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『絹Ⅰ』 [シルク・コットン]

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絹〈1〉 (ものと人間の文化史)

  • 作者: 伊藤 智夫
  • 出版社/メーカー: 法政大学出版局
  • 発売日: 1992/06
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
養蚕の起源を神話や説話に探り、伝来の時期とルートを跡づけ、記紀・万葉の時代から近世まで、それぞれの時代が生み出した絹の文化を描き出す。
1月第2週の週末、南大沢にショッピングに出かけた際、書店の日本史の棚を物色していて、法政大学出版会から『ものと人間の文化史』というシリーズがあることを知った。店頭に出ていたのはシリーズ150番台の数冊だったが(下写真)、調べてみたら、既に180冊以上も発刊されているシリーズだ。

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当然、養蚕についても何か出ているに違いない。そう思った僕は、この中から1冊をとり、巻末に掲載されているシリーズ既刊本のリストを調べてみた。すると、なんと『絹』というのが2冊もあるじゃないの。但し、1990年代の本。これだけのロングランのシリーズなら、きっと図書館には置いてあるのではないか。次に近所の市立図書館のウェブサイトで蔵書検索をしてみた。三鷹市立図書館にはなかったが、武蔵野市立図書館にはあった。さっそく2冊とも予約した。

現在、1冊目を読み切り、2冊目を読んでいるところである。1冊目は近世までの歴史で、史書の中に桑や蚕、絹がどのように登場しているかをかなり細かく調べて掲載されている。桑から着物までの幅広い工程を全て取り上げているのだから、どうしても膨大な資料になってしまうし、読者の関心がどこにあるかによって、相当な拾い読みがあってもいいのではないかと思える。僕自身は今のところ昔の人の着た絹の衣裳やその染め方や模様にはそれほどの興味がなく、桑と蚕が中心なので、相当な部分を端折って読んだ。ただ、古代、中世、近世と日本史を区切っているのはいいにせよ、その中での記述が必ずしも時系列によらないところが目立ち、例えば元禄の話をしていたと思ったら、次の節では信長・秀吉が登場するといった具合で、時々頭の中が混乱してしまうことがあった。多分、そういう読み方をしてはいけない本なのだと思った。

もう1つは、これは既述したが、インドの養蚕について本を書いたことによって、次のステップとしてインドと日本の蚕糸業での技術交流が、日本のどこの地域との強い繋がりがあったのか、それをどうしても意識せざるを得なくなってきた。信州や上州については既に多少の予備知識はあるけれど、例えば岐阜や東北はどうだったのかとか、もう少し調べてみないとわからない。本は書かせていただいたけれど、まだまだ僕は養蚕についてはど素人なのだと痛感している。そうした意味では、本書のように、どの文献のどこに、どの地域で桑が栽培されていたのかといった言及がある本は、今後も有用で使い勝手が相当に良いのではないかと思う。

そう考えて、結局6000円余りという、僕にとっては大金をはたいて2冊とも購入することにした。レファレンスブックとして、手元に置いておきたいと思う。


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