SSブログ

寸評:今週読んだ本(2013年7月後半) [読書日記]

個別に記事を書くほどではないが取りあえず読んだという本が何冊かあるので、備忘録としてまとめて紹介しておく。

xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

東京都謎解き散歩 武蔵野・多摩・島しょ編 (新人物往来社文庫)

東京都謎解き散歩 武蔵野・多摩・島しょ編 (新人物往来社文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新人物往来社
  • 発売日: 2012/10/05
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
多摩川ってどんな川?伊豆諸島はなぜ東京府に編入された?太宰治の墓が三鷹にある理由とは、ほか東京がおもしろくなる雑学満載。
以前紹介した「23区編」に続いて、「武蔵野・多磨・島嶼部編」というのも図書館で借りて読んでみた。まあテーマは広く浅くカバーするだけで深掘りしないから、読んでいてすごく面白いということはない。せめて、自分がかつて住んだ多摩地区や現在住んでいる武蔵野地区の情報が、多少なりとも仕入れられればいいかというぐらいのかる~い読み方で済ませた。

例えば今僕が住んでいる三鷹でいえば、三鷹出身の有名人ということで、雨宮良、ともさかりえ、ウエンツ瑛士、大野智(嵐)などが羅列されている。さすがに本田翼まではカバーされていないか…。あと、うちの長男が今年進学した高校が昭和15年開校した女子校を前身としていること、平成20年度から中学を併設して中高一貫制になったこと、テレビドラマ化された漫画『GTO』(藤沢とおる作)は武蔵野市吉祥寺の架空の学校が舞台だが、モデルになったのは長男の通う高校らしいこと、などが書かれている。

近所で有名なのは分倍河原か。武蔵国の中心だった府中の南方、多摩川河畔にあるが、鎌倉街道上で、上野(群馬)方面から南下してきた軍勢と鎌倉から北上してきた軍勢が度々衝突を起こした要衝だ。そのあたりの歴史上の出来事を少し詳しく描いている章は読んでいて面白かった。

xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

集団を活かす―グループ・ダイナミックスの実践

集団を活かす―グループ・ダイナミックスの実践

  • 作者: A.ザンダー
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
  • 発売日: 1996/09
  • メディア: 単行本
内容(「MARC」データベースより)
集団のダイナミックスに関する諸研究の結果の実践的な価値を検討。集団の重要な特性、集団行動の研究者がこのような特性の源泉と価値をいかに説明しているかを研究結果に基づいて記述。
この本は最近仕事上で興味があって調べているグループダイナミックスの参考文献ということで読んでみることにしたものだ。聞いたことがない出版社だが、どうも関西方面の大学に所属する研究者の研究成果を書籍化するのをお手伝いしている出版社のようだ。

仕事との関係があって、読むことは読んだけど、期待していたものと少し違っていた。この本は、言ってみればグループのリーダーとか成員とかが所属する集団の中でどう振る舞うべきかについての心得であったり、グループのファシリテーションの心得であったり、会議の技法の話であったりするものだ。従って実用性は高い1冊だと思うが、何せ僕の読書目的と違ったので、各章要約を拾い読みしてさっさと図書館に返却することにした。

xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

日本残酷物語〈1〉貧しき人々のむれ (平凡社ライブラリー)

日本残酷物語〈1〉貧しき人々のむれ (平凡社ライブラリー)

  • 作者: 宮本 常一
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 1995/04
  • メディア: 単行本
内容(「MARC」データベースより)
日常的な飢え、虐げられる女や老人、掠奪やもの乞いの生涯、山や海辺の窮民…。かつての日本のありふれた光景の記録を集めた「残酷」な物語。長く貧しさの底を生き継いできた人々の様々な肖像。再刊。
最後は敬愛する宮本常一も編纂に関わった『日本残酷物語』の第1巻である。僕が読んだのは再刊ではなく、昭和35年1月の第七刷の古い方で、市立図書館で借りた。僕が生まれる前に書かれた本だ。

元々この本を借りようと思った理由は、この週末に参加予定のセミナーの予習がしたかったからだ。テーマは中世日本におけるハンセン病患者とその家族というようなものである。扱われるのは鎌倉時代なので、その頃まで遡ってハンセン病患者の社会での受け入れられ方とか患者とその家族の生活とかが本書で書かれていないかと期待した。残念ながらそこまで遡っては言及されていなかったが、安土桃山時代以降については若干の言及がある。そして、昔の日本ではそこらじゅうにハンセン病発症者がいて、それが当たり前の風景になっていたであろうことや、そうした人々に対して救癩活動を行なっていたキリスト教宣教師たちが、徳川幕府の鎖国政策で事業を継続できなくなり、救癩事業はその後衰退の途を辿り、発症者がより悲惨な生活を強いられるようになったこと、江戸時代の300年にもわたる鎖国が、偏見や差別を助長するようになっていったこと等が本書から読みとれる。明治時代以降の差別や偏見の具体例が、沖縄などでの民俗学調査であぶり出されている。

昨年、NHK大河ドラマ『平清盛』で、町の人々や街路の映像が汚いとどこかの首長が苦言を呈して話題になったことがあるが、この本を少しでも読むと、当時の町の状況はあの映像よりももっと汚かったであろうことが想像される。僕らはテレビなどを通じて、汚いところを隠した映像だけを見せられ、或いは煌びやかだった貴族や武家の棟梁の屋敷の映像ばかりを見せられ、一般庶民もそんなきれいな環境で生活していると勝手に思いがちであるが、実際の市中はもっといろいろあった筈である。そうしたことをしっかり踏まえるために、『日本残酷物語』のシリーズは通読にも値する。

今回は部分的に拾い読みしただけで紹介したが、いずれ全部読み切った上で独立した記事としてこの本も紹介してみたいと考えている。


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0