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『「女子」に選ばれる地方』 [仕事の小ネタ]

「女子」に選ばれる地方 十六総合研究所 提言書 2022

「女子」に選ばれる地方 十六総合研究所 提言書 2022

  • 出版社/メーカー: 岐阜新聞社
  • 発売日: 2022/04/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
「若い女性が地方からいなくなる! 」。大都市への人口集中が進む中、各メディアは昨今しきりに警鐘を鳴らしている。 確かに能力のあるキャリアウーマンの「脱地方」の傾向は、近年さらに加速していて、地方の衰退に拍車をかけるものと大いに憂慮されている。 本書は「地方」のひとつ、岐阜県の現状分析や、女性が活躍している地元企業の実態調査などを元に、そのような「ピンチ」を「チャンス」に変える処方箋を提示。 地方に根強い、「ジェンダーギャップ」の解消に真っ先に取り組むべしと結論づけている。
【購入(キンドル)】
この本は帰国して里帰りしたら岐阜のどこかの書店で1冊購入しようと思っていたものだが、つい最近、電子書籍版が新たに追加されたのに気付き、それなら先に読もうと思って購入した。元々A4サイズなんだろうと思うが、それをキンドルの大きさに縮小し、さらに元々の文字が一部カラーになっていると、薄い文字はキンドルではとても読みにくい。何か特別な事情がある場合を除けば、製本版で読んだ方がはるかに読みやすいと思う。

僕も、結局早く読みたくて電子書籍版に手を出したけれど、収録されている論文に図表がかなり多く含まれているため、キンドルでは小さすぎて文字が識別できず、結局は製本版をいずれは買うと思う。昔お世話になった銀行さんだし、そもそも巻頭言を書いておられる十六総研の社長(当時)は、僕の職場の先輩でもあった。ちなみに新たに社長になられた方も、僕の職場の先輩である。巻頭言に先輩の写真でも挿入されていたら、30年ぶりぐらいにご尊顔を拝するいい機会になったと思うが、それがなかったのはちょっと残念。

でも、いい提言書だな。ジェンダー問題を大都市と地方との比較で論じている視点は新鮮だったし、故郷の岐阜県のことも知ることができた。

2020年3月のことだが、僕も飛騨古川に泊りがけででかけたことがあり、本書でも紹介されている渡辺酒造にも立ち寄って、「蓬莱」を買って帰った。その時の印象であるが、宿泊させてもらった古民家改装による宿泊施設も、周辺のお店も、どこも応対して下さったのは女性ばかりで、しかも魅力的な方が多かった。オジサンがこう言うと誤解を招きかねないが、人口が少ない割には活気が感じられて、また行ってみたいと思わせる街だった。

飛騨地方がそういうところが多いからなのだろうか、それとも本書の編集責任を一手に担っておられたとも思われる田代さんという研究員が飛騨地方に駐在しておられたからなのか、扱われている企業の事例も飛騨地方のものが多い。しかも、どの企業も従業員の平均年齢が若そうだ。

では、美濃地方、とりわけ僕の故郷である西濃地方はどうなのかなという気はしてしまう。ひと言も言及がないということは、飛騨地方に比べて女子に選んでもらいにくい地方なのだろうか。西濃地方でも山間地に行くと若い女性が定住しているケースはあるようには聞くのだけれど、平均的にはどうなのかなというのは僕もちょっと思うし、同じ県内でも、飛騨地方を見習おうというところも暗にメッセージとしてはあるのかもしれない。

本書は、インタビュー5件と、十六総研の研究員による論文4編で構成されているが、研究員も田代さんを除けば皆女性で、全体的に女性のウェートが高い構成になっている。十六総研もそういう職場なのかなと、ちょっと興味がある。

僕もこの地元の金融機関を辞めてしまってから来年1月で30年を迎える。転職した際には銀行とはまったく違う仕事の内容で、接点がなかなかないような気がしていたが、時代は代わって誰もが「地方創生」に対する関与や貢献が求められるようになると、仕事がまたクロスするような可能性も出てきたのかもしれない。帰国したら多くの時間を岐阜で過ごすことになるのだろうし。

最後に、再生産可能年齢の女性の人口が少ないと、近い将来にコミュニティが存亡の危機に瀕するという話は、以前ブータンで駐在していた時にも耳にした。2017年当時のお話だが、JICAの専門家が世帯別の家族構成をヒアリングして、チオッグレベルでの人口ピラミッドを作ったそうだが、それによると20代、30代の女性がほとんど村におらず、いずれ子供が村にいなくなり、コミュニティが衰退すると指摘をされていたと記憶している。

"Community sustainability at high risk: JICA survey"
Kuensel、2017年10月28日

https://kuenselonline.com/community-sustainability-at-high-risk-jica-survey/

本書を読んで、久しぶりのこのクエンセルへの寄稿のことを思い出した。

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