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『風と土のカルテ』 [読書日記]

風と土のカルテ―色平哲郎の軌跡

風と土のカルテ―色平哲郎の軌跡

  • 作者: 山岡 淳一郎
  • 出版社/メーカー: まどか出版
  • 発売日: 2002/05
  • メディア: 単行本
内容(「MARC」データベースより)
風のような医師から土の医者へ。第一線の地域医療医・色平哲郎の半生をヨコ糸にし、彼の「肉声」を取り込みながら、医療や教育、社会一般が抱える諸問題をあぶりだす。
この記事、今年中学生になる長男に宛てて書こうと思う。彼は今、お母さん、妹と弟と一緒に、日本で暮らしている。

色平医師は僕より少しだけ年上。でも、生き方としては僕よりも色平医師を見習って欲しい。これからの日本の地域社会がおそらく直面するであろう問題に対しては、僕のような生き方をしてきて今の僕のような仕事に携わっている人間よりも、色平医師のような生き方をしてきて今の色平医師のような仕事に携わっている人の方がはるかに貢献できる。僕の半生など全然大したことはない。色平医師のような生き方をして、地域社会のために役に立つ知識や技能を身に付けていって欲しいと思う。今すぐ本書を読めとは言わないが、これから中学生として過ごす3年間のうちに、一度でいいから本書を読んでみて欲しい。そのために本書を僕は日本に持って帰るつもりだ。

医師になれと期待しているわけでは必ずしもない。ただ、今ある生活を当たり前のものとして受け入れるのではなく、自分はどのようにして今ここにあるのか、お父さんお母さんはどのようにしてこれまで生きてきたのか、そしてお爺ちゃんお婆ちゃんはどのようにしてこれまで生きてきたのか、今暮らしている町は昔はどんな様子だったのか、お父さんが生まれ育った町は昔はどんなところだったのか―――そんなことに思いをはせてみて欲しい。地域で長く暮らしてきたいろいろな人から話を聞き、今の自分の生活に繋げて考えてみて欲しいと期待する。先ずはお母さんやお爺ちゃんお婆ちゃんからそんな話を聞いてみて欲しい。

本書を読みながら、僕自身が今さらこうした理想とも言える生き方に自分自身を軌道修正できるとも、そうした高みにまで今後自分を持っていけるとも思えなくなっている自分に気付いた。昔、僕の身近なところでそれまでの仕事をきっぱり辞めて医師の途に進むべく大学に入り直した人がいた。僕と同じ会社に勤めていた人で、当時30代前半だった僕とはほぼ同い年だった。色平医師や「バブさん」のような生き方があるとその頃までに知っていたら、僕も同じ道を志していたかもしれない。でも、残念ながら僕にとっては出会うのが10年以上遅かった。

僕は今さら自分が自分のあるべき姿を云々するような年齢では既にない。自分に対する投資はもうほどほどにして、自分も次世代の人材を育てる方にもっと自分の持てるエネルギーを注いだ方がいいと本書を読んで思ってしまった。そうしたことを意識しながら、僕はこれからの自分の人生を使いたいと思う。そのために、これから1つ大きな選択をしようと思っている。本書を読んでようやくその決心がついた。

今週は、本書に限らず、仕事の上でも、それ以外でも、考えさせられることが多くあった1週間だった。久し振りに、「バブさん」に会って話がしてみたくなった。
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Sanchai

昔の職場の先輩がこの記事をお読みになり、こんなコメントを寄せて下さいました。(直接ブログに書き込みしようとしてできなかったのでメールを送って下さったものです。)

>わたしも50代となりました。自分への投資は、第2の人生のためにしています。そして、それは後継者を育てることも含まれます。今は子育て・家族がいて、冒険はできなくとも、情熱や夢があれば、次につながります。自分ができんかった夢に向かいます。インドやネパールの貧困や教育問題の解決に終わりはないでしょう。われわれもがんばり、次世代もがんばらねばなりません。

温かいコメントをありがとうございました。
by Sanchai (2010-01-24 11:21) 

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