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マヤワティの銅像(2) [インド]

マヤワティの銅像
公共の資金で政治はダメ――高裁がマヤワティ首相に命ず
ウッタルプラデシュ州政府がマヤワティ州首相や他のダリット出身の政治指導者のために記念碑や銅像の建設を進めている件について、高等裁判所は火曜日、納税者の金はこうした目的には使用することはできないとして、建設を中止するよう命じた。 
自分のブログのアクセス記録を調べていると、時々特定のページのPVが急に増えたりするケースが時々見られる。これまでに書いた記事の中で短期間で急にPV数が増加した顕著なケースといったら2009年12月に書いた「独立できるかテランガナ」である。この時は、Yahoo!ニュースが僕の記事にリンクを貼って下さったのが大きい。最近では世界陸上大邱大会開幕直後から「ケニア人マラソンランナーの強さの秘密は…」のPV数が急激に伸びた。理由は、ケニア人選手が長距離のメダル上位を独占するような結果が出たからである。

同様に、7日(水)は上記で冒頭のみご紹介した「マヤワティの銅像」のPV数が異常に高い伸びを示した。なぜなのか調べてみたところ、こんな記事に行きついた。
インドの大衆社会党党首、靴購入に飛行機飛ばす=ウィキリークス
ロイター  9月7日(水)配信
[ニューデリー 5日 ロイター] インド北部ウッタル・プラデーシュ州のマヤワティ州首相(55)が、わいろの受け取りのほか、自宅から職場までの道路を整備し、お気に入りのサンダルを手に入れるために飛行機を飛ばすなど、権力を乱用していることが、政府等の内部文書を公開する民間サイト「ウィキリークス」が公表した米外交公電で明らかになった。
 マヤワティ州首相は、カースト制度で最下層に置かれる「ダリット」出身。大衆社会党(BSP)の党首でもあるが、ウィキリークスで公表された公電は、マヤワティ氏を「第一級のうぬぼれ屋」と評している。同氏はこれまで、カースト最下層民の支援を訴えて支持を集めているが、豪華パーティーの開催や、自身を含むカースト最下層民の指導者の巨大な銅像を設置した公園の建設などに対して批判の声も上がっている。
 2008年10月23日付の公電では、マヤワティ氏に新しいサンダルが必要になった際には、同氏お気に入りのブランドのサンダルを求めて空っぽの飛行機がムンバイに飛んだとされている。自宅から職場まで整備された道路は、同氏や側近による車の列が目的地に着くたびに、担当者が道路を清掃していたという。マヤワティ氏はまた、毒殺されるのを恐れて「毒見役」を雇っていたもよう。
 また、州政府のある閣僚がささいな誤りを犯した際に、罰としてマヤワティ氏の前で腹筋をするよう強要したという。BSPからの選挙への出馬を希望する候補者は、数万ドルを払ってその権利を得ていたもようだ。
 マヤワティ氏の報道担当者は声明で、「そのような暴露記事」は信ぴょう性に欠けると述べた。
いやはや、さすがマヤワティさんという記事である。

何も彼女に限ったことではないが、ウッタル・プラデシュ州(UP州)や隣りのビハール州では、歴代の州首相が下層カースト出身者が多い。そしてそれが揃いも揃って「権力を掴めば自分の思い通りにカネを使える」と言わんばかりの金権政治を展開し、そして取り巻き連中もその恩恵でしっかり利益を得ているから、自分ところの親分を崇める個人崇拝を普及展開しようと試みるのである。


さて、この記事にもある「自身を含むカースト最下層民の指導者の巨大な銅像を設置した公園」というのに、昨年12月、たまたま旅行で立ち寄ったことがあるので写真でご紹介してみたい。Bauddh Vihar Shanti Upvanと言うらしい。2009年6月に開園したようだ。旅行から帰ってきたらいずれ公開しようと思っていたら、随分と日が経ってしまった。折角の機会なので、ここで纏めて蔵出ししておこう。

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最下層カースト出身でインド憲法の草案を書いたアンベドカール博士の石像があるのはまだいいにせよ、しっかりとマヤワティ首相の巨大な像も四方を睥睨している。そのトレードマークとも言えるハンドバッグをしっかり手にはぶら下げ、そして、多分ムンバイに飛行機を飛ばして買ってきたのだろうと思われる靴を履いて…。ピカピカに磨かれた大理石の床とか、公園外の道路の牛や通行人、自転車が全く通らないあまりの整然さを見ていると、ここは平壌じゃないのかとの錯覚に陥る。沿道にはマヤワティ首相の写真入りのポスターや横断幕だけが掲げられており、他政党の影響力はほとんど見られない。これだけ取ってもマヤワティ個人崇拝が進んでいる現状を十分垣間見ることができるだろう。

アンナ・ハザレ氏は政治家や政府の腐敗撲滅を訴えてあれだけ激しいハンストをやられたわけだが、国政レベルでの汚職腐敗ばかりが注目されているけれども、実際には州首相周辺というのも相当な汚職腐敗が進んでいるのではないかと思う。アンナ・ハザレ氏も、国レベルであれだけのインパクトを残せるのだとしたら、どうせなら州レベルでも頑張って欲しかったのだが。しかし、同じ趣旨のハンストをUP州の州都ラクノウで決行したとしたら、マヤワティの率いる政権はやくざまがいの暴力的手法でハザレ氏排除を試みただろうと想像はする。

今週に入って、「腐敗してるのは中央の与党の幹部だけではない」とでも言わんかとばかりに、世論の注意を逸らそうとする意図を感じさせる出来事が幾つか続いた。カルナタカ州のインド人民党(BJP)政権の重要閣僚の地位にあったレディ兄弟が逮捕されるという出来事も、実際そういう腐敗はあったのだろうと思うしかなり前からその腐敗ぶりが取り沙汰されていた兄弟なので、逮捕自体に驚きはない。しかし、なぜ今逮捕なのか、どのような意図が働いたのかを裏読みしてみたくなるところだ。ハザレ氏の活動にも理解を示していたBJPですら、実は汚職腐敗にまみれているのだと改めて示したのが、レディ兄弟逮捕のニュースだ。今回のウィキリークス経由だというこの報道も、汚職腐敗にまみれているのは中央だけではなく、州政府レベルでも同じなのだというのをわざとリークして世論の関心をUP州に持っていこうという意図を感じさせる内容と発表のタイミングになっていたと思う。

同じく昨日デリー高裁前で起きた爆弾テロ事件にしても、うがった見方をすれば、この事件発生で与党は一息つけるのではないかと考えることができ、ついつい陰謀説を取りたくなってしまう。とはいえ、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りしたいし、影響を受けられた方々にもお見舞い申し上げたい。
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