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『Common Wealth』(その4) [持続可能な開発]

昨年9月頃にこの本を紹介する連載シリーズをやろうと試みたのだが、第3弾まで書いたところで頓挫し、今日に至っています。理由は第4弾を書きかけのまま放置していたためですが、半年も経つともう一度本を読み直してみないと書けません。

その一方、元々第5弾として書こうと考えていたのは、「持続可能な開発の実現に向けて、私たち自身何をすべきなのか」についての著者の見解で、数ページの中にで8項目を列挙されていて引用がしやすいようです。

そこで、順序を入れ替えて、今回は我々一人ひとりにできることについて、第4弾として先取りして書こうと思います。

地球全体を幸福にする経済学―過密化する世界とグローバル・ゴール

地球全体を幸福にする経済学―過密化する世界とグローバル・ゴール

  • 作者: ジェフリー・サックス
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2009/07/24
  • メディア: 単行本

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その1.現在の課題について知ること。持続可能な開発の基礎となる科学にくわしくなろう。
著者は、学生なら環境、開発経済学、気候変動、公衆衛生、その他関連領域の授業を受けようと提唱する。また、学生でなくても科学の発展についていけるよう努力すべきだという。『ネイチャー』や『サイエンス』など、一流の科学雑誌が現代の必読書だという。(この点では英語で書かれた雑誌ばかりの列挙は僕らにはハンデになるが。)

その2.なるべく旅をすること。街を歩きまわること、国内を見てまわること、海外に出かけること。
異なる土地や文化にじかに触れることは、共通の関心や願望をわかりあい、その土地特有の問題を理解するのに最良の手段だと著者は言う。特に若い人にとっては、未知の異文化に接し、ひどい貧富の差を知ること、地球の汚染、水ストレスに苦しむ地域、気候変動の脅威等を自分の目で見ることは貴重な経験だという。

その3.持続可能な開発を推し進める団体を作るか、または参加する。
これは言わずもがな。日本でも多くの若い人たちが、既存の開発協力の枠組みにとらわれない、新たな方法論でこの課題に取り組みはじめている。

その4.地球規模の持続可能な開発に向けての活動に、自分の住む地域も加わるよう働きかけ、周囲の人々にも参加を促すこと。
この箇所も具体的事例とともにさらっと書かれているけれど、「持続可能な開発」という問題意識を多くの人が持ち、行動するには、先に問題意識を抱いた人がその住む地域の他の人々にどのように働きかけ、問題意識の共有と共感を図っていくかが1つの鍵だと考えられている。

その5.ソーシャル・ネットワーキング・サイトを介して、持続可能な開発を促すこと。
これも上記4の延長線上で、単に自分が住む地域というにとどまらず、SNS上で各々が持つコミュニティにおいて、「持続可能な開発」の問題意識の共有と共感の輪を拡げていって欲しいということだろう。友人、学校、職場、ブログと言った個人的なネットワークを結びつけて、別々に存在していたコミュニティに共通の目的の下で集うよう働きかけてみてはどうかと著者は提唱する。

その6.政治に参加しよう。
国が採択したミレニアム・プロミスを尊重するよう地元の政治家に要求する。今なら持続可能な開発目標(SDGs)や気候変動枠組み条約COP21で採択された「パリ宣言」を日本がどう履行するのか、この点に重大な関心を地元住民の多くが有すると政治家が理解すれば、政治家はそれに従わざるを得ない。選挙中なら、手紙を書く、事務所を訪れる、公聴会で発言するなどにより、政治家に圧力をかけるべきだと著者は言う。

その7.職場を巻き込もう。
どんな企業でも地球規模の持続可能な開発にひと役買うことができる。個々の企業は企業としての社会的責任の基本を遵守すべきだが、ここでの著者の論点はそれにとどまらず、各々の企業が持つ特殊な技術、組織化されたシステム、従業員の能力、企業としての名声等を持続可能な開発に役立てることができるとも述べている。企業の社会責任は慈善ではなく、まっとうなビジネスをすることだと主張する。

その8.自分自身がミレニアム・プロミスの基準に沿って生活すること。
国境や文化の違いや階級差を越えてわかりあえる共通点を見出し、我々の世代に共通する関心事をお互いに理解し合うことが大事だと著者は言う。時間と金とエネルギーを費やして、各自の社会的なネットワークを充実させること、友人や同僚たちの先頭に立って行動すること、一消費者として恥ずかしくない行動をとり、地球にとって持続可能な製品や技術を選ぶこと、市民としての誇りを持ち、政治家に向かって「持続可能な開発目標は私たち一人ひとりの約束だ」と明言し、選挙で選ばれた政治家はそれを守る義務があるのだと伝えること、これらを我々一人ひとりが実行していくことが必要だという。

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以前も書いた通り、SDGsはゴールだけでも17、その下の具体的な取組み目標を定めたターゲットのレベルでは169もの項目がある。こうなってしまうと誰かがSDGs達成に取り組めば済むという話ではなく、我々一人ひとりがこの中から自分が取り組める項目を見つけ出し、各自が取り組んでいくことがより強く求められる。

僕がこのブログで「SDGs」を連呼するようになったのも、そうした著者の主張に共感して、少しぐらいは自分のできることをやろうと思ったからだ。読者数のそれほどないこのブログで、それをやったからといって大きなインパクトがあるとは思わないが、こういう場で「SDGs」を連呼することが、実生活での具体的な行動にもつながっていくものであるという点では、個人レベルの行動であっても意味がないわけではないと思っている。

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