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『組織論再入門』 [仕事の小ネタ]

組織論再入門―戦略実現に向けた人と組織のデザイン (ビジネス基礎シリーズ)

組織論再入門―戦略実現に向けた人と組織のデザイン (ビジネス基礎シリーズ)

  • 作者: 野田 稔
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2005/12
  • メディア: 単行本
内容紹介
マネジメント、リーダーシップ、やる気、意思決定、組織構造、組織デザイン、組織機能、企業間ネットワークなど、ミクロ組織とマクロ組織の両面からより良い組織デザインとは何かを考えた組織論入門の決定版。
勤めている会社では部下を持たない管理職待遇という僕なのに、なぜか組織論の本を読んでいる。

今の会社も勤めて20年になり、その間にそれなりの部下を持つ中間管理職を務めたこともある。そういう時にこうした本を読んでいたら、自分がやっていることにそれなりの箔をつけることができたかもしれないし、斬新な経営手法でチームの業績にプラスの貢献を与えることもできたかもしれない。会社に長年勤めていても、こういう本に書かれていることは、自分で意識して勉強するか、あるいは自分の経験から帰納的に導き出した教訓を頭の中で体系化して、それを今後に生かしていく形でしか学びようがない。会社が研修機会を提供してくれるわけではないのだ。

とはいえ、僕らの本来業務から離れて組織マネジメントの勉強をするのは、何かまわり道や道草を食っているような気分にもなる。その間も世の中はどんどん変化しているし、それを追いかけずに別のディシプリンを学んでおこうという心境になるのは、結構勇気が要る。少なくとも、僕はそうした理由から、今までマネジメントについて本気で学ぼうという気持ちになったことがない。

ところが、今の職場で関わっている仕事の関係上、組織マネジメントについてちゃんと学ばないで済ませておくわけにはいかなくなった。最初からこの本に行き着いたというわけではないが、最近読んでいた本の中で本書が引用されており、ちょっと読んでみようかという気になって近所の図書館で借りてみた。

ぱっと見はA5判330頁もある大仰な専門書だが、口語でややくだけた調子で書かれているので、読みやすい本である。それと、最後まで読み切って気付いたのだが、この本の編集協力は、僕が存じ上げているライターの方がなさっている。こういうタイプの本だったらこういう編集をされるんだなというのは参考になった。

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1.組織をとらえる6つの側面(p.16)
【ミクロ組織論】
◆リーダーシップ: スタイル論、組織文化
◆集団の行動: 意思決定、コミュニケーション
◆個人の行動: 動機付け、コミットメント
【マクロ組織論】
◆組織構造: デザイン論、複雑性
◆組織機能: 職能・ライン、スタッフ、調整メカニズム
◆組織ネットワーク: 組織間ネットワーク、グループ組織

2.リーダーの行動①(pp.27-29)
優秀なリーダー、パフォーマンスを上げたリーダーは、どういう行動をしたか。これについてはどのような調査を行っても、だいたい似通った2つの軸に集約される。社会科学で、ここまでシンプルに研ぎ澄ますことができた領域はあまりない。その軸とは、1つは仕事に関するもので、もう1つは部下との人間関係、集団に関する軸である。もう少し平易な言葉を使うと、1つの軸は仕事を指示する軸で、もう1つは部下を大切にするという軸である。

三隅二不二が1964年に提唱した「PM理論」で、Pはパフォーマンス、成果を示す。成果を重視して部下に強くドライブをかける行動である。もう1つのMはメンテナンス、組織の維持、人間関係重視の軸である。従って、このPM理論からは、成果重視と人間関係重視の2つの軸で、4つの象限が生まれる。当然、PM型(成果重視で尻もたたくが、メンテナンスもしっかりする)がリーダーの理想で、その対極にあるpm型は、成果も人間関係もどちらも放っておく、ダメそうなリーダーに見えるが、近年、そういうリーダーであっても部下のやる気を引き出し、チームとして成果を上げている場合があるという。

3.リーダーの行動②(pp.32-34)
オハイオ州立大学がリーダーの行動研究を行ない、リーダーに求められる行動として何があるのかを分類していったら、実に100項目にもなったという。ところが、こうした行動項目のうち、実際に組織のパフォーマンスに関係があったのは、「行動・構造づくり」と「配慮」の2つだけになってしまった。

