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『シャーロック・ホームズの冒険』 [読書日記]

内容(「BOOK」データベースより)
ミステリ史上最大にして最高の名探偵シャーロック・ホームズの推理と活躍を、ワトスンが綴るシリーズ第1短編集。ホームズの緻密な計画がひとりの女性によって破られる「ボヘミアの醜聞」、赤毛の男を求める奇妙な団体の意図が鮮やかに解明される「赤毛組合」、閉ざされた部屋での怪死事件に秘められたおそるべき真相「まだらの紐」など、いずれも忘れ難き12の名品を収録する。
【Kindle Unlimited】
仕事の大きなヤマ場が終わったので、先週末は読書に少し時間を充てた。前回ご紹介した『月3万円ビジネス』もそうだが、とにかく今月初旬には読みはじめていた本が、気付けば月末も近くなっているのに読了できていないという状態。さすがにこの状態で月を跨ぎたくはなかったので、読みかけの本はとにかく読んでしまうことにしたのだった。

本作品に収録されているのは次の作品———。

「ボヘミアの醜聞」「赤毛組合」「花婿の正体」「ボスコム谷の惨劇」「五つのオレンジの種」「くちびるのねじれた男」「青い柘榴石」「まだらの紐」「技師の親指」「独身の貴族」「緑柱石の宝冠」「ぶなの木屋敷の怪」

有名なのは「ボヘミアの醜聞」「赤毛組合」「まだらの紐」「技師の親指」「ぶなの木屋敷の怪」あたりかな。最後のは「ぶな屋敷の謎」という作品名で僕は覚えていたけれど。

多くの作品は結末を知っているケースが多いので、オチが楽しみで読んでいるというより、当時のロンドンやその郊外の様子などを味わうのに読んでいる感じがする。たぶん子どもの頃に挿し絵入りの児童書でホームズものを読んでたからかもしれないが、ホームズやワトソン、また登場する人々(例えば「ぶな屋敷~」のヴァイオレット・ハンター嬢)の容姿なんてのは、ある程度連想できる。でも、挿し絵で田園風景や当時のロンドンの街路の様子が描かれているケースは意外と記憶にない。

でも、なぜだろうか、今回のホームズものの再読で、いちばん意外だと思っている点は、風景描写にかなり目が行くようになったことだと思う。例えば、普段なら何気なく読み過ごしていたであろう、依頼者が地下鉄に乗ってベーカー街にまで辿り着いた話も、気付けばほう、1880年代のロンドンにはすでに地下鉄が走っていたんだとか、ちょっと驚きの発見があったりもした。

また、僕は米国南部に留学していたことがあるから、KKK(ク・クラックス・クラン)のことは当然知っているが、本作品を読むと、当時すでにKKKの暗躍が米国南部はおろか、英国にまで及んでいたというエピソードも出てきて、これも驚きだった。こういう作品を読んで、当時の英国の様子を改めて振り返って見るのも面白いなと思った次第。

前にご紹介した長編2作品をブログで紹介した際にも書いた気がするが、この深町真理子さんの翻訳ってすごくしっくりきて読みやすいと思う。また、英国の貴婦人が本当に使っていそうな雰囲気のある言葉遣いを日本語でも見事に表現していて、好感が持てる。

巻末の解説を読むと、収録短編には他作品との関係性で記述の整合性が取れないケースもあるようである。そういうツッコミどころはたくさんあって、それがホームズもののファンの読み方を深める一因にもなっていると思う。次に読む時には、巻末解説を先に読んでみるのも一興かもね。

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