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高校生ファブ・チャレンジの受賞作品 [ブータン]

ファブチャレンジ優勝チームがその試作品で教育を変える
Fab challenge winners redefine education with innovative prototypes
Tshering Deki記者、BBS、2023年7月31日(月)
http://www.bbs.bt/news/?p=189727

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【ほとんど抄訳【抄訳(www.DeepL.com/Translator(無料版)翻訳を筆者編集)】】
全国高校生ファブチャレンジでは、イノベーティブなプロトタイプを考案した高校3校が表彰された。このチャレンジには全国から12校が参加。彼らは、教室で使える実用的な教具を作るために、3Dプリンターや木工などの最先端技術を採用したプロトタイプを開発した。

ウゲン・アカデミー(プナカ県)は、数学を簡単に学べるプロトタイプを開発し、優勝した。同チームは賞金30,000ニュルタムを獲得し、将来的にはこのようなプロトタイプをさらに作成し、すべての生徒が使用できるようにしたいと考えている。

「このプロトタイプはゲームのようなもので、二次関数というトピックを単純化するための学習補助教材として使うことができます。このプロトタイプを通して、このトピックを複雑だと感じている生徒の考え方を変えたいと思います」とウゲン・アカデミーの生徒、エデン・ラッキー・ツォモさんは語った。

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また、サムチ高等中等学校(サムチ県)は、学校で生徒に腎臓の機能を教えるための血液透析器の模型を開発し、20,000ニュルタムを獲得した。

「私たちの模型は実物大で、生徒が1つの教科を他の教科につなげることができるように、教科間の掛け合わせを多くしています。90%の生徒が、インタラクティブな学習を通してより多くのことを学んでいます」とサムツェHSSの学生、テンジン・ケルドゥップ君は語った。
《後半に続く》
《続き》
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ジション高等中等学校(ガサ県)、物体の高さを測定する装置を製作し、3位入賞と賞金10,000ニュルタムを獲得した。

「私たちのプロトタイプは、さまざまな技術部品を使用して物体の高さを測定するものです。私たちの試作品は、三角法の概念とICTコードをさらに単純化するのに役立ちます。私たちのプロトタイプは、数学とICTのような科目で生徒の学習経験を向上させるのに役立ちます。このような技術に触れることで、授業がより楽しく、魅力的なものになるからです」と、ガルセル・キンレイ・イージンさんは述べた。

スーパーファブラボと教育・技能開発省は、国の経済変革を推進する上でのデジタル・ファブリケーションの重要性を学生に理解させるために、このチャレンジを企画した。

今年4月、クエンセルに全国高校生ファブチャレンジ(Fab Student Challenge)の話が掲載された際、地方にいる自分たちは自分たちのファブラボを地元の高校生が訪ねてくるから使わせろなんて話はまだ聞いていないと苦言を呈したことがある(「中央主導のFAB23開催準備」(4月30日))。中央でこういう構想をぶち上げておいて、地方への指示があとから突然やってくるというのはいつものことで、実はブログで愚痴ってからしばらくして、Fab Bhutan Challengeの準備に向けた定例ウェブ会議の最後の事務連絡で、スーパーファブラボのスタッフがチラッとこの地元高校生への便宜供与の件を言ったとか。

スーパーファブラボによる地方ラボ支配については快く思ってはいない地方ラボ関係者は多いが、こうして上位入賞作品がすべて地方の高校が取り組んだプロトタイプだったというのは、なんかやってよかったなという気もした。1位と3位はロベサのCNRバイオファブラボが協力、2位のサムチHSSは、7月3日から5日までCSTに滞在し、ファブラボCSTで試作に取り組んだ2校のうちの1校だ。

スーパーファブラボがFAB23準備で忙殺されていたので、ティンプーの高校生にこうした便宜を図る余裕がなかったというのもあるのだろうが、地方ラボと近隣の高校生との関係構築には大いに役立ったと思う。ファブラボCSTでは当時、学生の夏期インターンを10人受け入れていたので、彼らが高校生のプロトタイピングをサポートした。さながら夏合宿のようで、楽しかった(下記JICAプロジェクトニュース参照)。こうやって先輩たちと交流した高校生が、エンジニアリングやファブラボに関心を持って、将来CSTに進学してきてくれたら嬉しい。

「近隣サムチ県の高校生とプロトタイピングに取り組む-FAB23への協力①」(7月10日)
https://www.jica.go.jp/Resource/project/bhutan/012/news/20230710.html

優勝したウゲン・アカデミーについては、場所がクルタンでロベサのCNRにも近かったので、6月の早い時期から通いでバイオファブラボに出かけていたと聞く。その分バイオファブラボのマネージャーからじっくり指導を受けられたのだろう。会場で見ていても、この学校のプロトタイプは群を抜いていたので、1位というのは誰もが納得だ。加えてバイオファブラボを利用したガサの高校が3位に入ったのも、バイオファブラボにとっては大きな成果だと思う。

追々noteの方でもまとめていこうと思うが、FAB23の全日程を通じて、ファブラボネットワークが学校教育へのアプローチを強め、「21世紀スキル」の修得促進を目指しているというのを強く感じた。学生ファブチャレンジというコンテンツだけでは一過性に終わる可能性もあるが、米ファブ・ファンデーションが最近進めている「Fab-in-a-Box」や「Fab Academany」といった取組みを通じて、ブータンを21世紀スキル修得の「ショーケース」にしたいらしいから、今後も、地方のラボを通じた地方の高校生へのアウトリーチ活動は続いて行くのだろうと予想される。(予算の出所は定かではないが。)

でも、「材料は高校が調達してファブラボでは機械を使用するだけ」という建前はおかしい。3Dプリンターのフィラメントなんて個々の高校で買ってもしょうがないし、うちで高校生を受け入れた際には、リフレッシュメント代金や僕が個人的に買って持っていたマグネットなんかは、全部うちの持ち出しになっている。そういうところをなあなあにせず、各地方ラボがかかった費用はちゃんとカバーされる仕組みを作らないと、地方ラボは財政的に立ち行かなくなると思う。ファブ・ファンデーションやスーパーファブラボがブータン国内のファブラボのネットワークを使って全国展開で何かをやるというのなら、必要な資金が必要なタイミングでちゃんと地方に流れるよう検討すべきだ。

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