「行動・構造づくり」とは、メンバーに自分たちに対する期待を理解させること、メンバーに役割自覚をさせ、あとは決まった手順に従わせるという行動や、リーダーの態度を明確にして、「オレはこう思うぞ」ときっぱり言う他、何をすべきか、日程・目標を決めるというものである。「配慮」は、気軽に接触できること、この集団の一員であってよかったと思えるように細やかに気を配り、メンバーから出てきた提案を実行する。メンバーを、自分と対等の人間として扱うというもの。PM理論の2つの軸とよく似ている。」

4.次長の役割(pp.53-54)
部長は「攻める」役割である。ここでの「攻め」は未来に向かっての攻めで、変革の方向決め(ビジョン策定)を主務とする。新たな方向性を打ち出して、その方向性、そのビジョンを実現するために、上に向け、外に向け、それを発信し具現化するために努力する。

一方、現場のリーダーである課長は、現場で「攻める」役割を担う。まさに定常状態の中での最大限の効率化と合理性を求める。自らもスタープレーヤーとして活躍する。但し、人材育成という点だけは未来志向で行う。今必要な人材だけ育てていてはダメだということで、この面では部長との連携が実務上成立している。

しかし、部長も課長も攻めるだけでは、組織としてなかなか成立しにくい。しかも、未来を見つめている部長と今を見つめている課長では、どう考えてもギャップが生まれてくる。

そこで出てくるのが、次長である。この次長の存在が非常に重要である。1つの部では、次長の統括するチームに分かれていて、そらにその中に課が2つぐらいある。従って、次長といってもライン長である。しかし、次長にはラインを統括する役割の他に、未来と現在をほどよく繋ぐ役割が与えられる。次長は、「攻める」のではなく、組織を「守る」のである。ただ守りに入るのではなく、意味のある、戦略的な守りを行なう。これは攻めながら守れということで、部長と課長の間を調整するのである。

5.コミットメントを引き出すための5つの方法(pp.89-94)
カッツェンバッグが整理した、内発性を重視したコミットメントの引き出し方の方法論が参考になる。
①プロセスと尺度の明確化: 
 明確な尺度と基準、目的が明確な業務プロセス、業績基準の透明性、集団としての協調的な取組み
②認知及び賞賛: 
 全社的な認知と報償、数多くの特別イベント、目に見える高いレベルのエネルギー、
 社員同士のふれあいと楽しい雰囲気
③個人の成長実感
 豊富なチャンス、個人に与えられた行動の自由、個人の業績への注目、業績に応じた昇進、健全な競争
④起業家精神
 高収入のチャンス、「所有意識」への強いこだわり、個人のリスク
⑤MVP(使命感、価値観、誇り)
 高潔な目的、豊かな歴史、強固な価値観、社内の結束力

内発的な動機付けによってコミットメントを引き出すことは、今まではあまり表立って、もしくは理論立てて考えられてこなかった分野かもしれない。ひとりひとりのマネージャーの中で、目利きというか、よくモノのわかった人が個人的にこういうことをいろいろ行なってきたに過ぎない。しかし、昇進・昇格やお金のような外発的な動機付けだけではなく、内発的なやる気をうまくかき立てることが、正当な経営の手段であると認知されていたかというと疑問である。お金や昇進・昇格だけでなく、どうやって感情の問題まで含めて、明るく、楽しく、そして崇高な気持ちを持って現場社員のやる気を引き出せるかが、今後は重要になって来る。(pp.98-99)

6.組織間ネットワーク(p.314)
個別に見るだけでは見えてこなかったものが、ネットワークという形をとることによって、新たな姿を見せることもある。これからは、繋げることによって、全く違った知を生みだせるような組織作りを意図的に行なっていくべきである。ただ、全てを予定調和的にコントロールすることはできない。マネジメントができることは、参加要件のようなルール作りと志の共有である。最初のうちは「ネットワーク」といっても完全に平等ではない。どこかにハブとなる人がいて、その人が最初に繋ぐ行為は必要だし、やらなければならない。1人ではない、1つの会社の中だけに閉じこもってはいけない。

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そもそも組織論について体系的な勉強など大学でも企業研修でもやったことがなかったので、こういう整理された形で読んでみるのはよかったと思う。僕の今の問題意識からは個人のモチベーションを高めてコミットメントをどう引き出すのかという点についての記述は今でも参考にできるところは多いと感じた。


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