『メキシコ料理大全』 [読書日記]
メキシコ料理大全: 家庭料理、伝統料理の調理技術から食材、食文化まで。本場のレシピ100
- 作者: 森山 光司
- 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
- 発売日: 2015/07/10
- メディア: ペーパーバック
2010年にユネスコ世界無形文化遺産に指定されたメキシコ料理を、作り方や食材まで、またその背景となる歴史や食文化についても詳しく紹介する本格本。【N市立図書館】
メキシコで広く愛される一般的な定番料理を、家庭料理から季節の特別料理、地方に伝わる伝統料理まで網羅しながら厳選し、日本で再現可能な100の特別レシピを掲載。監修は、東京・麻布のメキシコ料理レストラン「サルシータ」のオーナーシェフ。メキシコ直輸入の食材を使い、限りなく本場の味を再現し、日本に滞在するメキシコ人からも絶大な支持を集めながらも、メキシコ料理を初めて味わう日本人でも美味しく食べられる独自の絶賛レシピを考案。その調理技術やポイントも惜しみなく紹介する。 また、メキシコ人の普段の食生活から、メキシコの食にまつわる行事や祭り、活気あふれる市場や屋台など現地の食習慣、地方の食の特色などを鮮やかで美しい写真と共に紹介し、その背景となるメキシコの食文化や歴史も網羅。プロの料理人の方にも貴重な資料となる、現地の食材から飲み物、調理器具、食器の一覧など便利な図鑑付き。
順番が前後したが、先週読了していた本。メキシコ滞在中、特にチアパス州のジャングル滞在中は、地元の食材を使ったレシピを相当堪能したが、何がなんだかあまりちゃんと記憶できておらず、いったい自分は何を食べたのかをちゃんと把握しておこうと思い、図鑑を借りてざっと目を通してみようと考えた。
本書を読んだからといって、自分が食べた料理の名称がちゃんと把握できたわけではないが、一緒にチアパスに行った仲間が「ワカモーレ」(本書では正式名「グアカモレ」)がやっぱり僕の苦手なアボカドの入ったディップであったこととか、本書を読んで確認できた。また、プエブラではビールも飲んだが、本書はビールの銘柄とボトルの写真のリストも掲載されていて、僕がCorona、Tecate、XX以外で飲んだビールの銘柄の確認とかも本書でできる。
チリ(唐辛子)も相当な種類があるようだ。「辛いから気を付けろ」と現地の人に言われて、実際、一緒に行った仲間は皆「辛い」と叫んでいたけれど、唐辛子に関しては南アジア駐在でかなりの免疫ができているため、僕はあまり辛いと感じた料理はなかった。
トウモロコシをすりつぶして作った生地「マサ」を円盤状に伸ばして役と「トルティーヤ」、トルティーヤを揚げれば「トスターダス」、具を乗せれば「タコス」、サルサで煮ると「エンチラーダス」、蒸せば「タマ―レス」、縁を盛り上げて分厚く焼けば「ソペス」、具を入れて二つ折りにして焼く、揚げるなどすれば「ケサディーヤス」と呼ぶのだという。このルール覚えておけば、レストランでスペイン語のメニューを見てもそれが何か想像できるので助かる。
『日本でいちばん大切にしたい会社』 [読書日記]
内容紹介【市立図書館】
あなたの理想の会社はどのような会社ですか。会社は物が作るのではなく人がつくるもの。あなたがつくる理想の会社づくりの参考になればと思います。
週末を長岡で過ごす時、最近必須となっているのは図書館通いである。僕の長岡単身赴任生活の拠点となっているアパートは市立図書館から比較的近い場所にある。それがアパートを決める要因となったわけではないが(多少遠くても図書館通いはしていたと思うし)、アパートの近くに図書館があると知り、ラッキーだと思った。
メキシコから戻って来て、メキシコ渡航の準備のために読みたい本を決め打ち予約して借りることは少なくなり、今はその都度館内の蔵書を物色して、ピンときた本を無作為に借りるようにしている。
先週、そんな感じで館内を歩き回っていて、ちょっと疲れて館内のチェアに腰かけ休憩していた時、何気なくビジネス書の棚を眺めていて、このシリーズの背表紙が目に飛び込んできた。そういえば、2017年11月にブータンの首都ティンプーで開かれたGNH国際会議の初日、唯一オープニングシンポジウムに登壇した日本人のN氏が、やっつけ仕事のようなプレゼンをされたが、その時に彼女が引用したのがこのシリーズの第1巻と、そこで取り上げられていた伊那食品工業のお話だった。
