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『吉田松陰』 [読書日記]

吉田松陰 異端のリーダー 角川oneテーマ21

吉田松陰 異端のリーダー 角川oneテーマ21

  • 作者: 津本 陽
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2014/12/08
  • メディア: Kindle版
内容紹介
吉田松陰は、維新史において果たしてどのように位置づけられるべきなのか、また現代においてはどうなのか――。異端のリーダー、松陰の生涯をていねいに検証し、独自の視点で「新たな人物像」を浮かび上がらせる。
【Kindle Unlimited】
4月9-10日の週末は、自分の本来業務ではないので週末を使わないとできない作業を少ししていて、何度か今までにも読んだ文献を読み直したりして時間を費やしていたのだけれど、それらをもとにしてまとめなければいけない文章を意外と早く仕上げることができたため、空いた時間は週末読書に費やすことができた。読んだのは吉田松陰モノ。Kindle Unlimitedを利用した。

なんで今さら吉田松陰なのかといえば、先日『歴史思考』でさんざん持ち上げたCOTEN RADIOの影響である。COTEN RADIOは第1回放送から遡ってポッドキャストで聴いているが、その記念すべき第1回で吉田松陰を取り上げていて、これが僕がCOTEN RADIOにドはまりするきっかけを作ったからだ。


ポッドキャストだけじゃなく、YouTubeにもアップされているので、興味がある方は是非聴いてみて欲しい。毎回この番組制作の準備段階で、株式会社コテンの深井さんやヤンヤンさんのチームは、相当な数の参考文献を読み込み、その上で数時間にも及ぶ番組収録に臨んでいる。番組を聴いて、面白いと思ったら参考文献も読んでみてくださいという意図が当然あるんだろうと思う。

吉田松陰回でも、本日ご紹介の本は参考文献としては取り上げられていない。著者が歴史小説家だからというのもあるんだろうし、表紙イメージからも想像される通り、この本はNHK大河ドラマに合わせて世に出てきた便乗商法の一種でもあった。著者が研究者ではないので、参考文献になり得ないという点はまあやむを得ない。それでも、僕のようにこんなきっかけでもないと吉田松陰という人をもうちょっと知ってみようと考えたにすぎない奴には、ちょうどいい分量の本であった。

著者も述べているが、吉田松陰という人物は、過大評価してはダメだという。COTEN RADIOの記念すべき第1回放送で、「ヤバ偉人(ヤバい偉人)」の筆頭として取り上げられているぐらいだから、その言動がぶっ飛んでいる。COTEN RADIOで紹介されたエピソード順に並べて、どこがヤバいのかを挙げてみた。

第1に、その暴走っぷり。自分は自分が正しいと思うことをすぐに行動に移そうとするので、ペリーの黒船に密航しようとするは、友人と待ち合わせるために脱藩するは、幕府要人の暗殺計画を実行しようとするは、とんでもない。番組ではそのヤバさばかりがクローズアップされるが、自分で現場を見て歩くというのをあまりやれる立場に身を置いていない時期が長いので、テロ計画自体が現実離れしていて、塾生が期待されるような動きをしないことも多かったらしい。本人はそれが「できる」と思っていた節があるらしいが、現実認識が不十分な子どものような側面も持った人物だったようだ。

第2に、その人を感化する力。二度投獄されているが、そこで囚人のみならず看守すら感化して、「孟子」の勉強会をはじめたりしたらしい。また松下村塾での指導の仕方も、先生が生徒に教えるという講義形式ではなく、問いを投げかけて塾生に考えさせる方式を取ったらしい。COTEN RADIOではこれを、「今流行のアクティブラーニングを初めに始めたのは吉田松陰」だと紹介している。

このアクティブラーニングとの関連でもう1つ。番組では松陰が陽明学を勉強していたことは紹介しているが、陽明学を説明するのによく使われる「知行合一」知っているだけで実行しないのはまだ本当の知とはいえない、とし、実践のうえで知と行とが一致することを要請する実践重視・体験重視の考え方)を、僕自身も思い出すきっかけとなった。

さらに、これを松陰の言葉にして、「草莽崛起」(そうもうくっき)っていうのも。「国や政府に頼るのではなく、国民一人一人がマジで命かけないとダメ」と番組では言われていた。志を持った在野の人々が一斉に立ち上がり、大きな物事を成し遂げようという、民衆主体の改革を訴えた松陰の思想をひと言で述べた言葉だったらしい。

これからも、ウォーキングをやりながらCOTEN RADIOを聴き、歩いていて閃いたアイデアはすぐに実行する―――そんな生き方をしばらく実践してゆきたい。
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