SSブログ

NGOにおける高齢化問題 [少子高齢化]

もう随分と昔の話になってしまったが、僕達が開発途上国の高齢化の問題に関心を持ち始めた頃、その話を大学院時代の同僚P.Oさんに酒宴の席上でしたところ、「NGO業界にも高齢化問題というのがあるんですよ」と教えて下さった。

会社勤めをリタイヤされたシニアの方々、特に国際舞台で活躍された方々というのは、蓄えは十分あり、自由になる時間もタップリある。経験は豊富で社会貢献への意欲も十分だ。だから、国際協力NGOでその経験を生かしてボランティアとして働いてみたいと強く思っていらっしゃる。

日本ではどこのNGOもそうだと思うが、活動費の捻出に苦労しており、事務局といっても専従のスタッフを沢山抱えることはできない。なけなしの資金で若手のスタッフを傭上する。そしてその多くは有能な女性である。

そこに会社のヒエラルキーで鍛え上げられたシニアのボランティアが参加してくる。時間はタップリあるから、平日の日中でも事務局に出入りできる。そうすると何が起きるかというと、「ねえ、ちょっとお茶お願い」と何の気なしに口に出されてしまう。会社での人間関係をNGOのようなフラットな組織に持ち込んだら、軋轢が生じるのは当然の帰結だ。言われてみてなるほどなと思った。

実は僕も今同じような経験をしている。「お茶汲み」の類ではないが、あるボランティアのグループの中で最年少の僕は、人生経験豊富な大先輩のお言葉に基づき企画の根回しをして、次の会議で別の大先輩の一言でチャラにされた苦い経験がある。企画をボツにされるのは会社の中で企画書を上司に上げてダメ出しを喰らうのと感覚的には大差がない。会議は諸先輩の皆様の独壇場である。豊富な人生経験・社会経験に裏打ちされた味わい深い薀蓄を拝聴することができる。皆さん会社で要職に就かれていた頃には、こうした様々な角度からのきめ細かな考察に基づいて重要な意思決定をされてきたのだろうなと思う。

ただ言いたいのは、ボランティア・セクターというのは上下関係のないフラットな組織なのだということである。企画書を下っ端に書かせてそれを会議で叩くようなやり方はボランティア・セクターには馴染まない。やりたい企画があれば老若男女を問わず自分から動いて形にしていくことが必要だと思う。

今後団塊世代が大量退職する時期を迎える。ボランティア・セクターは拡大の好機であると言うこともできる。会社というコミュニティから地域に戻り、地域社会の中で居場所を探していく作業が必要なのだと思うが、その時は、会社社会と同じ感覚で他の構成員と接しないことだ。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0