『そのころ、白旗アパートでは』 [読書日記]
内容説明表紙は万城目学『プリンセス・トヨトミ』に何となく似ているようだが、装丁のイラスト担当が同じ人であった可能性はあるものの、作者は伊藤たかみです。伊藤たかみ作品を再びお送りしたいと思います。
芥川賞作家が描く、オンボロアパート物語 木造二階建て、屋上には1本の白い旗。まるで“人生の降参者”が集うかのようなここ「白旗アパート」では、今日も誰かが青春の落とし前をつけている……はず!?
家賃格安のおんぼろアパートに住む貧乏下宿人3人の超ダレダレ生活の物語である。三浦しをん『木暮荘物語』を読んでから、この手のアパート住民が繰り広げる物語の短編連作というはわりと好きだなとは思ったのだが、ここまでダレダレな男3人の作品というのは、さすがに読んでいて最初の頃は違和感が相当大きかった。そもそもこんなに住人間でディープな横の繋がりがあるアパートって珍しい、というかあまりあり得ないと思うのだ。そんなヘタリ住人達がアパート閉鎖を契機に青春の落とし前をつけるというのだが、劇的な変化というよりはそこはちょっとした変化に過ぎないので、その点についてはリアリティがあるかなと思った。
伊藤たかみって、下流を描くのが上手いですね。純文学系の作品が多かったので正直とっつきにくさを感じていたのだが、今回は初めて裏も表もない登場人物ばかりの作品に出会えた気がして、読後感はとてもよかった。
タグ:伊藤たかみ
ご無沙汰しています。
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by Hirosuke (2011-09-09 23:19)
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お目にかかったことありましたっけ?
by Sanchai (2011-09-11 08:42)