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『鬼神の如く:黒田叛臣伝』 [読書日記]

鬼神の如く: 黒田叛臣伝

鬼神の如く: 黒田叛臣伝

  • 作者: 葉室 麟
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/08/21
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
虎視眈々と大名家の取り潰しを狙う幕府の、次なる標的は我が藩だ―黒田家家老・栗山大膳はそう悟りながら、主君・忠之に謀反の疑いがあると幕府に告発した。訴えは藩を、将軍・家光を動かし、大膳の元には様々な思惑を秘めた刺客たちが攻め寄せる。それでも自らを忠臣と称して不敵に振る舞う大膳の真意とは? 天下の逆臣・栗山大膳が仕掛ける前代未聞、一世一代の大戦! “黒田騒動”を舞台に、まことの忠義を描く著者会心の歴史長篇。

葉室麟さんの長編を読むのは初めてで、たまたま主題が黒田官兵衛の側近中の側近である栗山善助の嫡男・栗山大膳が主人公の話だったので、官兵衛亡き後の黒田藩について、少しぐらいは知っておこうかと思い、読んでみることにした。テーマが黒田藩でなかったら、まず読まなかったであろう作品だ。

これが予想外に面白くて、葉室麟さんのファンになってしまいそうだ。

栗山大膳が起こした「黒田騒動」というのは、知る人ぞ知るの話だと思う。徳川幕府の将軍が三代・家光になった頃といったら、外様はおろか、譜代の大名であってもお家取り潰しの憂き目を見ることが続いていた。福島正則の安芸広島藩改易は二代将軍・秀忠の頃のことだが、家光の時代になると、加藤清正が開いた熊本藩は三男・忠明の代で改易に遭っている。加藤家の取り潰しで、残る豊臣恩顧の九州の大名といえば、黒田家が残るのみとなり、家光は黒田家の取り潰しを画策していたらしい。

そんな時代を背景にしたこの作品も、主題は幕府の陰謀を防ごうとする栗山大膳の活躍を描いたものだ。ただ、これにかなり豪華なキャストを絡ませる。豊前小倉藩主・細川忠利、宮本武蔵、栗山家恩顧の杖術者・夢想権之助、家光に代わって陰謀をめぐらす筆頭老中・土井利勝、柳生但馬守、柳生十兵衛、それに天草四郎。これで面白くならないわけがない。

本当にこんな絡み方があったのかどうかはよくわからないが、作品中で最も強い剣術使いは武藏ではなく柳生十兵衛であるように思える。夢想権之助は武藏を破っているが、十兵衛に対しては弟子2人を動員して辛うじて引き分けるぐらいのギリギリの勝負を演じている。

これ、NHKのBSで2時間ドラマぐらいにしたら相当面白そうだ。

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