でもユースセンター所管の青年スポーツ局はまったく絡んでいなかったし、学校教育局内でも、障害児特別教育ニーズ(SEN)担当課は、僕が同課を事前に訪問して23日のファブフェスティバルを視察して欲しいと陳情するまで、「FAB23」の存在そのものを知らなかった。

そして、逆に言うと、FAB23カンファレンスの会場の内外でニール・ガーシェンフェルド教授が今後のブータンでのファブの普及について語っていたことについても、教授の構想自体は僕は素晴らしいと思うけれど、DHIとスーパーファブラボ、ファブラボブータンネットワークの一本かぶりでは、今後の展開が覚束ないのではないかというのが気になった。

29日(土)、ニール教授は、ブータン国内のファブラボ関係者を集め、2時間のミーティングを主催された。この場で教授の構想を伺ったが、常に地方のファブラボの財務持続性を気にしている僕は、それに地方のファブラボを巻き込むのなら、ちゃんと地方のファブラボに必要なお金が回ってくる保証はあるのかと質問した。教授は「それはブータン側が考えること」だと仰ったが、Fab Student ChallengeやFab Bhutan Challengeの開催にかかった経費はまだファブラボCSTに対して振り込まれておらず、こういう、末端の地方ラボに負担を強いるやり方はよくないと思っている。かといって、予算的な確約は同席していた教育省関係者もしてくれたわけでもない。

とかく、この国では、人口が少ないのに、多くのプレイヤーが多くのことを同時並行的にやり過ぎていると思う。もっと交通整理して、連携してやればいいのに、みんながバラバラだから、それを1つに束ねて大きな流れに集約させることがなかなかできない。

一時期に300人以上のものづくり大好き人間を世界中から集めるような国際一大イベントをブータンがホストするのは、パンデミック以降だけでなく、おそらくブータンの歴史の中でも初めての出来事だったと思う。そこに皆の力を結集させられたら良かったのに、実際にはベクトルが別方向に向いている出来事が多いと感じた7月だった。

タグ:EV FAB23 UNDP
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