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『承久の乱』 [読書日記]

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承久の乱 真の「武者の世」を告げる大乱 (中公新書)

承久の乱 真の「武者の世」を告げる大乱 (中公新書)

  • 作者: 坂井孝一
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2019/07/12
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
1219年、鎌倉幕府三代将軍・源実朝が暗殺された。朝廷との協調に努めた実朝の死により公武関係は動揺。二年後、承久の乱が勃発する。朝廷に君臨する後鳥羽上皇が、執権北条義時を討つべく兵を挙げたのだ。だが、義時の嫡男泰時率いる幕府の大軍は京都へ攻め上り、朝廷方の軍勢を圧倒。後鳥羽ら三上皇は流罪となり、六波羅探題が設置された。公武の力関係を劇的に変え、中世社会のあり方を決定づけた大事件を読み解く。
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なんだか、今年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、盛り上がってません?Yahoo!ニュースでやたら取り上げられているのは、僕がそういう記事を選んで読んでいるから、AIによるレコメンド機能でも働いているからなのだろうか(笑)。残念ながら、僕はYouTubeのNHKのチャンネルで「だいたい10分でわかる」のシリーズを見て、一時帰国の際に2話だけ見て、でそれだけ。外国に駐在していて、大河ドラマの盛り上がり方について行けてない自分に若干のもどかしさは感じている。そのもどかしさを救ってくれているのが、「コテンラジオ」の新シリーズで鎌倉武士編が始まったことである。NHKの「だいたい10分でわかる」シリーズよりも、じっくり解説してくれていて、ポッドキャストでも聴ける。

大河ドラマはそろそろ実朝暗殺が描かれるタイミングなのだろうか。たまに猛烈に歴史の本を読みたくなる僕の、前回のブームは『鎌倉殿の13人』の放送開始前後だった。その時、坂井孝一『源氏将軍断絶』を読んだが、選んだ理由は「Kindle Unlimitedで読める」というものだった。そして、この本と争ったもう1冊が、同じ著者による『承久の乱』であった。

中公新書って、けっこう歴史上の出来事をテーマで取り上げてくれて、それが話題になることが多い。『応仁の乱』とか『観応の擾乱』とか。そんな流れの中で出てきたのが、2018年発刊のこの本。2022年の大河ドラマでこの時代が扱われるとわかっていたのかどうかは知らないが、仮にわかっていたとしても、世にあまたある「NHK大河ドラマ便乗商法」の類書と比べると本書は格が違う。この時代の歴史研究者が書いた、一流の歴史解説だといえる。

元々著者は源実朝の研究者らしい。なので、まさに今が旬です(笑)。

今比較の上で聴いているコテンラジオでは、桓武平氏と清和源氏というところにまで遡り、もっと長いスパンで論じられている。で、いよいよ壇ノ浦の戦いにまで言及されるようになってきて、そこに承久の乱につながっていく、後鳥羽上皇のコンプレックス、権力への執着の源泉があることに気付かされる。本書はこの後鳥羽上皇によりスポットを当て、乱に至るまでの京都の様子、鎌倉の様子、朝廷と幕府の関係、戦闘の過程、そして戦後処理と解説が行われていく。

ものすごくザクッと整理すると、後鳥羽上皇はなまじなんでもできるが故に、なんでも自分でやらないと気が済まないタイプ。で、上皇が北条義時打倒を目的に戦いを挑む時点で、鎌倉幕府方は北条政子や義時、泰時、三浦義村、大江広元等の主要プレイヤーが円熟期を迎えていて、各々のが自身の持ち場で最高のパフォーマンスを発揮して、かつ連係プレーもできた時期だった、ということになるのだろうか。実朝将軍時代が続いていれば、朝幕関係は友好的に続いていただろうが、それが断ち切られたことがきっかけとなって、対立に発展していってしまったということかと思われる。

1冊読んだだけでは、類書と比較しての著者のオリジナリティはよくわからない。本書の著者も、他の研究者の説に言及して、それとの比較で自分はこういう説を取りたいといった記述の仕方はしていない。だから、1冊読むだけなら通史として理解することを期待しての読み方ということになる。僕は歴史学者じゃないので、その程度のザクッとした理解の仕方でもいいと思っている。

むしろ、歴史学者としての矜持と葛藤があった中で、こうした、素人にもある程度は理解できるまとめ方で、通史を開設して下さったことを感謝したい。こういう本を読んだ直後だから余計に感じるのだが、大河ドラマ見たいな…。

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