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次回の出場はどうなる? [ブータン]


今年も辛うじてブータンチームはFIRST主催のグローバルチャレンジに出場することが叶った。

10月13日から17日まで、スイスのジュネーブで開催された国際コンテストに、18歳以下のティンプーの生徒3人が出場。180ヵ国から参加したチーム中、60位内に入ったとBBSでは報じられている。

このイベントには、メンターが2人同行した。1人はBBSのインタビューも受けているペマ・ヤンゾムで、バベサ初等学校の臨時教員である。元ファブラボ・マンダラのスタッフで、今年米国MITとファブ・ファンデーションが主催した6カ月のものづくり集中コース「ファブアカデミー」の卒業生でもある。

そしてもう1人、髭面で集合写真に写っている若者は、我がCSTのIT学科の4年生R君である。

CSTの学生で、しかも彼のことは1年以上前からよく知っているので、彼を通じてFIRSTグローバルチャレンジのことは聞いた。冒頭「辛うじて」と付けたのは、8月も下旬になって、彼が今回のブータンチームのメンターを務めているという話を彼から突然聞かされ、「渡航費用捻出のあてがないので援助して欲しい」と懇願されたからだ。

たまたまJICAの所長さんを含め、ブータン事務所の方が数名プンツォリンに来らたタイミングだったので、御一行にも彼の説明を聞いてもらった。でも、その時の僕の結論は、「今年はCSTの学生が絡んでいるだけになんとかしてあげたいけれど、来年以降は誰がブータンチームの編成に責任を持つのかが不明」で、来年以降の方針が明確に示されないなら、今年の渡航の支援をJICAに急にお願いするのは難しいのではないかということになった。

元々、FIRSTグローバルチャレンジへの参加は、2018年8月にファブラボ・ブータン(当時)が始めたものだ。メキシコシティーで開催されたその大会で、ブータンチームはいきなり準々決勝まで進み、最終的に16位内に残った。これは当時メディアでも大きく報じられた。その後も、FIRSTグローバルチャレンジとの連絡窓口はファブラボ・ブータンが務め、生徒の選考から事前のハンズオン研修まで、彼らが担ってきた。

そのファブラボ・ブータンは、昨年、ブータン政府の命令により「ファブラボ・マンダラ」に名称を変更し、今年8月には、DeSuung Skilling Programme(DSP)に経営譲渡されたと聞く。この経営譲渡はメディアでも報じられていないし、僕もティンプーを離れていたので、第三者からの又聞きでしかない。ただ、かつてバベサにあったファブラボ・マンダラの施設は機械がタバのDSP事務所に移転されたために空になり、今年のFIRSTグローバルチャレンジ参加チームは、その空洞となったファブラボ・マンダラの跡地で、細々と練習を積んできたらしい。それで60位内というのだから、よくやった部類だろう。

ちなみに、DSPの新体制は不明だ。ウェブサイトも立ち上がっていないし、活動もわからない。ただ、これだけは言えそうだ。この施設は、DSPの技能訓練用には頻繁に利用されるだろうが、外部の一般利用者が気安く訪れることができる場所ではなくなるだろう。

その影響が、FIRSTグローバルチャレンジに向けた準備にも垣間見える。空洞のスペースで準備を強いられたこと、メンターたちがDSPの新ファブラボを利用させてもらえていないこと、そして彼らがチームの渡航のための資金集めに頭を悩ませなければならなくなったこと。

つまり、機械はDSPに譲渡されたものの、FIRSTグローバルチャレンジのブータン側窓口機能はDSPに引き継がれていないということだ。実際問題として、ファブラボ・マンダラは今年のチームの人選をやってしまっていたので、今年の派遣についてなんとかせねばというのが喫緊の課題だった。

しかし、来年以降はどうするのだろうか。FIRST本部からすると、ブータンの窓口はファブラボ・マンダラだった。でも、来年の参加募集をやろうとすると、ファブラボ・マンダラはもう存在しない。DSPは窓口にはならない。ではどこなのか? これは、経営譲渡を決めた際に、ファブラボ・マンダラの経営陣が、しっかり責任持って決めていなければならない問題だった。王立STEM教育協会(RSSTEM)なのか、教育省STEM教育課なのか、それともスーパーファブラボなのか…。そこの整理をしないと、180ヵ国もエントリーがある国際的なイベントで、ブータンは大きな名声リスクを負う。

そこの整理をちゃんとやれ。やった上であれば、今年のチーム渡航の支援は、考えてもいい―――そういうメッセージをR君には伝えたつもりだった。

その後もソーシャルメディア上でのブータンチームの準備状況は時々ペマが上げていたので、チームを出発させるための資金確保は進んでいたのだと思っている。僕のプロジェクトやJICAが出せなくても、どこかの財布からお金を引っ張り出してくることに成功したのだろう。クラウドファンディングとか、いくつかの可能性を僕からも提案はしたが、現時点で彼らがどこから費用を捻出したのかは定かではない。

ちなみに、必要資金は、FIRSTグローバルチャレンジ参加料USD10,000と渡航のための航空賃である。

取りあえずは目の前の懸案は彼らは乗り切った。その上で、来年以降はどうするのかは、この報道だけではわからない。あとでR君に訊いてみようと思う。

それに、ファブラボ・マンダラによるチームメンバー選考やその後の訓練の利便性もあって候補者がティンプーの初等中等学校だけを対象として行われてきたが、今やファブ施設も他にもできてきたわけで、それならプンツォリンの生徒にも参加のチャンスをあげてくれよとも思う。

それともう1つ。R君、相当な数の授業を欠席しちゃっているわけで、ちゃんと卒業できるよう、勉強も頑張らないといけない。

タグ:First STEM教育
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