それを見た僕は、それ以前に行った一時帰国期間中にたまたま見た日本テレビ『世界一受けたい授業』で紹介されていた日本理化学工業のお話を思い出し、番組でこの企業を紹介していた小松成美さんの著書『虹色のチョーク』を読み、ブログでもご紹介した。日本理化学工業も本書の著書・坂本光司氏がシリーズ第1巻で取り上げた5つの企業の中の1つであることも知っていた。
GNH国際会議の初日オープニングセッションで、N氏が本書の中から伊那食品工業を「GNH企業」の具体例として取り上げ、紹介したプレゼンを会場で見て、これでもいいのなら僕も日本理化学工業を「GNHファクトリー」として紹介するのもありかもと思い立ち、『虹色のチョーク』を参考にして、ブータンの全国紙クエンセルに投稿した。
『ワン・モア・ヌーク』 [読書日記]
内容紹介【N市立図書館】
「核の穴は、あなた方をもう一度、特別な存在にしてくれる」。原爆テロを予告する一本の動画が日本を大混乱に陥れた。爆発は3月11日午前零時。福島第一原発事故への繋がりを示唆するメッセージの、その真意を政府は見抜けない。だが科学者と刑事の執念は、互いを欺きながら“正義の瞬間”に向けて疾走するテロリスト二人の歪んだ理想を捉えていた――。戒厳令の東京、110時間のサスペンス。
今年のお盆休み用読書のうち、小説として取り上げた1冊。メキシコから返って来てすぐにお盆休み入りしたが、4日間で1,200㎞も走破する自動車移動をしたので疲れ果てて読書の時間を確保することがなかなかできず、台風7号関東地方接近で身動きがとれずに自宅待機していた7日(金)と翌8日(土)の早朝、家族が起き出す前の時間帯を利用して一気に読み切るのが精一杯だった。
話の展開のテンポが非常に良くて、一気に読み切るには格好のストーリーだった。巻末に文芸評論家による解説が付いており、そこまでのブックレビューなどすることはとても難しいが、一読するとすぐに光景がイメージしにくいことが多い藤井太洋のSF小説の中では、かなり場面のイメージがしやすく、読みやすい作品だと思う。
そして、ここでも3Dプリンタ―が頻繁に登場する。自分で3Dプリンタ―を操作したことがあるから、そのあたりの場面のイメージはさらにしやすかったと思う。ただ、それだけであったとしても、テロリスト但馬樹の設計はにわかにはイメージがしにくかった。また3Dプリンタ―の宿命として、出力にかかる時間が長いというのがあり、構造が複雑なものほど時間はさらにかかる筈である。そう考えると、公安やCIAの追跡を逃れるために一刻も早くホームメイド原爆のダミーを準備せねばならない状況で、出力に時間がかかる3Dプリンターに依存するのは結構ムリがあるんじゃないかという気もした。
但し、僕のこのコメントは、核爆発のメカニズムや原爆の構造、大きさなどをあまり理解していない中での無責任な発言だと、適当に読み流してもらってもいい。イラストでも挿入されていたら良かったのだけれど…。
繰り返しになるが、お盆休みの娯楽用読書の1冊としては、かなり向いている作品だと評価したい。
『「新しい野の学問」の時代へ』 [仕事の小ネタ]
「新しい野の学問」の時代へ―知識生産と社会実践をつなぐために
- 作者: 菅 豊
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/05/29
- メディア: 単行本
内容紹介【N市立図書館】
いま、アカデミズムの狭いディシプリンに閉じ籠もることなく、多様な叡智と技能、経験を使う新しい学知が生まれつつある。それは研究者や専門家のみならず、公共部門や市民、NPOなどが協働し知識生産と社会実践をむすぶ「新しい野の学問」である。フィールドワーカーとして現実と向き合いながら、学知のあり方を問い直す。
7月初旬に当地を訪ねて来られた知人に勧められ、読んでみることにした。この知人は、小千谷で7月に開催された「牛追い」(闘牛)の七月場所を観戦しに来られた方で、本書を薦められた理由として、東大の民俗学者である著者が、東京からの通いで、外部者として中越地震被災以降の小千谷市東山地区の牛追いの復興に尽力するには、自身が牛追いの日常の輪の中に入り、当事者に近い目線で復興を考える必要があると考えられたからだと仰っていた。
「一度、小千谷の牛追いも観てみて」―――そう言われた僕は、メキシコから長岡に戻った翌日に「お盆場所」が開催されるのを知り、急遽車を走らせて小千谷闘牛場に向かった。2000円を払っていただいた取組表には、著者が所有する牛も載っていて、著者ご自身も地元の人に交じって勢子をやっておられた。
『にぎやかな天地』(上・下) [読書日記]
内容紹介【Kindle Unlimited】
【上巻】熟鮓、醤油、鰹節といった日本の伝統的な発酵食品を後世に残す豪華限定本を作ってほしい――。謎の老人松葉伊志郎から依頼を受けた船木聖司は、早速祖母の死とともに消えていた糠床を蘇らせる。その後、料理研究家の丸山澄男の協力で日本各地の職人を訪ねるうちに、微生物の精妙な営みに心惹かれていく。
【下巻】聖司が生まれる前に父親が亡くなり、仕事を再開した母親に代わって彼を育てた祖母が生前遺した「ヒコイチ」という言葉がきっかけで大前美佐緒という女性を知り、聖司は道ならぬ恋心を抱く。一方、父親の死にも思わぬ真相が……。発酵という営みに人の生死や結びつきを重ね合わせ、命の根源に迫る長編小説。
メキシコでの2週間の滞在の後、帰路米国ワシントンDCで2泊したのだけれど、DCから羽田までの長時間のフライトの時間つぶしのため、長めの長編小説でも読もうと考え、ちょうどKindle Unlimitedeで薦めていたので、宮本輝だったし久しぶりに宮本作品でも読んでみるかとダウンロードした。13時間のフライトで、途中何度も睡魔に襲われたので、機中では上巻を読み切るのが精一杯だった。下巻は羽田から長岡に戻る列車の車内、及び時差ボケで早朝目が覚めてしまった朝の3時間ほどで一気に読み切った。
全体的に発酵や醸造という、手のかかる、時間もかかるプロセスを丁寧に描いている箇所が多かったし、登場人物の間の関係がまだまだ希薄で、一度登場した人がその後なかなか出て来なかったりもしたので、間延び感もあった。下巻になるとそのバラバラだったピースが徐々につながっていき、テンポも良くなっていくので、集中して読みやすくなった。
『神山進化論』 [仕事の小ネタ]
内容紹介【N市立図書館】
徳島県神山町。人口5300人、多彩な移住者が集まる地方再生の先進地。町は今、基幹産業の活性化、移住者と地元住民の融合、行政と民間企業の連携、担い手の世代交代などの課題解決のため、農業、林業、建設業、教育の未来をつくるプロジェクトに取り組む。100人以上のプレイヤーたちに取材した現在進行形のドキュメント。
昨日帰国しました。結局、7月25日に日本を発った後、経由地ホノルルで1本記事をアップして以降は、ネットにつながりにくい環境にいることが多かったのと、夜も結局遅くまで行事があったりしたので、さらに読書をすることも、記事をアップすることもできずに2週間以上を過ごしてしまいました。
養蜂だの、地域おこしだの、現地入りする前にはいろいろ文献を読んで自分なりの作業の仮説を立てて行ったのですが、結局のところ、仮説は当たっていたとしても、それでその通りの作業が現地でできたかというと、正直できませんでした。一緒に参加したメンバーのスキルとのバランスや、受け入れる側のコミュニティの初期条件、それに自分のコミュニケーション能力や体力的な限界なども相まって、あらかじめ想定していた作業とは全く異なる作業に時間を取られました。
だから、現地入りする前に読んでいた文献や、アイデア出しのために訪問したいくつかの博物館、アートフェスなども、役には立ちませんでした。5日間という短期間で成果を出すのではなく、1カ月とか1年とか、あるいはもっと長期間の関与が可能ならば、もっと違うソリューションを検討できた可能性はあります。今回メキシコで参加した「ファブシティ・チャレンジ」というイベントは、「関係人口」づくりのグローバル版だと思っているので、単発で終わらず、今後もホストしたコミュニティとの関係性は継続していくよう心がけている必要があると自覚はしています。
さて、一見無駄だったようにも思える事前の情報収集でしたが、それでも、長い間疎かにしていた日本の地域おこしの取組みの経緯を知る意味では、有用だったなと思うところはあります。例えば、本書で取り上げられた徳島県神山町のケースなどは、自分が日本の地域おこしに興味を持った15年以上前からすでに耳にしていた事例でしたが、ケーススタディとして読んだのは今回が初めてです。